全国大会でも優勝! 帝京大学の「ACLS研究会」は救命処置で日本一!
帝京大学に『ACLS研究会』というクラブがあります。この「ACLS」とは一体なんのことでしょうか? また、この研究会は『CPR選手権大会』という全国大会で優勝していますが、このCRPというのも何のことなのでしょうか。今回は、このACLS研究会がどんな活動をしている団体なのか、代表の帝京大学医学部4年・鈴木優太郎さんにお話を伺いました。
■一次救命処置や二次救命処置について学ぶ
――「ACLS研究会」について、どのようなクラブなのか教えてください。
鈴木さん 当研究会では医学部、薬学部、医療技術学部(看護学科など)が一堂に会する帝京大学板橋キャンパスの特徴を生かし、学部の垣根を越えてBLS、ACLSについて自主的に勉強会を行い、いざというときに適切な処置を行えるように日々訓練しております。さらに、市民公開講座などを通して、医療従事者のみならず一般市民の方々にもいざというときの適切な対応について広く啓蒙(けいもう)していくことができるよう日々努力しています。
――皆さんが勉強されている「ACLS」「BLS」とは何なのでしょうか?
鈴木さん ACLSというのは「Advanced Cardiovascular Life Support」の略で、日本語では「二次心肺蘇生法」や「二次救命処置」などと訳されます。これはつまり、道端で倒れた人などが救急車で病院に運ばれてから、医療従事者が行う救命処置のことです。
これに対して、その場に居合わせた人が、救急車が来るまでの間に行う処置のことをBLS(Basic Life Support)、日本語では「一次救命処置」と呼びます。BLSでは人工呼吸や胸骨圧迫、AED操作などを行いますが、患者さんの社会復帰には救急車が到着する前にこのBLSを正しく行うことがとても大切になってきます。
――発足の経緯を教えてください。
鈴木さん 学生のうちからBLS、ACLSの正しい知識を身に付けることを目的に、帝京大学医学部救急医学講座の坂本哲也主任教授のサポートの下、2003年に医学部学生が主体となって設立されました。
――現在は何名が所属されていますか?
鈴木さん 医学部、薬学部、医療技術学部合わせて約100名の部員が参加しております。
――かなり大きな規模の団体なのですね。活動内容について、具体的に教えてください。
鈴木さん 普段は月に一度の勉強会で人形などを使いながら胸骨圧迫(心臓マッサージ)やAEDの使い方などについて勉強しています。基本的には、上級生が下級生に教えるような形で学生主体の勉強会となっておりますが、時には第一線で活躍されている先生にお越しいただき、指導いただくこともあります。
最近は、2015年に行われました『全国医学生CPR選手権大会』に向けての練習や、他大学のACLS研究会で行われている勉強会に参加させていただくなど、大学の枠を越えて活動を行っております。
■心肺蘇生法の全国大会で優勝……!
――これまでの活動実績を教えてください。
鈴木さん 2015年の『第一回全国医学生CPR選手権大会』では、関東・甲信越ブロックで総合優勝。そして全国大会でも総合優勝しました。
――全国優勝された「全国医学生CPR選手権大会」とはどんな大会ですか?
鈴木さん 本大会は、全国の医学生の心肺蘇生技術の向上を目的に、日本救急医学会主催で2015年度から始まった大会です。予選も含めて全国31校の医学部(1チーム5人)が参加し、成人、乳児に対する人工呼吸、胸骨圧迫(CPR)の深さ、リズム、テンポなどの正確さをシミュレーターによって点数化し、点数の高さを競います。個人戦と、3人1組で行うチーム戦があり、全ての合計点で総合順位が決まります。
――ブロック大会と全国大会でも、同じ内容で競うのですか?
鈴木さん 全国大会では実技に加えて「筆記試験」も行われ、正確なテクニックに加えて正しい知識も要求されます。私たちは予選でフェイスシールド部門1位、ポケットマスク部門3位、決勝戦では乳児CPR部門で1位を獲得し、予選、決勝戦共に総合優勝をすることができました。
――大会に参加されて勉強になったことはありますか?
鈴木さん 今大会でポイントとなるのは、質のいい胸骨圧迫(CPR)と人工呼吸です。質のいいCPRの条件として「強く、早く、絶え間なく」という3要素が重要となります。これらの要素は、胸を押す強さは胸が5cm以上沈むほど、速さは1分間に100回以上、中断は10秒以内といったように細かくガイドラインで決められていて、これらをいかに正確に行うかによって点数が大きく変わってくるのです。私たちはチーム全員が何度も繰り返し練習を行い、大会前にはかなり正確にこれらの手技をこなすことができるようになりました。
私たちの活動の最終的な目的は、いざというときにこれらの手技を正確に行い、患者さんを救命することですから、今回の大会、そしてその練習を通して、実際に目の前で人が倒れたときに少しでも正確に、そして冷静にこれらの手技をこなすことができるようになったのではないかと思います。
――より高いレベルの技術を会得できた、ということですね。
鈴木さん そして何よりも、「横のつながり」を築けたことが最大の成果です。私たちのように、救急救命について学生主体で勉強しているサークルは全国の医療系大学に存在しますが、サークル同士の交流はほとんどありませんでした。しかし今回の大会を通して、北は北海道から南は九州まで、全国の同じ志を持った仲間たちと意見交換し、そして互いの勉強会に参加するなどのつながりが生まれたことを本当にうれしく思います。
■覚えることでいざというときに役立つ
――鈴木さん個人の、将来の展望はありますか?
鈴木さん 私は現在4年生で、座学による学習を一通り終えて病院実習を行っております。現場は、教科書どおりにいかないとよくいわれますが、本当にその通りであることを実感しております。今までACLS研究会を通して、教科書で学んだ知識やシミュレーターを使って練習してきた手技は、実践しなければいわば「机上の空論」でしかありません。今後現場に出るに当たって、今まで学んだことをしっかりと実践に生かしていきたいと思います。
そして私は今年度をもってACLS研究会の代表を引退しますが、今後は現場での実践を通して新たに学んだことを少しでも後輩たちに伝え、次世代の育成に励みたいと思っております。
――読者には大学生のほかに大学入学前の高校生、中学生も多くいます。彼らにメッセージをお願いします。
鈴木さん 心臓マッサージと聞くと、なんだかとても難しいことのように感じてしまうかもしれません。だけどこれは練習すれば誰でも必ずできるようになるものです。そして、もしかしたらあなたの手で消えかかった大切な人の命を救う日が来るかもしれません。学ぶのが遅すぎて後悔することはあっても、早すぎるということはないでしょう。帝京大学板橋キャンパスのオープンキャンパスでは中高生向けに私たちACLS研究会がさまざまな体験コーナーを設けていますので、気軽に遊びに来てみてください。
――学んでおけばいざというときに役に立つかもしれませんね。
鈴木さん なんだか堅苦しくなってしまいましたが、BSL・ACLSというものは実際に体を動かして学んでみると案外楽しいものです。勉強くさくて苦手だと思ってしまっている全ての人に、この楽しさを伝えることも私たちの重要な使命だと思っております!
――ありがとうございました。
鈴木さんの言うように、救命処置を覚えておくことで、もしものときに人の命を救うことができるかもしれません。救命処置は自動車教習所などでも習うことができますが、やはり専門の人に教わるのが一番でしょう。機会があれば、ACLS研究会の体験コーナーに参加してみてはいかがですか?
帝京大学ACLS研究会のfacebookページ
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取材協力:帝京大学、帝京大学ACLS研究会
(中田ボンベ@dcp)
