新R25では、これまで多くの著名人に取材してきました。

しかし一方で、「まだそこまで知られていない逸材」が、どこかにいるのではないか?という思いも常にあります。

そこで、さまざまなインフルエンサーに、“自分のまわりで、面白いと思う人”を推薦してもらうことに。

今回はどんな「逸メン」が登場するのでしょうか?



説明不要の大物インフルエンサー・堀江貴文さんが今回紹介してくれるのは、お笑い芸人のみのるチャチャチャ♪さん。

みのるチャチャチャ♪(橘みのる) (@tachibanasans) | Twitter
https://twitter.com/tachibanasans

多くの人はこう思っていることでしょう。

「いや、誰?」

…と。

堀江さんいわく、「俺にもどんどんツッコんでくる、ハートの強さがすごい男」とのことですが…。

いったいどんな“強さ”を持っているのか? ご本人を直撃してみることにしました。

〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉



出会いは福岡。「もてなしたがり」だったという堀江さん

天野:
みのるさん、よろしくお願いします。

堀江さんからは「ハートの強さ」がすごいと推薦コメントをもらっていますが…

みのるチャチャチャ♪さん:
それはそうでしょうね。

僕は業界では、「ホリエモンにツッコめる、一番年収の低い男」って呼ばれてますから。


カッコいいのか悪いのか全然わかりませんけども

天野:
堀江さんとの出会いはどういった経緯だったんでしょうか?

みのるチャチャチャ♪さん:
僕、人狼ゲームのイベントのお仕事とかをやってるんですね。

数年前に、知り合いから「堀江さんが人狼ゲームやりたいらしいんですけど、みのるさんも来ますか?」って言われたんですよ。それで、面白そうだから行くって言って。

天野:
堀江さんに興味を持っていたんですか?

みのるチャチャチャ♪さん:
大学生のころ、ライブドア時代の堀江さんをニュースで見てたことを思い出したんですよね。

あんなに“異物感がある、世間への参入の仕方”をした人っていないじゃないですか。それまでテレビに出てる「社長」って品行方正なイメージだったけど、あの人は品行方正さのかけらもないでしょ。

「何なんだろう?」って思ってた興味がフラッシュバックしてきて、その場で「行く」って即答しちゃったんですよ。


「品行方正さのかけらもない」など、堀江さんをコキおろし続けるみのるさん。勘弁してください

みのるチャチャチャ♪さん:
でも、そのあとよくよく聞いたら、人狼やる場所が「福岡」だっていうんですよ

しかも「ギャラも交通費も出ない」って。

えええ〜…って思ったけど、一度行くって言っちゃったし、しょうがないから福岡まで自腹で行ったんですよ。飛行機取るのも直前だったから、往復で10万円ぐらいかかりました…

天野:
痛いですね…

堀江さんとの初対面はどうでしたか?

みのるチャチャチャ♪さん:
いきなりイジられました。「なんだよお前! 顔でかいな!」って。



みのるチャチャチャ♪さん:
急に福岡行ったから泊まるところも取ってなくて、「ゲーム終わったら、絶対飲みに行く感じ出して連れてってもらわないと…」って思ってたんですけど、ホリエモンのほうから「飲み行こうよ」みたいになって。

天野:
へえ〜! どんな夜を過ごしたんでしょう?

みのるチャチャチャ♪さん:
あの人、すごい“もてなしたがり”なんですよ。「ここは絶対行かなきゃ!」って言って、何軒も連れてってもらいました。

オシャレな最新のお店から、4人入るとパンパンになるクッソ怪しいスナックまで。

最後は、「これは絶対食べなきゃダメなんだよ!」って深夜3時ぐらいにカツ丼屋に連れて行かれました。「おいしいけど、違うシチュエーションで来たかったな」って思いましたね。



みのるチャチャチャ♪さん:
ただ、「この人はとにかく人間が好きなんだな」ってことを痛感したんです。

初対面の俺と飲みながら「仕事何やってんの?」「それじゃ売れないね〜」みたいに、すっごい同じ目線で喋ってくれる。

そこからどんどん、彼のこともイジれるようになりました。

絶対アウトな「前科イジり」…

天野:
堀江さんからのコメントにもありましたけど、みのるさんはどんな大物にもツッコんでいけるんですか?

みのるチャチャチャ♪さん:
そうっすねえ、僕は「気を遣う探り合い」は時間の無駄だと思ってるんで。

イジってみて、それで怒るような人だったらどのみち付き合ってもうまくいかないと思ってますからね。

天野:
そうかなあ…なかなかその一歩が踏み込めないんですが…

みのるチャチャチャ♪さん:
この前は、ホリエモンがいろいろ言ってきたから「うるせえよ、前科一犯!」って言ってみました

天野:
ヤバすぎる…!! 堀江さんって「前科者」みたいに言われることにすごい怒ってませんでしたっけ…?

Twitterで持論を述べておられました。これはイジったらアウトなやつや

みのるチャチャチャ♪さん:
いや、そしたら爆笑しながら「二犯だよ!」って返してきたんですよ(笑)。


堀江さんとそんな爆弾のぶつけ合いができる人間がいるのか…

天野:
ええ…

自分だったら、「これ言ったら嫌がるかな」と思ってそんなキレッキレのこと言えないです…

みのるチャチャチャ♪さん:
でもまあ、みんな知ってることじゃないですか。その人が隠してることを暴いちゃうのはよくないと思いますけど…


そういうことなのか…? もっとその技術を教えてください!

イジり上手になる技術は、「自分という個体の操作性を上げること」。そのために…

天野:
「イジる」って難しいじゃないですか。やってるほうが「イジり」のつもりでも、それがイジメやパワハラとして受け取られるっていうのもよくありますし。

うまくイジる技術みたいなのがあれば教えてほしいんですが…

みのるチャチャチャ♪さん:
そうなんですよねえ。

技術ですよね。ありますよ…! うーーん、なんだろうな…

ちょっと考えるから待っててくださいね




よくわからないポーズでシンキングするみのるさん

みのるチャチャチャ♪さん:
あっ、わかった。

「イジる技術」は、「自分がイジられること」です。


「あったあった、これですよ〜!」

天野:
全然わからないんですが…

上手にイジるために、なんで自分がイジられちゃうんですか? キャラ的には真逆のキャラになっちゃいそう。

みのるチャチャチャ♪さん:
まず隙を見せる必要があるからです。隙があるやつにイジられてもムカつかないじゃないですか。

天野:
なるほど。

みのるチャチャチャ♪さん:
隙がない人は「イジり」をやっちゃダメなんですよ。イジってるほうが強くなっちゃいけないから。

イジりは、弱い人間からのひがみや妬みまみれでいいんです。たとえば、ホリエモンが金と時間を持ってるなら「お前なんか、金と時間しかねーじゃねえか!」とかね。

天野:
絶対言えないです


「イジるのは上からじゃなく下からが鉄則」というみのるさん理論

天野:
僕、ふだん上司とかをイジってもあんまりウケないというか、下手だなと思ってたんですけど…

それは自分自身があんまりイジられてないからなんですかね…?

みのるチャチャチャ♪さん:
そうそう。ウケないっていうのは、世間が思ってるイメージと行動がずれてるからウケないんです。

「あれ、隙がないイメージの人がいきなり上司イジってるぞ」ってなっても、笑えない。

「イジっても変な感じになっちゃう」っていう人は、たまに自分がイジられたときに、「今なんでイジられたんだ?」「何が変だったんだろう?」って考えてみるといいと思いますね。世間から見た自分のイメージ像がわかるから。



みのるチャチャチャ♪さん:
イジられると、自分の何が面白いか? 他人と違うのか? がわかるから、「自分という個体の操作性」が上がるんです。会話のハンドリングがしやすくなるんですね。

そうしたら、自分の隙を残したまま、目上の人でもうまくイジれるようになるんですよ。

天野:
あ〜〜、かなり納得してます!!

「ビジネスパーソンはツッコまれビリティが大事」っていう話を聞くことが多いんですけど、それと同じですね…

「堀江さんは、旅行に誘っても交通費は出してくれない」その理由とは?

みのるチャチャチャ♪さん:
あとは、まず大前提としてお互いが「会いたくて会ってること」っていうのが大事かなと思いますね。

天野:
会いたくて会ってる?



みのるチャチャチャ♪さん:
2016年の年末、堀江さんから「ラスベガスで年越しするから、来たいなら来れば」って言われたんですよ。

あの人の誘い方って独特なんです。「来たら、もちろん金は使わせないよ」って言うんですけど、「交通費は自分で出して。来たければどうぞ」みたいな感じ。

天野:
堀江さんぐらいお金がある方なら、交通費も出してくれてもよさそうですけど…

みのるチャチャチャ♪さん:
でもそれをしないんです。「来たくて自分から来た人と一緒にいたい」んですよ。

交通費まで全額出すから来い、っていう言い方だと、別に行きたくない人でも「まあ、行くか」ってなるじゃないですか。

僕が最初にホリエモンと最初に会ったときの話覚えてます? 福岡まで…

天野:
あっ!!! 自腹で行ったのか…!



みのるチャチャチャ♪さん:
そうなんですよ。

だから、相手が自分の意思で来たくてその場に来てるのか、それともしょうがないからいるのか、を見極めるのがけっこう大事な気がしますね。

「連歌? 面白そうじゃん」みのるさんが語る、堀江さんのすごいところ

天野:
なるほどなあ…

みのるさんも、やっぱり堀江さんにはイジられてるんですか?

みのるチャチャチャ♪さん:
そうですね。ラスベガスで年越ししたときも、年越しするクラブまでリムジンで行ったんですけど、あの人のまわりにはけっこうトラブルに遭ってる人もいて。車内で「それに比べてお前はフツーすぎる」って言われまくりました。

全然売れてない芸人がお前とベガスでリムジン乗ってる時点でフツーじゃねえけどな!」って言い返しましたけど。


お前呼ばわりなのも地味にヤバイ

天野:
でも、お互いの信頼関係を感じるエピソードばっかりですね。

みのるさんから見て、堀江さんのすごいところってありますか?



みのるチャチャチャ♪さん:
負けず嫌いなところと、何でもやり切るところですかね。

僕、「短歌」をやってるんですよ。それを言ったら、「へえ、短歌? 面白そうじゃん、やろうよ」ってすぐやろうとしだして。そんなイメージないでしょ?

天野:
そうですね…「そんなもん何が面白いんだよ」とかって言うのかなと…

みのるチャチャチャ♪さん:
「連歌」っていう、上の句と下の句を言い合って長く続ける遊びがあるんですけど、それをやって僕のほうがうまかったら、マジで悔しがるんですよ。

あれ〜? クッソー、事前に考えてた? …わけないもんなあ〜!」って。



みのるチャチャチャ♪さん:
ホリエモン万博(堀江さんが複数年主催しているイベント)で、あの人がピアノで「Let it be」を弾き語るっていう催しがあったんですけど、練習はしてたけどやっぱり下手なんですよ。

でも、間違えまくるんだけど、弾けてないのに最後までやりきるんです。それ見てたらみんな感動しちゃって、会場の空気とかヤバかったですもん。

「おい、やりきったよ!!」みたいな

天野:
感動的ですね…

みのるチャチャチャ♪さん:
そうやって何でもやり切って、まわりの人たちを元気にさせる不思議なパワーがありますよね

遠くから見て彼のことを否定する人もいると思うけど、もっと近くで、そういう姿をみんなに見てほしいなと思います。


「あんまり言うとイジりづらくなるんで、褒めるのはこれぐらいでいいっすかね!」

個人的には、“大物の懐に踏み込んでイジってみる”って、ずっとできないことでした。

やっぱりどうしても「気分を害されるんじゃないか」という恐怖心があって…。

しかしみのるさんは、「人間関係なんて外的要因でどんどん変わるんだから、気を付けててもしょうがない。交通事故が起きることを心配してるより、自分のハンドルの操作性を上げたほうがいいですよ」と語ってくれました。

何かと難しい「イジりイジられ問題」ですが、「ホリエモンにツッコめる、一番年収の低い男」のアドバイスは、参考にしてみてもいいのかもしれません!

〈取材・文=天野俊吉(@amanop)/撮影=森カズシゲ〉