アプリ版のGoogleマップでは、現在地を自動検出して自分の位置をマップ上に表示することが可能です。この現在地の自動検出機能に存在する「都市部での検出精度が低い」という問題に対し、Androidデバイスに新たなモジュールを追加して改善するとGoogleが発表しました。

Android Developers Blog: Improving urban GPS accuracy for your app

https://android-developers.googleblog.com/2020/12/improving-urban-gps-accuracy-for-your.html

Google promises “spectacular” city GPS improvement with 3D building data | Ars Technica

https://arstechnica.com/gadgets/2020/12/google-promises-spectacular-city-gps-improvement-with-3d-building-data/

Googleによると、Googleマップには都市部において現在地のズレが発生するケースが多数報告されてきたとのこと。この現在地のズレによって、Googleマップの位置情報を活用するライドシェアサービスでは、GPSエラーのためにリクエストしたライドシェア車両が見つからないといった問題が発生することもあったそうです。

この現象の原因は、「高層ビルによってGPS信号が反射される」ことにあります。GPSは衛星から直線的に放たれる信号によって現在位置を算出するというシステムですが、自身と衛星との間に山間部や高層ビルなどの遮蔽物が存在すると本来直進するはずのGPS信号が反射されてしまい、マルチパスという測定誤差が生じます。



このマルチパス問題に対処するため、Googleは新たにAndroidデバイスにプリインストールされているGoogle Play開発者サービスに「高層ビルの3Dモデル」を計算に入れることでGPS信号から算出された位置情報を補正する「3Dマッピング支援修正モジュール」を組み込むと発表しました。3Dマッピング支援修正モジュールは、全世界に存在する3850の大都市に対応し、日本の全主要都市をカバーするとのこと。

3Dマッピング支援修正モジュールは2020年12月に全てのAndroid 8以降のデバイスに組み込まれる予定ですが、実装時点においてはPixel 5と5G対応版Pixel 4aにのみ先行版であるバージョン2の3Dマッピング支援修正モジュールが組み込まれます。バージョン2の3Dマッピング支援修正モジュールを実装したPixel 5によって計測された現在地の例が以下。黄色が実際にPixel 5を持ったユーザーが移動した経路で、赤色が3Dマッピング支援修正モジュールがない場合の現在地の推移、青色が3Dマッピング支援修正モジュールがある場合の現在地の推移です。3Dマッピング支援修正モジュールがない場合は、何度も通りを横切ったかのような測定誤差が出ていることがわかりますが、3Dマッピング支援修正モジュールがある場合は測定誤差がほぼなくなっていることがわかります。



3Dマッピング支援修正モジュールが組み込まれていないデバイスで発生していた「通り1本分現在地がズレる」という現象の発生確率は、バージョン2の3Dマッピング支援修正モジュールでは75%下がり、バージョン1では50%下がるとのこと。3Dマッピング支援修正モジュールのバージョン2は、2021年初頭に全てのAndroid 8以降のデバイスに配信される予定です。