第2回プロレフェリーキャンプを開催…トレーニングに励み、睡眠やメンタルヘルスケアを学ぶ

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 B.LEAGUEは12月4日、日本バスケットボール協会公認プロフェッショナルレフェリーを対象としたキャンプを開催しました。

 B.LEAGUEは9月に独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」)と、スポーツくじWINNERの取り組みに加え、JBA公認プロフェッショナルレフェリーを中心とした審判支援、リスペクト精神の浸透を目指したパートナーシップ契約を締結。その取り組みの一環として、9月に続いて2回目のキャンプが実施されました。

 

 当日はB.LEAGUE SCS推進チームスポーツパフォーマンス&サイエンススペシャリストの吉田修久氏によるトレーニングセッション、株式会社ユーフォリアの安藤加里菜氏による睡眠講習会、国際医療福祉大学大学院副大学院長の伊豫雅臣氏によるメンタルヘルスケア講習会が行われました。

 トレーニングセッションでは疲労度合いや筋力といったコンディション状況をチェック。スクワットやスプリントなど基本フォームから負荷設定に至るまで、個別化されたトレーニングを実施しました。長いシーズンを戦い抜くのはレフェリーも同様。吉田氏は「トレーニングやコンディショニング、栄養素といった求められるものは選手と変わりません」と明かします。「こういった取り組みを通じて、意識レベルは高まっています」と話し、「身体が変われば、パフォーマンスも変わり、メンタル面にもいい影響を与えると信じています。そうなることで試合のクオリティーが上がり、長期的に見ても意義あるものになると思っています」と期待を寄せました。

 

 今シーズンからプロとして活動する岩井遥河レフェリーは、かつては独学でトレーニングに励んでいたとのこと。「すごく貴重な機会で、知識のアップグレードにもつながっています」と、キャンプに参加することで多くのものを得られたかつ、意識の面でも変化があったそう。
 

「試合を任せていただいている責任をより強く感じています。その上でどのように取り組めているのかを常に意識していて、『自分がやらなければいけない』と考えていた部分がありました。ただ、バイウィークに入って振り返った時に、試合のレフェリーは3人で、自分以外の2人と一緒に試合を作り上げていくものなんだと改めて考えるきっかけがありました。そこにフォーカスでき、今までと変わった視点を持てたと思っています」 

 

 睡眠講習会では睡眠や生活習慣を振り返ると同時に、安藤氏が『今日から実践できる良い睡眠を取るためのコツ』をテーマにした座学を展開。睡眠には“リズム・量・質”の3つが大きく関わっており、日頃の最適な過ごし方なども伝えられました。

安藤氏は「睡眠の悩みを抱えている方は多いと思いますけど、夜中に1-2回起きてもすぐ寝れるのであれば問題ないこと等、気にし過ぎなくてもよい事例を知ってほしかったです」と語ります。レフェリー以外にも通ずるものがあり、「毎日決まった時間に電気を消して寝ること。それに合わせて、日中のスケジュールをデザインするのがおすすめです」と教えてくれました。

 

 大河原則人レフェリーは「試合日は睡眠をほとんど取れません。それは不安に思ってしまったり、試合のことを考えてしまったりするからです」と、実際に悩みを抱えていたようです。「講習会に参加して、自分だけではないと改めて感じました。学んだことを活かして、少しでも多く寝られるようにしていきたいです」と感想を語りました。

 

 メンタルヘルスケア講習会では一般的なストレスへの対処方法を学びつつ、『Bリーグ審判員のストレス要因』をテーマにしたグループ討論を実施。レフェリーは特に高いストレスを抱えているようで、伊豫氏は「スティグマ(※差別や偏見の意味)を解消するには、仲間内で悩みを言い合えるのかどうかが大事です。言うことだけでケアになるかもしれませんけど、お互いがどのような方法で対処しているのかを理解できます」と明かしました。また、B.LEAGUEにおける差別・誹謗中傷などに関する対応についても触れました。
 

 「SNSや試合会場で頻繁に告知していますよね。選手だけではなく、コーチやレフェリーに対しても『言いすぎるのは良くない』というのを認識してもらうのが大事です。ファンの方に知らせることで、(レフェリーが試合中に向き合う)選手やコーチにも伝わっていくものです。ほかのスポーツではあまり聞いたことがないので、そういった新しい文化をB.LEAGUEで作っていくのは1つの方法だと思っています」

 

 2023年8月からプロとして笛を吹く阿部聖レフェリーは「自分ではコントロールできない言葉やプレッシャーによって、少し怖さを感じてしまうことがあります。それを払拭するために多くの時間をかけて準備していますが、それが試合をしっかりと終わらせるための準備なのか、外的要因から身を守るための準備なのか、よくわからなくなることもあります」と実態を口にしつつ、「僕たちも人間なのでミスはあります。ただ、ミスをしても良いポジションではないこともわかっています。ミスをした時、それを受け入れた上で、何がベストな判断だったのかということを考えます。考えて、学んでの繰り返しで、その積み重ねによって成長していくと思っています」と続けました。

 「教育の場を設けていただいていることに対して、本当に感謝していますし、新たな歴史を作っている実感があります。1回目の9月に学んだことをシーズン中も継続して過ごせています。そこで何が起こっているのかと言うと、身体の調子がすごくいい。中盤、終盤に向けてタフな試合が続いていきますけど、今シーズンが終わった時、自分の身体、自分のパフォーマンスがどうなっているのかすごく楽しみにしています」

 

 阿部レフェリーがこう語ったように、レフェリーはキャンプを通じて手応えをつかんでいます。3月に3回目のキャンプを開催予定です。今後もJSCの支援を受け、B.LEAGUEではB.LEAGUE SCS推進チーム内のスポーツパフォーマンスや食品・栄養などの専門家の知見や人材を活用し、レフェリーにトレーニングメニューの提供や指導、リカバリーやコンディショニングのサポート等の取り組みを進めていく予定です。これにより、判定の理解やスキル習得だけでなく、アスリートと同等にスポーツパフォーマンス領域においてレフェリーの活動充実を図ってまいります。

 一方で、阿部レフェリーが語った「自分ではコントロールできない言葉やプレッシャー」がレフェリーの周囲に事実あることは、B.LEAGUEを取り巻くファンを含め、すべての人が心に刻むべきものと考えられます。試合を作る構成員として、差別・誹謗中傷から守られなければならないのは選手やスタッフに加え、レフェリーも本来同じくあるべき。JSCとB.LEAGUEが掲げるリスペクト精神の浸透に向け、今後の取り組みの重要性が、今回のキャンプを通じて改めて認識されました。

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