開発された素材の外観(画像: 共同印刷の発表資料より)

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 共同印刷(東京都文京区)は25日、新型コロナウイルスやノロウイルスを1分で不活化する衛生素材を開発したと発表した。接触することで作用し、単一素材で防カビや抗菌、抗ウイルスの性能も発揮するという。

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 安全性の高い金属酸化物が材料。表面にウイルスや金・カビが接触すると、接触後1分で99.99%を不活化する。銀や銅などの有害物質を含んでいないため、安心して使える。欧州化学品庁など海外の殺傷生物性物質規制への対応も可能だ。

 耐久性や機能持続性が高く、塗料やインキでの使用が可能。材料単体だけでなく、様々な加工品でも衛生効果が維持できることを確認したという。

 ドアノブや手すり、壁材、床材などの建材分野では実際の使用環境の実績が重要視されるため、フィールドテストによってエビデンスを蓄積している。

 その他にも衣料品やタオル、シーツ、タッチパネル、つり革、抗菌消臭スプレーなど様々な分野での展開を想定している。食品添加物としても検討可能なことから、歯周病菌対策品など口腔衛生分野での利用も広げたい考えだ。

 新型コロナウイルスの不活化に効果があると言われる素材には、他にも銅やナノ粒子などがある。

 銅は新型コロナウイルスを含む微生物の生存能力を低下させる効果がある。銅の表面にウイルスが付着すると、ウイルスのたんぱく質や酵素が変性し、不活化されると言われている。だが長時間や過剰な接触には、アレルギー反応が報告されている。また過剰に人体に取り込むと、肝臓や腎臓に損傷を与える可能性もある。

 銀や亜鉛、チタンなど微小な粒子で構成されるナノ粒子も、表面に付着したウイルスを不活性化する効果がある。そのため特に銀や亜鉛のナノ粒子は抗菌・抗ウイルス素材として広く利用されている。

 ただしナノ粒子は、サイズが非常に小さいため、体内に取り込まれる可能性がある。一部のナノ粒子は、生体内で細胞や組織に影響を及ぼす報告もあるため、安全性評価やリスク評価が行われている。