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企業の総合力を最大化するには、各従業員のスキルや適性を踏まえ、最適な配置を行うことが重要だ。特に管理職に昇進させる人材を選ぶ際には慎重な見極めが求められる。管理職次第で組織の総合力は大きく左右されるからだ。管理職にふさわしくない人の6つの特徴とは?

■1)リーダーシップがない人

部下を指揮・管理する立場にある管理職には、リーダーシップが求められる。リーダーシップを一言で表すなら「統率力」や「指導力」だ。部下を目標に導きながらうまくやる気を引き出し、プロジェクトを円滑に前進させていく能力が求められるといえよう。

リーダーシップがない人を管理職に据えると、その部署に与えられたプロジェクトが計画通りに進まないケースが増えるほか、成果の質も低くなりがちだ。リーダーシップがある人材かどうかを判断するためには、管理職に昇進させる前に小さなプロジェクトをいくつも担当させてみると良いだろう。

■2)1人で何でもこなせる人

あなたの周りに、1人でどんな仕事でも効率的に器用にこなせてしまう人物はいないだろうか。組織の中の1人のプレイヤーとしては、そのような人物の存在は非常に心強い。しかし、このような人物が管理職としても有能かどうかについては、全く別の話だ。

1人で何でもこなせる人は、人に仕事を頼んだ経験が少ない分、部下を動かす力に乏しいケースがある。そのため、いざ管理職になっても「面倒くさいから自分でやってしまおう」と、多くの仕事を自分で抱え込んでしまいがちだ。これでは部下が育つ機会が失われるし、チームとして大きな成果を挙げることも難しくなる。

■3)特定の人にえこひいきをする人

良いチームとはどんなチームだろうか。さまざまな要件があると思うが、そのひとつに挙げられるのが「良い人間関係が構築されていること」ではないだろうか。

チームを率いる管理職の人物が特定の部下にえこひいきする人だと、チーム内で良い人間関係が構築されにくくなる。チーム内のメンバーの中で「なんであの人ばっかり」などと、余計な軋轢が生まれてしまうからだ。

自分が気に入っている部下をつい、えこひいきしたくなるのは、多くの人に共通する気持ちかもしれない。しかし、その感情を乗り越えてこそ、管理職としての責任をこなしていける。

■4)喜怒哀楽が激しい人/気分屋な人

チームは個人の集まりだ。そのため、一人ひとりが自分の能力を最大限発揮できるようなメンタリティでなければ、チームの総合力も高まっていかない。

管理職の人が喜怒哀楽の激しい気分屋の場合、それぞれが自分の能力を最大限発揮しにくくなる。「失敗したら激怒されるかも…」と萎縮してしまうからだ。部下を叱ることが必要なシーンももちろんあるが、感情に任せた理不尽な怒り方は、部下のパフォーマンスを大きく低下させる。

ちなみに、その人物が管理職ではなくても、喜怒哀楽が激しい気分屋の人がいることは、組織にとって決してプラスにならない。そのため企業としては、怒りの感情をコントロールするための「アンガーマネージメント」の研修などを積極的に導入していきたいところだ。

■5)人に嫌われるのを嫌がる人/事なかれ主義の人/八方美人な人

管理職になったら、勇気を持って組織が抱える問題に立ち向かわなければならない。そのため、人に嫌われることを避ける人、事なかれ主義の人、八方美人な人は管理職に向いていない。

部下を指導するときは、「嫌われてもその部下が育つのであれば」といった気概が必要だ。当然、部下に対する優しさも必要だが、優しさだけでは部下は育たない。そして事なかれ主義では、いつまで経ってもその組織が抱える問題が解決されない。

■6)自己管理ができない人/報連相ができない人

自己管理ができない人も管理職に向いていない。頻繁に遅刻をし、自分の業務の進捗も管理できず、報連相(ほうれんそう)もうまくできない…という人では、管理職として部下のお手本になれないし、何より自己管理ができないのに他人の管理ができるわけがない。

■「勤務年数が長いから管理職に」はもうやめよう

会社という組織において、誰を管理職に昇進させるかは、非常に重要だ。野球のチームを思い浮かべてみれば分かりやすい。誰が監督かによって、そのチームの順位は大きく変わる。高校野球では、新しい監督に変わった途端、一気に甲子園に出場できるチームになった例もある。

そのため企業においては、管理職の適性があるかを見極める評価シートなどを用意しておくべきだ。そのような評価シートは、管理職にふさわしくない人物を昇進させないことに役立つだけではなく、管理職を目指す人材にとっては、身につけるべき能力を示す指針にもなる。

日本企業においても年功序列の企業文化が徐々に崩壊しつつある。その流れにあるいまだからこそ、「勤務年数が長いから」といった安易な理由で管理職を決めるのは、やめにしたい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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