NASAがアルテミスIIミッションのロケット「SLS」を射点へ移動 1月末に打ち上げリハーサルを予定
NASA(アメリカ航空宇宙局)は日本時間2026年1月17日から18日にかけて、「Artemis II(アルテミスII)」ミッションで使用される大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」のロールアウト(射点への移動作業)を、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターで実施しました。
VABから約12時間の移動を終えて39B射点に到着
輸送車両「Crawler-Transporter 2(クローラー・トランスポーター2)」に移動式発射台ごと載せられたSLSは、アメリカ東部標準時2026年1月17日7時4分(日本時間同日21時4分)にVAB(ロケット組立棟)から移動を開始しました。
打ち上げが行われる39B射点までは4マイル(約6.4km)の行程ですが、移動速度は最大でも毎時0.82マイル(約1.3km)と非常にゆっくり。完了したのは12時間近くが経った、アメリカ東部標準時2026年1月17日18時42分(日本時間18日8時42分)のことでした。

Artemis IIミッションの最も早い打ち上げウィンドウはアメリカ東部標準時2026年2月6日21時41分(日本時間7日11時41分)からの120分間です。
NASAによると、射点ではSLSの準備作業を経て、1月末頃に打ち上げのリハーサル(Wet Dress Rehearsal: WDR)が行われる予定です。ただし、場合によっては再度リハーサルを行ったり、SLSを一旦VABに戻したりする可能性もあるということです。
参考として、SLSの初飛行となった2022年の無人飛行試験ミッション「Artemis I」では、4月に実施した最初のリハーサルが2回中断し、SLSはVABに戻されました。6月に再度実施したリハーサルは無事完了したものの、延期が重なり、打ち上げは最終的に11月までずれ込むことになりました。
【特集】「アルテミス1」有人月面探査計画の最初のミッション
1972年12月以来となる有人での月周辺の飛行
Artemis IIは、アメリカが主導する有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」で最初の有人ミッションです。SLSおよび新型有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の有人飛行試験という位置付けで、月着陸こそ行わないものの、1972年12月の「Apollo 17(アポロ17号)」以来およそ半世紀ぶりに有人で月周辺の飛行を行います。

Artemis IIは、打ち上げから帰還まで約10日間のミッションです。
まず、SLSで打ち上げられたOrion宇宙船は、地球を周回する楕円軌道に投入されます(上図の1〜5)。SLS上段(2段目)から分離したOrion宇宙船は、後のミッションで実施される月着陸船などとのランデブーやドッキングに備えて、上段をターゲットとした近傍運用の実証を実施します(上図の6、および右端の枠内)。
実証試験後のOrion宇宙船は地球を周回しながら各種システムの検証などを行い、2日目に月へ向かうための主エンジン噴射を行います(上図の9)。片道4日間の軌道に乗ったOrion宇宙船は、地球と月を囲む細長い8の字型の軌道を描くように飛行。月の裏側を通過(上図の11)した後に、地球の大気圏に再突入して帰還します(上図の13〜15)。
クルーはアメリカとカナダの宇宙飛行士4名

Orion宇宙船に搭乗するのは、コマンダーを務めるNASAのReid Wiseman宇宙飛行士、パイロットを務めるNASAのVictor Glover宇宙飛行士、ミッションスペシャリストを務めるNASAのChristina Koch宇宙飛行士、およびCSA(カナダ宇宙庁)のJeremy Hansen宇宙飛行士です。
Wiseman宇宙飛行士はISS(国際宇宙ステーション)の第40次/第41次長期滞在クルーの一員として、2014年5月から11月にかけてISSに滞在。2020年12月から2022年11月にかけてはNASAの宇宙飛行士室長を務めました。
Glover宇宙飛行士はNASAの「Crew-1」ミッションの一員として、2020年11月から2021年5月にかけてISSに滞在しました。Crew-1はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士だった野口聡一さんも参加したミッションです。
Koch宇宙飛行士はISSの第59次/第60次/第61次長期滞在クルーの一員として、2019年3月から2020年2月にかけてISSに滞在しました。Hansen宇宙飛行士はArtemis IIが初の宇宙飛行で、2009年にCSAの宇宙飛行士として選抜されました。
無事成功すれば、Artemis計画最初の有人月面着陸を行う「Artemis III」ミッションだけでなく、基地の建設も計画されている持続的な月面探査や、その先に待つ将来の有人火星探査に向けても大きな前進となります。早ければ3週間ほど後には4名が飛び立つことになるArtemis IIミッションに注目です!
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文・編集/sorae編集部
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