授乳服・ケープどっち? 光畑由佳さんに聞いた“赤ちゃんを泣かせない”コツ

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母乳育児を始めてみたものの、お出かけ先での授乳はママたちにとって悩みのタネ。

授乳服での授乳ってどんな感じ? 【動画で見る】

移動中におっぱいを欲しがったら?目的地に授乳室がなかったら?

「授乳服」と「授乳ケープ」のメリット&デメリットは?

子育てと社会が共存する環境“子連れスタイル”を提案するNPO法人「子連れスタイル推進協会」代表で、授乳服開発のパイオニアでもある光畑由佳さんに聞きました!

外出先「泣いたらどうしよう」なんて心配とサヨナラする方法

――子連れでのお出かけに不安を持つママはたくさんいます。
赤ちゃんを連れて歩くのに、何かコツってあるんでしょうか。

『母乳で育てているママであれば「すぐ授乳」できるようにしておくこと、でしょうか。

赤ちゃんが泣く原因って「体調が悪い」とかを除けば、「さみしい」か「オムツ」か「お腹が空いた」ですよね。
ママが抱っこしていれば「さみしい」というのはないでしょうし、お出かけ前にオムツを換えてきていれば、しばらくは大丈夫。

となると解決すべきは「お腹が空いた」、つまり「おっぱい」ですよね。』

――泣いちゃったら直ぐにおっぱいをあげることができれば、泣きやむから安心ということでしょうか?

『違います(笑)。泣く前にあげていれば、そもそも泣く理由がないんです。

だから「すぐ授乳」できるようにして出かければ、「泣かせたらどうしよう」という心配すらしなくていいんですよ。』

――たしかに! 公の場で泣いたら……というのは、ママにとって一番恐ろしいことですからね。

『そう考えると「すぐ授乳」できる母乳はやっぱり楽なんですね。

詳しくはまたの機会にお話ししますけれども、母乳育児を楽にできて、母乳育児で楽できるママが増えるように、我々ももっともっと、正確な情報を発信してゆかなければならないと思っています。』

――とはいえ、母乳で物理的に「すぐ授乳」できるにしても、それを「外」でとなると……
授乳室のあるところばかりではないですし、何より人目もありますし。そう簡単にもいきませんよね?

『(笑)それが、そんなことないんですよ。』

電車内でやむなく授乳、
ママの実体験から生まれたひらめき

『私には3人の子どもがいるのですが、真ん中の子が生後1カ月を過ぎた頃だから18年ほど前のことになるでしょうか。

健診で外出OKも出て「サァ出かけるか!」ということになって、自宅のあるつくばからバスと電車を乗り継いで、立川(東京)の友人のところまで遊びにいったんです。

そうしたら、東京駅で中央線に乗ったところで、子どもが泣き出しまして。
泣きわめく赤ちゃん、目立ちまくりですよ。

周りは「何とかしろよ……」という感じですし。
そりゃもう、立ってみたり座ってみたり、あやしたり、お尻を覗いてみたり。

でもお腹が空いているから、どうしようもなくって。

あれは吉祥寺のあたりだったかな、ブラウスのボタンを開いて、その場で授乳しました。』


――電車を降りる、という選択肢はなかったのですか?

『なんで降りなかったのか、ですか。
正直、そこまで頭が回らなかった。

いま思えば「降りればよかった」んでしょうが、パニックになっていたんでしょうね。頭の中は真っ白ですよ。

1人目はミルクだったので「この子は母乳が出るようになったから、大荷物を持たずに身ひとつで出かけられる♪」って、実はルンルンで出てきたんですよ。

でも、赤ちゃんが泣くことは分かっていたんですけど、いざその時にどうするかは、何の備えもしていなかった。

母乳指導をしてくれていた助産師さんからは「母乳は楽よ」と言われていたのに「話が違うじゃないか!」と。

「なんで人前で胸を曝さなくてはいけない?」、「これじゃミルクの荷物を持って出たほうがいいじゃないか!」と……そんな風に思いました。』


――それが“子育てスタイル”のご活動のきっかけに?

『いえ、本当のスタートは、その後じゃないかなと思っていて。「どうして当たり前におっぱいをあげられないのか?」、「自分にできることって何?」といろいろ考えたり調べたりしているうちに、「授乳服」というものがあることを知りました。

それで海外から取り寄せて、着てみたんです。

そうしたら……』

ママの“制限”をとっぱらえ!

――そうしたら?

『サーッと雲が晴れて、パーっと空が見えてくるような、外の世界へのパスポートをもらったような、そんなものすごい解放感があったんですよ。

生後1カ月の赤ちゃんを連れて上京するような私ですから、もともと「子どもがいるから我慢」という考えはなかった“つもり”だったんですね。

それが自分にも、こんなに制限があったのかと気付かされた。

「子どもがいるから出かけられない」という状況を、服1枚で解決できるなら解決しよう!と授乳服を作り始めて、のちに授乳服メーカー「モーハウス」を起業していまに至ります。

赤ちゃんを連れて、こんなに楽に外出できる!

初めて授乳服を着た時の、自分の意識が180度変わったあの体験が“子連れスタイル”活動のスタートになりました。』

「授乳服」と「授乳ケープ」メリット&デメリットは?

――その「授乳服」ですが、それでも「見えちゃうんじゃないか」という点がやはり気がかりです……

『例えばモーハウスには“ほんものの授乳服”のための「モーハウスの10か条」というのがあるんですが、それはさておき(笑)
大切なことはふたつだと思っています。

公的な場で授乳ができること、つまり胸やお腹が見えないこと。

そして赤ちゃんのために「すぐ授乳」できること、です。

百聞は一見に如かずですから、まずは見てみてください。』

――こんなに見えないんですね! これなら、周りから胸が見えないどころか「授乳中」だってことすらバレませんね。

『ユーザーさんからもおかげさまで、たくさんの成功体験が届いています。

「親せきそろって出かけましたが、すぐ隣にいた義理の弟に気付かれずに済みました!」とか(笑)』

――デザインも「ザ☆授乳服」といった感じではなく、フツーにおしゃれですね。これなら卒乳した後も着られそう。

『ひびのこづえさんなど、いろいろなデザイナーさんとコラボした授乳服や授乳ブラも作り始めています。

自分が授乳服を作り始めた頃は日本には授乳服そのものがなくて、アメリカから取り寄せたのですが、デザイン的にも「だっさーい」ものしかありませんでした。

どんなに機能的でも、ダサいのはイヤでしょ?』

『表参道にショップを構えていることもあって、おかげさまで授乳中でもなんでもない方が「デザインが気に入ったから」と買い求めてくださることもあります。

また産前産後のデリケートなママや赤ちゃんにやさしい素材を使っているので、その手触り・肌触りの心地よさで選んでくださることもあるようです。

でもね、経営者としてはまだまだだと思っています。

いろんなママがいるわけですから、もっと尖がったラインナップがあってもいいんじゃないかな、とかね(笑)』


――ところで「授乳ケープ」については、どうでしょうか。

『「授乳ケープ」も以前は「授乳服」同様、見た目的に「これ付けるの?」というようなものしかありませんでしたよね。
そういう意味では、最近は進化してきているのかもしれません。

ただ「すぐ授乳」できるかといえば、準備の時間は必要ですよね。

また「授乳してます」ということが明らかなので、却って目立ってしまう。胸を「隠す」という点ではたしかに隠せていると思いますが、それでよしとするかどうか。

子連れママのマナー問題にも絡んでくると思うのですが、それはまた別の機会にお話ししましょうか。』


――私自身「授乳ケープ」も使用していますが、授乳時のことをある程度気にしないでオシャレを楽しめるというメリットもあります。
出産前のお気に入りの服を着て、我が子とあらためて街に出られるというのもうれしかったり。それぞれにメリット、デメリットを考えて、ママと赤ちゃん、また社会にとって最適なセレクトができたらいいですね。

赤ちゃんとのおでかけ、躊躇しているママへ

――最後に、子連れでのお出かけを躊躇しているママへアドバイスをいただけますか。

『「思い込み」を捨てましょう!

赤ちゃんと一緒に出かけたい、でも子どもが泣いて周りに迷惑を掛けてもいけないし、おっぱいをあげる際に、微妙な気遣いも強要したくない。

マジメな人ほど、そんな風に思い悩んでいます。

けれども「赤ちゃんと一緒に出かけて」、かつ周りに「迷惑を掛けず」、「気遣いをさせない」、そんな選択肢もあるんですよ!

例えば、モーハウスのスタッフはほとんどが乳幼児のママなのですが、突然「新幹線で○○まで出張に行って!」といわれても、時間さえ許せば「ハイ!」と行っちゃいます。

むしろ「子連れなら安心して出張も行けるけど、子どもを置いていけと言われるほうが預け先の確保とかイロイロ面倒で、どうしていいか分からない」というくらい。』


――え!?赤ちゃん連れで新幹線に乗る時には、1カ月前に多目的室に近い指定席を予約するのが必須だと思っていました。
帰省の時期なんて争奪戦で……

『そういう“要らない苦労”が、まだまだたくさんあるんです! そんな苦労は“要らない”んです、みんな気付いて〜ッ!

そしてそういう苦労を捨てて“楽”をするために、ママは自分のために、お金を使っていいんですよ。

このことについても別の機会にお話ししますが、それがママの、赤ちゃんの、そしてひいては家族のためになります。

ママたちが“ガラスの天井”を打ち破って、外の世界へ気楽に出てこられるソリューションを「子連れスタイル推進協会」として、また授乳服メーカー「モーハウス」として、創ってゆこうと思っています。

子連れのお出かけと出先でのおっぱいは、実はちっとも大変なことではありません。

ぜひ、赤ちゃんと一緒に、楽しく、らくちんにお出かけしてくださいね。

光畑 由佳(みつはた ゆか)氏 プロフィール

子連れスタイルで子育てと社会を結びつけ、多様な生き方や育て方、働き方を提案するNPO法人「子連れスタイル推進協会」代表理事&授乳服メーカー「モーハウス」代表。三児の母。内閣府「暮らしの質」向上委員会委員、経済産業省「中小企業経営審議会」臨時委員、茨城県ユニセフ協会評議員。趣味はお産・おっぱい・建築とのこと。