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2020年12月の発表直後より大きな反響を呼んだ、NTTドコモの料金プラン「ahamo」。若い世代をターゲットとした契約もサポートもオンラインでこなす料金プランで、20GBの通信量と5分間の無料通話などがセットになって、複雑な割引もなく月額2970円というお得かつシンプルな内容であることは多くの人が知る所かと思います。

他社のオンライン専用プランが紆余曲折を経ているのに比べると、ahamoは2021年3月のサービス開始当初から順調に拡大を続けているようで、2022年3月にはもうすぐ300万契約に届く所にまで契約数が伸びているとのこと。発表当初のフィーバーぶりを考えるともっと契約が伸びていても良さそうな感もありますが、現時点で携帯大手3社のオンライン専用プランでは、ダントツの契約数を誇っていることは確かです。

▲「ahamo」の契約数は2022年3月時点で間もなく300万契約に到達するにまで拡大しているとのこと

それだけ順調なことから、ahamoはサービス内容を大きく変えることなく開始から1年を迎えようとしているのですが、その矢先となる2022年3月23日に、NTTドコモはahamoに追加する新たなサービスを発表しました。それが2022年6月より提供予定の「ahamo大盛り」です。

その内容は既報の通りですが、ahamoの料金に1980円追加し月額4950円支払うことで、データ通信量が80GB増えて月当たり100GBの通信ができるというもの。NTTドコモの説明によると、100GBあればリモートワークで映像のあるWeb会議を約240時間こなせるので平日1日8時間会議しても対応できるほか、1話24分のアニメをフルHD画質で見ても121話分視聴できるとのことで、動画関連サービスを頻繁に利用しても十分な容量を確保できることは確かでしょう。

▲ahamoに新たに追加予定の「ahamo大盛り」。月額1980円で80GBのデータ通信量を追加できるオプションで、トータルで月当たり100GBのデータ通信を利用できる

ですがここにきて、シンプルさを追及してオプションも最小限にとどめてきたahamoにオプションを追加したのはなぜでしょうか。同社によるとその理由は通信量が年々増加傾向にあるためで、とりわけahamoがターゲットとする20〜30代はその傾向が顕著だといいいます。コロナ禍で動画視聴の機会が増えたほか、リモートワークやリモート学習などの増加でWeb会議の利用が増えたことなども背景にあるといえそうです。

▲NTTドコモの利用者が消費するデータ通信量は2020年から2021年にかけて増えているが、中でもahamoがターゲットとする20〜30代の伸びは大きいという

そしてもう1つ同社が挙げているのが、ahamo利用者の中にはWi-Fiの利用が不便な環境にいる人が意外と多いことです。外に出ていることが多くWi-Fiが利用できる環境にいない、公衆Wi-Fiが遅い、備え付けの固定回線が遅いのでWi-Fiが不便……などといった理由から、通信速度を求めてモバイル回線を利用するケースというのが意外に多いようで、そうした人達に快適な通信を提供する上でも通信量を増やすオプションを提供するに至ったとのことです。

▲外にいることが多い、自宅の固定回線が遅いなど、快適にWi-Fiを利用できる環境にない人が多いことも、ahamo大盛りの提供理由になっているという

ただ月額4950円という料金は、よくよく考えると同社のデータ通信使い放題プラン「5Gギガホ プレミア」で、「みんなドコモ割」「ドコモ光セット割」などの割引を最大限適用した時の料金(月額4928円)とあまり変わりません。元々ahamoは20GBの中容量、5Gギガホ プレミアなどは大容量という形で差を付けていたはずですが、どちらも大容量の利用が可能となると、ユーザーがどちらを選んでいいのか混乱してしまうようにも思えてきます。

▲「5Gギガホ プレミア」は割引を全て適用すると税抜きで月額4480円、税込みで月額4928円と、ahamo大盛りの料金よりほんの少し安い上にデータ通信が使い放題となる

ですがNTTドコモの営業本部 ahamo推進室長である岡慎太郎氏は、この点について双方のプランは「住み分けができる」と答えていました。ahamoのターゲットは若い単身世帯ですが、5Gギガホ プレミアなどはドコモショップでのサポートや、家族契約で割引になることなどからファミリー世帯などがターゲットとなり、容量が近しくなってもコンセプト自体が違うのでバッティングは起きないとの認識のようです。

5Gギガホ プレミアなどと差異化するのであれば、オプションを80GBに限定せず、KDDIの「povo 2.0」のように複数のオプションを用意して選んでもらうという選択肢もあったでしょう。ですが岡氏によると、ahamoがシンプルでかつ必要なものが含まれているオールインワンパッケージであることを重視していることから、「あまり選択肢を用意すると顧客を迷わせる」とのことで、容量的にも100GBと分かりやすい形でオプションを1つに絞ったそうです。

そしてもう1つ、気になるのが小容量のニーズに応えるための施策です。競合他社はオンライン専用プランを、通信量がより少なく安価な料金を求めるニーズに応える方向に舵を切っていますが、ahamoはそれとは逆に大容量に舵を切っている点も気になる所です。

その理由について岡氏は、ahamoがデータ通信需要の大きい若い世代の利用が多く、大容量通信に対するニーズが大きいことから、それに応えるオプションを提供したと答えています。一方で小容量のプランについては、既に「ギガライト」や「エコノミーMVNO」を提供していることから、そちらでニーズを満たせると判断しているようす。

▲NTTドコモは小容量ニーズには「ギガライト」や「エコノミーMVNO」で応えるとしており、ahamoで小容量プランを提供する考えは現時点ではないとのこと

それゆえ少なくとも現時点では、ahamoで小容量・低価格のプランを提供する考えはないとのこと。ただ一方で、岡氏は「今後についてはahamoだけでなく、全体でNTTドコモの料金をどうするか組み合わせを継続検討していく」とも話しており、状況に応じてプランやオプションを検討する姿勢も見せていました。

そうしたことを考えると、やはり割引もなくシンプルな1プランであることを重視してきたahamoといえど、多様化する顧客ニーズに応えるには複雑化する方向に進まざるを得ない印象を受けてしまいます。もちろんNTTドコモ側も、オプションの数を最小限にするなどしてahamoのシンプルさを維持しようとしているのですが、今後を考えると限界が出てくるのではないか? というのが正直な所です。

これまでの携帯電話料金の歴史を振り返っても、顧客の多様なニーズに応えるべく選択肢を増やした結果、「複雑で分からない」と批判されてシンプルな内容にリセットされ、また顧客の声に答えて複雑化する……ということを幾度となく繰り返しています。1プランで全てのニーズに応えるというのは限界があるだけに、2021年に投入された各社の新料金プランでだいぶシンプルになった料金プランも、今後再び複雑化していくことになるのかもしれません。