「それぞれのユーザーに合わせてデザインや構造も機能など、さまざまな要素を考慮した最適なものづくりを生み出す『コンピュテーショナルデザイン』と呼ばれる考え方が広がっています。従来の行政サービスにこうした発想を持ち込むのは容易なことではありませんが、利用者が何を求めるのかという視点は施策立案においても必要です。その際には(柔軟なシステム開発を可能にする)アジャイルといった発想も実現のカギを握るといえます」

 -経産省ではまさにその「アジャイル開発」を積極的に取り入れる方針です。同時に民間からIT専門人材の登用を進めています。こうした取り組みの成果を最大化させるカギは何でしょう。

 「民間企業でも、テクノロジーに精通した最高デジタル責任者(CDO=チーフ・デジタル・オフィサー)を外部採用する動きが広がっています。ただ、一定の予算規模と実動部隊を持っていないと技術の『指南役』に終始してしまう懸念があります。新たな開発手法をどんどん取り入れたい事業部門と『レガシー』に縛られるIT部門との調整に疲弊するケースも少なくありません。デジタル戦略をどう位置づけるのか、トップの明確な方針が求められます」
 
失敗恐れず長い目で
 「もうひとつ重要なのは、失敗を恐れず長い目で取り組む姿勢です。改革の過程では、国民にその意義を訴える努力も必要でしょう。これまでの手続きとの違いに戸惑うことがあるかもしれませんが、世界に誇れる行政サービスへの一歩を踏み出していますから、国にも試行錯誤が必要だと発想を変えて下さい-と。国民の理解を得ることは一朝一夕にできることではありませんが、国民の寛容性と両輪でなければ、世界の流れには追随できてもデジタル・ガバメント『先進国』にはなれないのです」