「ただ多くのドアを用意するだけ」中村正人が語るドリカムのデジタル戦略とは?
『未来予想図?』『LOVE LOVE LOVE』『やさしいキスをして』……タイトルの字面をなぞるだけでときめいてしまう、DREAMS COME TRUE(以下ドリカム)の名曲たち。ドリカムのプレミアムな映像と共に、自宅でエモーショナルな気分になれるチャンスが今年も訪れました。

2021年7月7日の「ドリカムの日」に合わせて、最新LIVE『DREAMS COME TRUE Premium Acoustic-Mi Live Show』と、ライブ&トーク番組2作品の合計3作品がAmazon Prime Videoにて独占配信されます。Prime Videoで日本のアーティスト映像作品を7言語・グローバルで独占配信するのは、なんと今回が初めての試みだそう。

映像リリースを控えた中、ドリカムは何を願い、世界に向けどういった“願い”を発信しようとしているのでしょうか。ドリカムの“マサさん”こと中村正人さん(ベーシスト)にお話しを伺いました。



――今回、プレミアムLIVE『DREAMS COME TRUE Premium Acoustic-Mi Live Show』はAmazon Primeでの配信のためだけにセットを作り、ライブ映像を録り下ろしたと伺いました。撮影の感想をまずはお願いします。

すごく面白かったです。通常ライブを収録する際は、ライブツアーの1日をカメラが追ったり、スタジオでテレビ向けに撮影したりすることがほとんど。ですが、今回の場合は演奏するテンションがライブツアーのようでありながら、舞台セットがテレビ向け、という“中間”のような感じだったんです。

テレビ収録なら緊張しちゃって力が出ないし、ライブは吉田美和(ボーカル)が暴れすぎちゃって配信には向かない(笑)。両方のいいところをキュッと納めた撮影になったと思います。

もちろん最初は戸惑いましたが、撮影スタッフに拍手をしてもらったりしながら演奏したので、1〜2曲でだんだん慣れてきて。凝ったセットの中でやる楽しさはありましたね。

――今回、アコースティックなセットで演奏をされているのも、非常にレアなのでは。

コロナ禍の影響で、いつものライブツアーのようにお客さんの前で音を盛大に鳴らすことはなくなった。アコースティック風味な演奏がちょうどよく収まるのでは、と思ったんです。

アコースティックライブ専門の音楽番組「MTV unplugged」をMTV(アメリカ発のケーブルチャンネル)が放映し、アコースティックライブという形式が広まったように、アーティストにも「こういうライブ配信のスタイルがある」ということを提示できたんじゃないかなと思います。



――現在、国内外でさまざまな映像ストリーミングサービスが展開されていますが、そもそもなぜドリカムはAmazon Prime Videoを独占配信のプラットフォームに選んだのでしょうか。

僕ら自身は“ドリカムの音楽が広がってくれればいい”という気持ちで活動を続けています。でも自分たちでグローバルに発信しようとすると難しいじゃないですか。Amazonは流通から映像・音楽配信、さらにはグローバルに情報を届ける方法まで、あらゆるノウハウが集積している場所。環境が整っているからこそ挑戦できることがあるんです。

それに僕らが大切にしているCDのような「手に取れる商品」だって、Amazonならすぐリスナーに届けてくれます。僕、Amazon プライム会員になってからもう20年くらい経ってるんですよ。

――長いお付き合いですね! 日本でAmazonの日本語版サイトが始まったのが2000年なので、ローンチしてすぐ、ってことですよね。

そうそう。その当時は本屋で、2001年からCD・DVDの販売がスタートしたんですよね。僕も吉田もアートブックを買うのが好きで、ハードカバーの海外の本をAmazonで注文していました。

でも最初の頃はプライム会員特典って対象商品の送料が無料になるだけだったのに、いつの間にか音楽を聴けるようになったり、ドラマを観られるようになったり……。たくさんのサービスが特典として付随するようになって。昔からのプライム会員だった身として、良い意味で騙された気分でした(笑)。



――そんな長いお付き合いをされているAmazonのPrime Videoで、多言語・独占配信をする日本初のアーティストがドリカム、というのもご縁が深いですね。

YOASOBIやVOCALOIDのように先進的な配信を行うアーティストはたくさんいるからこそ、たまたまじゃないですかね。

でもコンテンツのひとつとしてドリカムを選んでもらえてよかった、と感じるのは、音楽を聴くことが主目的ではないプライム会員――例えば「対象商品の送料が無料になるからプライム会員になっただけ」というような人にも、ドリカムの音楽を届けられることだと思っています。特に僕らは長年の活動でアーカイブ映像もたくさん残っているので、配信のしがいがあるかもしれません。

映画やドラマを観る合間にドリカムの映像が出てきた時、「ついでに観てみるか」と軽い気持ちで触れてもらえればありがたい。そして幅広い層にAmazonというシステムを遊んでもらうきっかけになればと思います。

――そうやって新しいデジタルの手段を取り入れながら、音楽への間口を広げる活動の根底には、どういった意図があるのでしょうか。

ユーザーが慣れ親しみ、掴みやすいものの中にドリカムの音楽を入れることでドアを増やしたいだけなんです。むしろ、そこに“デジタル”や“アナログ”っていう構造も今やなくて。

今の子どもだってスマートフォンを“デジタル”って意識していないだろうし、僕自身にとってもAmazonのサービスって“アナログ”的存在なんですよね。ショッピングの楽しさを教えてくれるから、言葉としては「ネットショッピング」というよりも、紙のカタログから商品を選ぶ「通販」に近い感覚。

コロナ禍で、生の現場からアクセスする人が減っている。だから別のドアを用意しよう……っていう、それだけの話。ドリカムに興味がない人が“たまたま間違って入ることができるドア”をいっぱい作りたいんですよね。



――ファン会員向けのスマホアプリ「ドリアプリ」での発信や、ヴァーチャル上のドリカム「あっちのドリカム」の取り組みも、ドアの一つですか?

そうですね。「今のタイミングなら、アプリがあった方がリスナーと僕らの音楽をつなぐ近道になるな」と感じたから。ちょうど昨年・今年はドリカムもコロナ禍という条件下でどう活動するかを考えながら、ドアを増やすスキルを上げなきゃいけないタイミングでした。

楽曲もそうかもしれない。今までは4分の尺ならフルで4分聴かないとわからなかったりするようなアレンジで作っていたんです。でも今の音楽リスナーって、冒頭の5秒くらいで楽曲の良し悪しを判断するんですよね。だから冒頭の5秒くらいで刺さるような“イマ向けのアレンジ”を『DOSCO prime』で加えたりもしていました。それもある意味、ドアの一つとも言えそうです。

ただ「あっちのドリカム」を作ったのは、厳密にはコロナ禍は関係ないんです。生身の人間のイメージと音楽が永遠にくっついてると、リスナーの想像力や発想力が限られてしまい、先入観を作品に与えてしまう。あと何百年後かにも作品として成立させるために、僕らとは別の存在であるアバターが欲しいと思ったのが始まりでした。



今は自分の肉体がただただ重い。時代に応じて曲を演奏するための“入れ物”を変えていかなきゃいけないフェーズに入っていると思います。これからヴァーチャルが主戦場になっていく可能性もあるなら、ヴァーチャル・ドリカムのメンバーであるMASADO(マサド)とMIWASCO(ミワスコ)という存在をもって、ヴァーチャルにアクセスできる準備をしないと。

――そうやってドアを増やし、準備を続けた先で、ドリカムのお二人が実現したいのは?

ただドリカムの音楽を伝えたい。それだけです。これらのプロジェクトはドリカムの音楽を伝え続けるためだけに用意していたことだし、シンプルに「聴いてくれるお客さんがいる場所」に向けて音楽を届けるだけ。僕らにとって自然な流れだと思います。特にAmazonという空間の中にはお客さんがいっぱいいますしね。

そしてドアを用意してから先は僕らの今までの活動と同じで、良い楽曲を作り、良いパフォーマンスをすること。今までのドリカムもこれからのドリカムも、何も変わらないですよね。



今回マサさんに魅力をお聞かせいただいたAmazon Prime Videoの独占配信作品は、アーカイブライブ映像8作品と合わせ、7月7日から特設ページ「DREAMS COME TRUE Prime Video Show」にて視聴いただけます。

なお、同日には、DREAMS COME TRUE史上初のオンラインツアー『WINTER FANTASIA 2020 - DOSCO prime PARTY !!! -』の貴重なLIVEとダイジェスト映像を完全収録したブルーレイ& DVDがAmazon限定で販売されることが決定。本商品を予約購入すると、商品には収めきれなかった未公開映像を見ることができる「視聴コード」がゲットできます。

Amazonという空間をフルで活用し、音楽へのアクセシビリティを高めた先にあるドリカムの配信に、乞うご期待。