血しぶきや凄惨なシーンも演技の糧に。17歳注目女優・瀧七海はサイコスリラーが好き!?

話題作に出演し続ける女優・瀧七海。今年1月、ドラマ『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』でデビューしたばかりの新星だ。10月からは『クレッシェンドで進め』が放送開始、11月4日には『早朝始発の殺風景』がWOWOWにてスタートと、16歳の勢いはとどまるところを知らない。その素顔に迫る。

好きな映画はサイコスリラーの二大名作

――今月放送がスタートしたWOWOWオリジナルドラマ『早朝始発の殺風景』では、 主人公・殺風景(山田杏奈)の親友、叶井役として出演されています。青春ミステリーである本作の鍵を握る重要人物ですが、演じてみていかがでしたか。

“重い過去を背負っている女子高生”という役だったので、難しかったです。撮影前から不安でしたし、クランクインした後も、「大丈夫か? 大丈夫なのか?」と、気持ちの整理がついていかないこともありました。

――叶井はある通り魔事件の被害者であり、主人公が行動を起こすきっかけとなるキャラクターです。凄惨な経験をした人物の役づくりには苦労されたのではないでしょうか。

そうですね。私は台本をもらったら、「この人物はどういう人間なんだろう?」って深堀りするのが好きなんです。「友人の前では明るいキャラクターだけど、家族にはどういう顔を見せているのかな?」「内面はどんな性格なんだろう?」って考えるのが楽しい。

でも、今回の役のような非日常的な経験をしたキャラクターの場合は、頭で考えているだけじゃなかなか想像が追いつかない。だから、叶井の役は映画を参考にした部分も多いですね。お芝居の参考にする以外にも、映画は好きで普段からよく見ます。

――映画を選ぶときに注目する点はなんですか?

「今度演じる役に似たキャラクターが出ているから、参考になるかも」という理由で選ぶときもあれば、あらすじに引かれて見ることもあります。お芝居の参考にするのはヒューマンドラマが多いかな? 最近見て面白かったのは『君の誕生日』(2020年)という韓国の作品です。

ほかには、サスペンスやミステリーが大好きです! 特に好きなのは『セブン』(1997年)と『ゾディアック』(2007年)。その作品を選んだきっかけがなんであれ、映画を見るときは「お芝居の参考になるところは積極的に盗んでいこう!」と思って楽しんでいますね。

――どちらもデビッド・フィンチャー監督のサイコスリラーですね。女子高生の好みとしてはかなり渋い。

血しぶきとか、鑑賞していてキツくなっちゃうぐらい凄惨なシーンもあるんですけど、演出も役づくりもすごくて見入ってしまいます。今回演じた叶井にも、通り魔事件の被害者という悲しい過去があります。日常では、経験し難いことだから、自分の経験と照らし合わせて理解するのは難しいですよね。でも、映画から得たものを解釈して自分に落とし込んでいくことで、劇中のキャラクターとして“成立”させられるのかな、と思ったんです。

『クレッシェンドで進め』で演じた優等生女子

©WOWOW

――『セブン』も『ゾディアック』も、お話ししている瀧さんからはかけ離れたイメージの作品ですが、そのエッセンスがお芝居に活かされている、と。

『早朝始発の殺風景』の撮影が始まったときは不安もありましたが、クランクアップしたときは達成感がありましたね。私が準備してきた叶井―劇中の叶井が「ちゃんと成立した!」っていう思いから生まれた達成感だと思います。

――同じ事務所に所属されている殺風景役の山田杏奈さんとは、ドラマ『17才の帝国』以来の共演です。

ドラマ『12歳。』で見たときから憧れの役者さんなんです。いつ見ても透明感がすごくてかわいすぎる……先輩に対して言うことではないかもしれませんが(笑)。『早朝始発の殺風景』での山田さんは、ほんわかした雰囲気からキリッと切り替わる瞬間の演技がすごいんです。

そうそう! 撮影の休憩中、山田さんに地元(福岡県)の話をすると笑ってくれるんですよ、カブトムシを近所で捕まえた話とか(笑)。私には普通なんですけど、都会の人には珍しいのかな?(編集部注:山田さんは埼玉県出身)

――本日の取材前も、ドラマのお仕事を終えてこられたそうですね。

『クレッシェンドで進め』(日本テレビ系『ZIP!』内、毎週月~金曜7:50頃~)で、合唱の練習をやってきました。

――長野県の高校を舞台に、合唱コンクールに挑む生徒を描いた『クレッシェンドで進め』。瀧さんはまじめな理系女子・青木を演じています。

私自身、福岡県の少し田舎の方の高校生なので、「地方の女子高生」という役は自然体で演じることができました。青木は普段自分から発言しないおとなしい役なんですけど、言うべきときははっきり物を言うし、怒ったらめちゃくちゃキレるキャラクターなんですよ。彼女のように感情に起伏がある、“突き抜けた役”は演じていて楽しいですね。普段の自分と違うので。

――優等生で理路整然とした青木は普段の瀧さんと近い印象がありましたが、実際は違うんですね。

全然違うんです(笑)。私、見た目から「まじめそう」「自分の考えをしっかり言いそう」って思われがちなのか、そういう役をいただくことが多いんですが……本当の私は受け答えも苦手で、緊張して話せなくなっちゃったりもするんです。

だからこそ青木のような、自分を偽らず主張できる人物に引かれるし、「演じていて楽しい!」と思うのかもしれませんね。普段の私は、いつも“ホワホワ”しています(笑)。

©日本テレビ

リアルな青春はフィクションの中にある

――“福岡の女子高生”として過ごしている瀧さんは、いつもどんな高校生活を送っていますか?

それ絶対聞かれると思ったんですけど、今の高校生って特に変わったことしてないんですよ! 友達と一緒にイオンに行ってプリクラ撮って、映画見て、フードコートでおしゃべりしたりするぐらいかな……。

――コロナ禍で学校の行事も中止・縮小傾向にあると思います。

そうなんです。だから寂しい思いはもちろんありますが、その分『早朝始発の殺風景』や『クレッシェンドで進め』での演技でいろんな学生生活を経験させてもらっているのはうれしいですね。学校がいくつもあるような感じかな。

――実際の高校生活では、合唱コンクールも中止になったとか。

ちゃんとした合唱コンクールは中2のとき以来経験していないんです。なので、『クレッシェンドで進め』で、撮影前に「ここ、どういう音程だっけ?」とか、出演者のみんなで確認しながら練習するのがすごく楽しい。歌っているみんなの心がひとつになる瞬間が素敵ですし、エネルギーが湧いてくる気がします。

――瀧さんが役を演じる中で「本来あったはずの青春」を体験されているように、ドラマの視聴者も作品を通じて青春を追体験されているかもしれませんね。

私自身、役ごとに別の青春を経験しているようですごく楽しいんです。今は福岡と東京との往復で忙しい毎日ですが、全然ストレスではなく、むしろもっと頑張りたいぐらい。

特に今年は17歳になる年で、子供と大人の境目の年。今の私しか見せられないものを見せるためにも、演技も撮影も頑張って成長していけたらいいな、と思います。

取材・文/結城紫雄 撮影/石田壮一 ヘア&メイク/栂野彩香(GiGGLE) スタイリング/伊藤あかり