河合竜二と小野伸二。ふたりは「竜ちゃん」「伸ちゃん」と呼び合う仲【写真提供:河合竜二】

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浦和時代から変わらない友情「深い時間になったら、『竜ちゃん』『伸ちゃん』」

 2023年12月3日のJ1最終節・北海道コンサドーレ札幌対浦和レッズ戦、MF小野伸二は26年間の現役ラストゲームを札幌で迎えた。

 高校卒業後に浦和レッズに加入し、18歳でプロ生活をスタートさせた小野のラストゲームを、札幌のフロントという立場から見守っていた河合竜二氏(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン)。プライベートでは「伸ちゃん」「竜ちゃん」と呼び合う関係。小野がプロサッカー選手になった時から旧知の仲である河合氏に、2人の関係性や小野の人柄について話を訊いた。

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――お互いのことはどう呼び合っているのですか?

「僕は、伸二って呼びますし、竜二さんと言ってきますね」

――最初から変わらずですか?

「18歳の頃からまったく変わらないです。お酒を飲みに行った時は、深い時間になったら、『竜ちゃん』って言ってくるので、僕も『伸ちゃん』って。そのくらい仲はいいですね」

――2人の出会いはいつですか?

「出会いは浦和レッズで一緒のチームになった18歳と19歳の時です。そこから26年、44歳と45歳になっても変わらない付き合いをしています」

――なんでも話す関係になったのは?

「なんでも話すようになったのは札幌に来てからですね。浦和の時は、僕は試合に出られなかったので練習も一緒にしていなくて。それでも2人で楽しく遊びに行くことはあって、プライベートな時間で過ごすほうが多かったですね。

 海外に移籍してからは1年に1回、年末年始に帰って来た時に一緒に食事をしていました。あと、僕の誕生日には必ず海外からメッセージをくれた。1回だけ忘れられた時があって、その時のことはいまだに根に持っています(笑)。札幌に来てから密に一緒にいるようになって、いろいろなことを話すようになりましたね」

──河合さんにとってどんな存在ですか?

「サッカー選手としては、到底かなわない発想を持っていますし、誰が見ても凄いプレーをする。ボールタッチがぜんぜん違うし、試合中もリフティング感覚でトラップをする。どんな幼少期を過ごしたら、あんなボールタッチができるのかなって。プロから見ても考えられないくらい。真似は絶対にできないです。

 天才という言葉がしっくりくる。本人は嫌がると思いますけどね。相当努力してきたと言っていましたから。年齢的には1つ年下ですけれど、彼から学ぶべきことはたくさんあります。親友というか、先輩後輩を超えた絆があると思っています」

小野から学び「僕の人生において伸二がいなかったら、ここまで豊かなものではなかった」

──影響を受けたなかに今の自分を作っているものはありますか?

「誰に対してもリスペクトを持つことや相手の気持ちになって行動することは伸二から学びました。僕の人生において伸二がいなかったら、ここまで豊かなものではなかったと思っています。サッカーでもプライベートでも。子供たち同士も仲が良くて、伸二の家族が来た時は、伸二に会う前にうちに来ちゃうこともありますし、もうファミリーですね」

──悩み事を聞くこともあったのですか?

「報告のほうが多かった気がしますね。相談というより、『どう考える?』くらいです。悩んでいても、『どうしたらいいですか?』というのはお互いにないですね。意地っ張りなので。いかに私生活を充実させるかも伸二の中で大事な要素の1つ。どの街にいても3〜4年のスパンで飽きちゃうので、新しい刺激を求めて違う生活をしたいと言っていました。それが7年もいたというのは、やっぱり北海道が大好きなんだと思います」

──気遣いが凄いと選手たちは言っていました。

「気遣いの天才。気遣いの神様ですね。選手時代、バスの席が伸二の前だったんですけど、僕はその時キャプテンで、取材対応があってバスに乗るのが一番あとだったんです。そうしたら、ドリンクホルダーに2種類のドリンクが置いてあったので、『これ誰?』って聞いたら、『買っておきました!』って伸二が。1つは試合が終わったあとだからさっぱりしたいでしょ、ということでエナジー系のドリンク。1つは僕の大好きなコーヒーを置いてくれていた。それからほぼ毎試合でしたね。

 食事に一緒に行ったら注文とかもしてくれる。焼き肉だったら全部焼いてくれて、伸二がグラスを下げてくれて、店員さんから受け取って全員に渡していく。テーブルはきれいにして食事をするというのが僕らのスタイルです」

後輩にも気遣い「聞く耳を持った時にアドバイスするというのは伸二らしい」

──チームにとって小野選手の存在は?

「このクラブにとって小野伸二が残してくれたものはすごく大きかったと思います。日々の練習でも、練習に向かう姿勢や彼のプレーを見て真似してみようということもあっただろうし、それをきっかけに選手たちが少しずつ上手くなっていきました。超一流のプレーが身近に見られる環境はファン・サポーターにとってもそうですし、サッカーの楽しさは北海道のみんなに印象付けられたと思います」

──この間、別の取材で高嶺朋樹選手(元札幌・現柏レイソル)とお話したら、小野選手から試合に出られない時にアドバイスをもらって今があるというようなことをおっしゃっていて、いろいろな選手の人生に影響を与えておられるのだという印象を持ちました。

「どのクラブに行っても伸二の影響は大きかったと思います。特に後輩たちにとって。伸二は後輩にアドバイスする時にすごく気を遣っていましたね。悪い時というのは人の話を聞けないと思うので、勝った時にあえて言う。聞く耳を持った時にアドバイスするというのは伸二らしい。気遣いの鬼ですからね。若い頃は自分が勝利に導くことしか考えていなかったと思いますけど、歳を重ねてからそういうふうになっていったのだと思います。伸二の話だったらあと5〜6時間はいけると思いますけど、ある程度、伝えたいことは伝えられたんじゃないかな」

[プロフィール]
河合竜二(かわい・りゅうじ)/1978年7月14日生まれ、東京都出身。西武台高―浦和―横浜FM―札幌。J1通算191試合9得点、J2通算147試合2得点。18年シーズン後に引退し、19年2月より札幌のフロントスタッフに就任。コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン(CRC)としてクラブを支え、一般社団法人コンサドーレ北海道スポーツクラブスポーツダイレクターとしても精力的に活動している。(mm)