最高出力3000ps以上!新星スーパーカーに感じた純粋さ #JMS2025【日本版編集長コラム#54】
久しぶりのモーターショー速報取材
ジャパンモビリティショー(以下JMS)2025の速報記事を担当し、久しぶりにモーターショーの取材をみっちりとさせて頂いた。長年、新車がメインではない紙媒体に属していたので、こういう速報取材は15年ぶりくらいだ。
【画像】最高出力3000ps以上!ジャパンモビリティショー2025で展示された新星スーパーカー『ヤンワンU9』 全30枚
さてモーターショーと言えば、コロナ禍に突入するまでは海外ショーにも通い、特に毎年春に開催されていたジュネーブ・ショーが思い出深い。最後にジュネーブへ行ったのは2019年で、2020年は開催3日前に急きょ中止となり、慌てて飛行機やホテルをキャンセルしたのをよく覚えている。

ジャパンモビリティショー2025のBYDブースに展示された『ヤンワンU9』。 平井大介
ジュネーブの会場は比較的コンパクトなのだが、スーパーカー雑誌『ROSSO』の編集部に所属していた頃は、エスカレーター(もしくは階段)を上がった先のホールを『魔のスーパーカー・トライアングル』と呼んでいたのが忘れられない。
いや、呼び名は正確には覚えていないのだが、そこにはフェラーリ、ランボルギーニといった大手ブランドだけでなく、パガーニ、ケーニグセグなど、規模こそ小さいがROSSOにとっては見逃せないブランド出展が目白押し。
地元スイスの富裕層を狙ってか、聞いたことのないブランドがいきなり現れることもあった。そのため、プレスデイ2日間のうち、2日目お昼頃まで下のフロアに行けないこともザラで、「やっと下りられる……」という疲労困憊の中で得た解放感は、今となってはいい思い出だ。
そしてなぜこの話を書き始めたかといえば、ジャパンモビリティショーのBYDブースで、気になるスーパーカーを見つけたから。それが『ヤンワンU9』である。
ニュルブルクリンク北コースで6分59秒157
『ヤンワン(仰望/YANGWAN)』は2023年に発足したBYDの高級スポーツカーブランドで、ポルシェやアウディの対抗馬となる高級車ブランド『デンツァ(騰勢)』と共に展開されている。
U9といえばやはり、9月26日付けのプレスリリースで発表された496.22km/h(!)というEV世界最速新記録と、ニュルブルクリンク北コースで6分59秒157というラップタイムを叩き出した、『U9エクストリーム』であろう。

これをベースとした『U9エクストリーム』が496.22km/hというEV世界最速新記録を達成。 平井大介
なお8月には『U9トラックエディション』で472.41km/hを記録しており、それをすぐに更新した形だ。
U9エクストリームは世界初の量産型1200V超高電圧プラットフォームに、3万rpmモーターの4基で総出力3000ps(!!)を実現。世界限定30台で販売されるという。サーキットに特化したエクストリームに対し、U9はそのベースとなる公道とサーキット走行を両立するモデルだ。
JMSではあくまで参考出品とされているが、トランプ関税に揺れる北米市場、不調の中国市場を横目に、最近のスーパーカー日本市場への期待値はどのブランドでもかなり高くなっている。ランボルギーニの販売台数は現在世界3位で、フェラーリに至っては北米を抜いて日本が一番売れているという話もあるくらいだ。
なおUK編集部のレポートによれば、2027年にU9を英国市場へ導入する計画もあり、大きな期待を持ってのJMS出展だろう。
本気度がひしひしと伝わってくる
U9の実車は、かなりよくできている印象だった。過去ジュネーブ・ショーで何度か見てきた新興スーパーカーは、直感的に「これは怪しい」というものも正直あった。しかしU9は最高速に挑戦しているだけのことはあり、本気度がひしひしと伝わってくる。
一番いいと思ったのは、スペックの数々が常識を上回っていることだ。

プレスデイ初日はこういう配置。スーパーカー『U9』の奥に軽自動車EVコンセプト『ラッコ』。 山田真人
かつて2003年にブガッティ・ヴェイロンが1001psで登場した時、1000ps以上の市販車なんて現実的ではないと誰もが思い、事実、ブガッティというか親会社のフォルクスワーゲンは市販化するまでかなりの時間を要した。しかしその結果は素晴らしいもので、雨のフランスで1001psを試した話は……機会があれば記したいと思う。
さてそれが今や、ランボルギーニがレヴエルトで1015psを出せば、フェラーリは849テスタロッサの1050psで対抗する、オーバー1000psバトルが勃発するほどなのに、サーキット向けモデルとはいえ『3000ps』である。夢のクルマであるスーパーカーはこうでなくちゃ!
U9には現代のスーパーカーが失いつつある、純度の高い、夢や速度への欲求があるように思えてならない。そう言えば以前BYDジャパンの関係者が、本国BYDのスタッフにはカーガイが多いという話をしていた。
ちなみにJMSでは、U9のDiSus-Xインテリジェント車体制御システムを活用し、U9自体が踊りだす特別ダンスショーを1日3回開催しているという。残念ながら実際に見ることはできなかったが、私のようなスーパーカーブーム世代の発想ではとても思いつかないこうした試みは、クルマを愉しもうという純粋さが感じられる部分だ。
事前に告知されていたとはいえ、こういったモデルにいきなり出会うのが、モーターショー取材の醍醐味。しかも会場で軽自動車EV市場に参入する『BYDラッコ』の横に展示されていたのは、そのギャップに思わず笑ってしまった。
まだ情報が少ない中ではあるが、願わくばその途方もないであろう加速を、助手席でもいいので味わってみたいものだ。
2023年は探りながらの『モビリティショー』
さて、今回は輸入車インポーターの出展こそ少なかったものの、国産車メーカーはどこもかなり力が入っていた印象だ。
とある国産車広報担当氏が、「2023年は『モビリティショー』ということで探りながらという部分がありましたが、今回は勝手がわかったので思い切ってやることができました」と語っていたが、事前取材があり当日解禁となったモデルだけでも16台あり、当日初めて情報が出たものも含めるとかなりの台数になった。

輸入車インポーターの出展こそ少なかったものの、国産車はどこも力が入っていた。 平井大介
わかりやすく1台ずつの記事にしたので、気になる車種を見つけて頂きたい。
