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「GLC 220 d」がフルモデルチェンジ

ファーストカーの基本となるファミリー&レジャー用途は一昔前ならセダンかワゴンだが、現在はSUVかミニバンだろう。

【画像】「新型GLC」のデザイン/内装 細部まで見る【トリムはリアルウッド】 全92枚

SUVは流行りモノでもなければ際物でもなく、実用の基本型。そこをしっかりと押さえているのがFMCし、2代目となった「GLC」である。


メルセデス・ベンツGLC 220 d 4マティック(ハイテックシルバー/AMGラインパッケージ装着車)    宮澤佳久

GLCクラスはベンツ車の命名則から分かるとおりCクラスをベースに開発された乗用車プラットフォームのSUVであり、縦置(FR)プラットフォームを採用。

車体サイズは先代に対してホイールベースと全長を拡大しているが、プロポーションやスタイルの方向性に大きな変化はない。見た目の印象も「使えるSUV」である。

日本導入モデルは、現時点では2Lディーゼルを搭載する「220 d」の4WD仕様のみ。

新型GLCにはPHEV仕様など多彩なパワートレインが展開され、「220 d」は性能的にはエントリーモデルに近い設定である。

高性能やスポーティなどのプレミアム軸の価値感ならともかく、個人的にはGLCのコンセプトに最も忠実と理解している。前述の「実用の基本型」どおりのモデルと言えよう。

2Lディーゼル どんな印象?

試乗車は「AMGライン」を装着し、同仕様にOP設定されている電子制御エアサスのエアマティックを装備している。

OP総額は200万円近く、OP含む車両価格は1000万円を超える。


GLC 220 d 4マティック(ハイテックシルバー)    宮澤佳久

搭載される2Lディーゼルは、先代からストローク増により若干の排気量アップ。

パワースペックは197ps/44.9kg-m。ガソリンNA仕様なら最高出力は2L級、最大トルクは5L級。試乗しても大トルクのほうが印象に残った。

全開で加速させても刺激的な加速は得られない。ただ、車重や速度を無視するように力強く加速する。

回転計でのレブリミットは4400rpmに刻まれているが、全開加速でもレブリミットに貼り付けるような変速は行わない。早めのアップシフトで幅広い回転域を伸びやかに使う。

そのせいか許容回転数の低いディーゼルながら頭打ち感が少なく、滑らかさと力強さを両立。瞬発力とか小気味よさでは分が悪いが、ディーゼルらしい大トルクを上手に活かしたドライバーにも同乗者にも優しいパワーフィールである。

マイルドハイブリッドについて

なお、このパワートレインはエンジン/ミッション間に最高出力17kWのISG(電動モーター)を備えたマイルドハイブリッドを採用。

停車前エンジン停止とアイドリングストップに「らしさ」を意識するが、殊更な電動感の演出はない。


「オフロード」モードでは車高を約15mm上げ、「スポーツ」モードでは約15mm下げる。    宮澤佳久

もちろん、緩加速や加速の補助、とくに初期加速の立ち上がりの滑らかさは電動アシストによる部分も大きいのだろうが、運転で感じるのは“扱いやすさ”。

ドライバーの感性との馴染みよさが印象的だった。

エアマティックは車高の調整も可能であり、高速域では車高低下、悪路ではモード切替により車高増加ができる。

フロントノーズ下路面を映し出すモニターや車体傾斜等々の車両情報表示といった運転支援も加えて、悪路対応力は新型GLCのセールスポイントであり、そのグレードアップにエアマティックも相当貢献している。

ただ、電子制御サスの第一の長所は「操安性」と「乗り心地」の両立であり、GLCの“エアマティックの制御の巧みさ”の要点でもある。

乗り心地・ドライブモードを検証

乗り心地はドライブモードを快適性重視の「コンフォート」から操安性重視の「スポーツ」に切り替えても体感上下動(G)に著しい変化はない。

穏やかに走らせていれば「スポーツ」を選択しても穏やか。若干バネ下重量を意識させる車軸周りの揺動が感じられたが、粘りと据わりの利いた乗り心地が“信頼感と快適”を上手に融合させている。


GLC 220 d 4マティックの前席(内装色:パワーレッド/ブラック本革)    宮澤佳久

操安性については低速で小回り性、高速で操安性を向上させる後輪操舵機構の制御特性も含めて、「コンフォート」ではロールを使った横Gの往なし、「スポーツ」ではロール粘りで旋回力を早く立ち上げる。

前者は穏やかな運転と相性がよくコーナリングなどの搭乗者の負担が少なく、後者は追従性よく揺れ返しを抑えた特性。ホストモードとドライバーモードと言い換えてもいいくらいだ。

なおFRプラットフォームは、前後方向のスペース効率がFFプラットフォームより劣る。

GLCも例外ではなく、従来型対比でも有効室内長に大きな変化はない。車体全長は4.7m強、ホイールベースは2.9m近いが、前席をアップライトなドラポジでセットしても後席のレッグスペースはFFプラットフォームのミドルSUVに劣る。

後席・荷室 どんな感じ?

もっとも後席の設えも、厚みと腰のあるクッションや身を委ねるような着座姿勢を取りやすいサイズであり、居住スペース以上の居心地を実現していた。

荷室の奥行きと幅は、ミドルSUVの標準レベル。つまり、平面寸法は一般的なレジャー用途には十分である。


新型GLCの荷室は、フロアボード下にご覧のスペースがある。    宮澤佳久

床面から後席バックレスト上端までの丈、要は荷室高が浅いのが気になったが、これは床面ボードの位置をリアゲート開口との“掃き出し段差なし”としたため。

結果、床面下収納は目視で床面上寸法の2/3くらいの深さがあり、大容量のサブトランクスペースとして活用できる。

インパネ周りのデザインや機能は最近のメルセデス車に共通したもので、メルセデス車ユーザーなら即馴染める。操作動線も上手に整理され、ケレン味ない使い勝手・造形に好感が持てた。

以前は市場動向に神経質な対応をしていた時期もあったが、ここのところのメルセデス車はぶれがない。我が道を行く、というところだが、基本がウェルバランス、あるいはカテゴリーの基本コンセプトに忠実である。

新型となったGLCもそのとおりのモデルだった。これ見よがしの演出や性能のアピールがない。

デイリーユースも、自然の中も

「220 d」というパワートレインのキャラもあるのだが、SUVの使い方の一般論に最適化されたクルマの印象が強い。

取りこぼしのない全方位型なので悪くすれば没個性とも取れるが、「個性的」はアンバランスの言い換えでもある。そういった、あざとい訴求を必要としないのもメルセデス車であり、GLCなのだ。


GLC 220 d 4マティック(ハイテックシルバー)    宮澤佳久

とはいえ1000万円以上の投資である。何かを強く訴えて欲しいと思うのも人情。

全方位型よりも特化型のほうが投資効果を計りやすい。

GLCはアウトドア趣味のレジャーも含めた“生活の場に寄り添ったSUV”であり、無死角とも言うべき高水準のウェルバランスがもたらす安心が最大の魅力。無難な選択だが、多くのユーザーに最良の選択でもある。

GLC 220 d 4マティック スペック

価格:820万円(撮影車両:1014万円)
全長:4725mm
全幅:1890mm
全高:1635mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:18.0km/L
CO2排出量:-
車両重量:1990kg
エンジン形式:1992cc直4ディーゼルターボ
使用燃料:軽油
最高出力(エンジン):197ps/3600rpm
最大トルク(エンジン):44.9kg-m/1800-2800rpm
最高出力(モーター):23ps(17kW)
最大トルク(モーター):20.4kg-m
ギアボックス:9速オートマティック
最低地上高:175mm
乗車定員:5名


GLC 220 d 4マティックの後席(内装色:パワーレッド/ブラック本革)    宮澤佳久