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ツイッター上の投稿で名誉を傷つけられたなどとして、ニコニコ動画で知られるドワンゴの創業者・川上量生氏が、作家・投資家の山本一郎氏を相手取り、損害賠償1円をもとめた訴訟の控訴審判決が11月25日、東京高裁であった。

東京高裁の白石哲裁判長は、請求を棄却した1審判決を支持し、「山本氏の投稿は、川上氏の名誉を毀損するものとは認められない」などとして、川上氏側の控訴を棄却する判決を言い渡した。

この判決後、川上氏は弁護士ドットコムニュースの取材に「お互いケンカしている人の名誉毀損は認められないことが多いので、残念ながら、裁判所はそう判断したんだと思います」とコメント。

山本氏と争っている残りの2つの訴訟に集中するため、今回の訴訟については「上告しません」と話した。

一方、山本氏は「昨今、ネットでの表現を萎縮させるような裁判が乱発される状況の中で、その先駆けとなる本件裁判において高等裁判所が下した判断は順当と感じます。川上量生さんには強く生きていっていただきたいと願っています」とした。

●1審は「請求棄却」だった

川上氏は2018年12月、ツイッター上で「カワンゴ(川上氏の愛称)某は馬鹿だから二枚舌にまったく気づかない」などと書き込まれて、名誉を傷つけられたとして、山本氏を相手取り、損害賠償1円をもとめて提訴した。

1審・東京地裁は、それまでのやり取りを踏まえたうえで、「社会通念上許される限度を超える侮辱行為であるとは認められない」などとして、請求を棄却(https://www.bengo4.com/c_23/n_10924/)。川上氏が不服として控訴していた。

●3つの訴訟が進行していた

この日まで、山本氏と川上氏の間では、3つの訴訟が進行していた。

発端の一つになったのは、山本氏が投稿したブロッキング(アクセス遮断)をめぐる記事やツイートが、川上氏に対する攻撃にあたるとして、川上氏が2018年11月、記事の削除などをもとめて、山本氏が名を連ねる情報法制研究所(JILIS)に通知したことだ。

山本氏は同年11月、川上氏を相手取って、記事を削除する義務がないことを確認する訴訟を起こした。山本氏側はのちに、損害賠償200万円を追加。こちらはまだ1審で裁判がつづいている。

2つ目は今回の訴訟(上記)。

3つ目は、川上氏にネット上に「虚言を述べる」「クズ」「ごろつき」「第三者から金銭を脅し取ってる」などと書かれて、名誉を傷つけられたとして、山本氏が2019年2月、損害賠償500万円をもとめて提訴した訴訟だ。こちらもまだ1審で裁判がつづいている。