苦しむハムスターの動画をYouTubeに…止まぬ動物虐待、法改正後は初犯で懲役刑も

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 先月、YouTube投稿され拡散、大炎上した動画。洗面台に置いたハムスターに、歯ブラシで犬の毛を染めるカラーリングを擦り付ける様子が映し出され、さらにシャワーの水が顔にも当てられ苦しそうにしている姿も。


 投稿者のチャンネルには、他にもハムスターに激辛の柿の種を食べさせる、狭い場所に閉じ込める、爪切りで歯を切るなどの動画がアップされており、ある動画には「もっとも手っ取り早く有名になるために」といったテロップが。さらにチャンネルの説明文には炎上を煽るような文言があったことから、「ハムスターを面白がって虐待する人間が許せない」「動物虐待として捕まえてほしい」「こういうの平気でできる人がいるのが怖いよ」などの批判の声が相次いだ。


 また、署名サイトには投稿者への逮捕を求めるキャンペーンが立ち上げられ、2万人以上が賛同する事態になっている。署名運動を始めた女性は「本人があれを正当化するようなことを言っていることにすごく腹が立つ。許せない。命で遊んでる。ハムスターは1000円くらいで買えてしまうので、面白いおもちゃを買った、くらいの感覚で飼ってるのかなと思う」と怒りを露わにする。


 ハムスターの診療も行う、みわエキゾチック動物病院の三輪恭嗣院長は「染料が目に入れば結膜炎になったり失明したりする可能性があるし、耳に入れば中耳炎、口から入れば大きな問題になる。全身を染めることも確実にストレスに繋がるし、もともと乾燥した所に住んでいるハムスターがああいった形で全身を濡らされるのはありえないことで、やる意味が全くない行為だし、虐待といえば虐待だ」と指摘する。
 


 その後、「暴力を禁じているYouTubeポリシーに対する度重なる違反または重大な違反」との理由でチャンネルは停止措置を受けたが、 投稿者はすぐに別のアカウントで投稿を再開。以前のような過激さはないものの、ポップコーンの中にハムスターを入れる様子を映した動画などがアップされ続けている。


 ペットブームの一方で、ネットによって可視化される動物虐待。振り回されながら壁に投げつけられ、悲鳴をあげる犬の映像や、散歩中に突然蹴り上げられる犬の映像など、今年に入ってからも様々な動物虐待の動画が拡散・炎上してきた。警察庁の統計では、去年1年間に動物愛護法違反の疑いで検挙した件数は84件にのぼり、統計を取り始めて以降、最多となっている。
 

■猫を連れ去った疑いで逮捕された男「50匹ほど殺した」


 「要するにほぼ閉じ込めっぱなし。せっかく苦労して捕まえてきたのに、すぐに死んでしまったら面白くないから、ただニャーニャー泣いてるのを聞いて楽しんでいた」。そう話すのは富山市の無職・新村健治容疑者(52)。13日、富山県射水市の路上で飼い猫1匹を盗んだ疑いで逮捕された。

 ボランティアグループ「しっぽのこころ」代表によると、周辺では犬猫の連れ去りが相次いでいたという。今月4日、目撃情報などから動物保護団体のスタッフが連れ去った可能性のある男性の居場所を突き止め、直撃する様子を撮影した。


 「1年半の間に何匹くらいした(殺した)?」
 「50匹ほど」
 「みんな殺してその付近に捨ててる?」
 「はい。四方の漁港。道路とかそういうところだったら変死体ってことで、警察に言われたらやばいもんだから道路には捨てない。やっぱ海とか川とかそういうところ」

 男性は1年半で50匹もの猫を殺したことをあさりと告白、捕まえた猫は自宅の浴室に閉じ込め、虐待していたと明かした。

 「お湯かけてるよね?」
 「はい」
 「殴ってるよね、蹴ってるよね」
 「はい」
 「興奮した?」
 「正直なところ」

 男性のスマホの検索履歴には、猫を殴る、蹴るなどのワードが残されていた。

 「どうしてそんなことを?」
 「ストレス発散で」
 「ストレス発散できた?」
 「はい」
 「他に方法はなかった?」
 「なかった」
 「なんでストレスがたまった?仕事?」
 「1人暮らしで誰も相手にしてくれなかたから」

 猫の大量虐待は本当なのか…警察は余罪についても調べている。


■「動物愛護法」とは?


 動物虐待件数の増加について、弁護士でロックミュージシャンとしても活動している島昭宏氏は「動物愛護法の第1条には"動物愛護の気風"という言葉が出てくるが、それがこの10〜20年で急速に高まってきていると思うし、問題だ、告発すべき事例だと意識する人が増えてきたという現れでもある」と話す。

 なお、虐待となる基準について島氏は「動物愛護法の44条に条文があるが、もちろん健康被害が生じるような事例は虐待あるいは動物殺傷罪ということになるし、安全を脅かすといった、それに準ずるようなことも含まれる。また、動物愛護法は家庭動物、展示動物、実験動物、産業動物に分けているが、最終的には食べるんだからどういう扱いしてもいいのかといえばそうではないと思う。最後までどう生きるかということは大事な論点になってくる。フォアグラの話ではないが、やはり生きながら長期間にわたって苦しめることについては考えなければいけないし、食文化の問題もある」と指摘した。 

■動物虐待がさらに厳罰化、初犯で懲役の可能性も

 


 今月12日に、この動物愛護法にペットの殺傷に対する罰則強化などを盛り込んだ改正案が成立した。改正前は「懲役2年以下、罰金200万円以下」だったところが、「改正後は懲役5年以下、罰金500万円以下」に変更。さらに犬猫へのマイクロチップ装着も義務化(繁殖業者は義務付け、一般の飼い主は努力義務)され、生後56日を経過しない犬猫の販売は禁止されることになった。

 「例えば、殺傷罪の罰則が2年から5年になったことにはすごく大きい意味がある。3年までは執行猶予がつけられるので、動物を殺そうが何をしようが2年以下の犯罪だと、初犯の場合は必ず執行猶予がつくと考えていい。それが今回の改正で、いきなり懲役になる可能性が出てくる。告発された警察の意識も変わり、"こっちも忙しいんだよ"というような態度が変わる可能性がある。前回の改正で(2012年)1年が2年に、そして今回、一気に5年と、倍以上になった。2回連続で引き上げられるのは非常に珍しいケース。これも動物愛護の気風が高まっていったということが認識されたという結果だと思う」(島氏)。

 ただ、動物愛護法の対象は「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、イエバト、アヒル、人が占有してい哺乳類、鳥類、爬虫類」で、「魚類、両生類、甲殻類、昆虫など」は今も対象外だ。

 「いわゆるエキゾチックアニマルが売られていて、それこそカエルや亀が全く動けないような小さい入れ物に入れられているケースもある。これはどうなんだということで一生懸命に運動をしている団体もある。ただ、いきなり魚や昆虫まで含めた場合、国民的な合意が得られるのかどうかということだ。今回の法改正で8週齢になるまでは親から離してはいけなくなった。ただ、それは天然記念物になっている日本犬が除外になってる。これも結局は保存協会などがロビー活動した結果だ」(島氏)
 

■動物を使ったショーにも問題点


 動物研究家のパンク町田氏は「動物園については微妙なところもあるが、あれを見て育った子どもたちが、動物たちと仲良くできないかなって考えてくれるきっかけになればいいと思う。ただ楽しむだけで後に何も残らないのであれば、廃止してもいいんじゃないかと思う」と話す。「よく、頭のいい動物は食べたらかわいそうだ、だからイルカやクジラはダメだと言う人もいる。でも牛や豚もけっこう頭が良い。動物は食べていい。だって人間だって動物だし、動物を食べてない動物なんてほとんどいない。牛や鹿だってお腹の中に蓄えてる細菌を消化して生きてるわけだから、結局ああいうのも動物を食べている。だからいいと思う」。

 近年は動物を使ったショーも問題視され始めている。ハブとマングースの対決ショーは、2000年に動物愛護法によって禁止になった。また、イギリス、イタリア、ギリシャ、アイルランド、アメリカ(27州)、シンガポールなど世界40カ国以上で、サーカスで動物を使用することが禁止になっている。ちなみに、日本は禁止していない。そんな中、闘牛、闘犬、闘鶏は伝統行事として社会的に認容されている。闘犬等は法律上の禁止行為に該当しないという。

 「闘犬、闘牛、闘鶏には神事的な部分もあるので禁止しきれない部分もあると思う。こういうのが海外ですぐ禁止になるのはなぜかというと、違法なギャンブルや禁止した薬品の取引現場に使われやすいから。日本でも闘鶏に向かう可能性がある。いずれにせえよ、獣医師立ち会いのもと、ドクターストップもできるようにしてほしい」(パンク町田氏)。
 
(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
 
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