[6.29 J1第22節 東京V 1-0 川崎F 味スタ]

 プロ5年目でのJ1リーグ戦初ゴールが東京ヴェルディを残留争いから一歩救い出す決勝点となった。試合後、DF深澤大輝は「昨年、今年の前半と苦しい時間もあり、出ていた時もなかなか自分のプレーができずに難しい時間が長かったなかで、ピッチに立ってチームの勝利に貢献できるのが最高だなと思います」と喜びを語った。

 0-0で迎えた前半32分だった。左右のCKを立て続けに獲得し、右からの3本目。MF森田晃樹が蹴る前から流れは決めていた。「入る前にニアに蹴るというのを決めて、(谷口)栄斗が一番前で僕が4番目という場所を決めていて、(谷口に)『そらすから』というのは言われていた」(深澤)。森田のキックをDF谷口栄斗がヘディングでそらした「狙い通り」のボールに、あとは飛び込むだけだった。

 フィニッシュは難しいバウンドに合わせる形となったが、そこは1〜3年目のJ2リーグ時代にSBながら通算8ゴールを記録していた深澤。ここでも見事な決定力を見せ、豪快なボレーシュートで突き刺した。

「そらしてくれるのはわかっていたぶん、考える暇もなかったじゃないけど、ゴールも近かったのでうまく合わせれば入ると思っていた。上にふかしそうになったけど、考える暇もなく、フィーリングが良かった」(深澤)

 ゴールをお膳立てした2歳年下の森田、1歳年下の谷口はいずれも小学生時代から東京Vの育成組織で育った間柄。“緑の血”が刻んだ後輩からのホットラインに「長い時間共に過ごしているぶん分かり合える部分も大きい。決めるだけだったので感謝したい」と微笑んだ。

 苦難を乗り越えて掴んだゴールでもあった。J1初挑戦となった昨季はシーズン序盤戦こそ左サイドバックの主力を担っていたが、先発9試合の戦績が1勝7分1敗にとどまり、第11節以降は出番が激減。続く今季も第14節までは4試合にベンチ入りしたのみで、いずれも出番が訪れないまま試合を終えていた。

 昨年6月から今年4月までの間、出場したのはわずか1試合。ベンチ入りしたのはわずか3試合だった。しかし、先が見えなくなりそうな日々の中でも腐るつもりはなかった。

「メンバー外になるのはサッカー選手としては一番悔しいことだし、ピッチに立てないのは自分に腹が立つし、(一般論として)練習に身が入らない選手もいると思うけど、置かれた環境でどれだけ成長できるかというのは自分自身にずっと問いかけていた」(深澤)

 すると第15節・横浜FC戦、負傷者が続いていたCBで出番を掴むと、そこから5試合連続で先発出場。「ピッチに立った1試合1試合、自分の全てをぶつけるという思いが強くなっているし、メンバー外の練習も活きている」。そうして手応えを重ねた前節・C大阪戦からはウイングバックにポジションを移し、この日の結果につなげてみせた。

「後ろの5枚だったらどこでもできるようになりたいと思っていた中でCBのチャンスが巡ってきた。CBだとすごく全体が見えるなか、ウイングバックにやってほしいプレーも見えるので、そこの経験はすごく役に立っている」(深澤)。ベンチ外の悔しさも、異なるポジションでのプレーも、全てを糧にしてきた自負が今の深澤を支えている。

 もっとも、この立場や結果にも慢心するつもりはない。J1初ゴールに「それがヴェルディというのも。育ててもらったクラブなので恩返しというか……」と感慨を口にしようとした深澤だが、すぐに言葉を続けて「ここからもっともっと良くなると思う」ときっぱり。「まだ勝ち点を五分に戻せていないし、名古屋も勝ち点が近いし落とせない試合が続くので、もう一回練習から全員でやっていきたい」と勝ち点で並ぶ次節・名古屋戦に向けて気を引き締め直した。

(取材・文 竹内達也)