◇「人気ブロガーもやってるうちに失速して、新しいブロガーに競争で負けていなくなる」


土屋:ネットは自分で見たいものを選べるんだから、その中で質が高いなというものは作れないんですか。

山本:それもいっぱいあるんですけど。1年半くらい前から「キュレーション」というキーワードが出てくるわけです。

土屋:ネット上の情報を収集してまとめること、ですか。

山本:日本にもWebで名前の知られるキュレーターがいるんですが、“彼がチョイスする記事は質がいいに違いない”という期待値がある。それはエディターの発想なんですね。昔はそれがパッケージ化されて週刊誌になっていたんですが、最近はそれを個人が発信しているんです。そうなったときに、自分のフィーリングにあう記事を選別してくれる人、キュレーションしてくれる人を選ぶ行為になってくるわけです。そうなるとTwitterでフォロワーが増えたり、キュレーションサイトを立てたり、キュレーションアプリでコーナーを持ったり…ということになってくるわけです。

それとはまた別のベクトルで、もう一つは話題を作る人「トピックメーカー」といってるんですけど、自分が思ってることを自分で記事に書く人がいる。そういう人達も一定の割合いて、これが全体の質を高めるための1つの流れになっているわけです。

土屋:その上位0.1%になろうという人は時代時代で変わっていくんでしょうか?それともずっと同じ?

山本:僕はパソコン通信を始めてから今まで、だいたい25年くらい掲示板文化に触れてきたんですが、過去にやっていた人は磨耗していなくなっていくんです。人気ブロガーもやってるうちに失速して、新しいブロガーに競争で負けていなくなっていく。だから、ずっと上位0.1%に居続ける人っていないんです。そこはすごくフローな部分なんですよね。

中川:山本さんみたいにずっと居続けるのは珍しいですよね。

土屋:それはやっぱり常にアンテナを張っているからできるんですか?

山本:これは中川さんもそうですし、僕も似たところがあるんですけど、当たり前のように記事を書いてるんですよね。「何かしなきゃ」と思ってるわけではないんです。

中川:毎日ウンコとかションベンするじゃないですか。それと一緒ですよ。

山本:「飽きたから明日からメシ食わない」とかってないじゃないですか。だからそういう行動が染みついて完全に生活の一部となっているか、結婚や就職など、ネットの他に重要なことができたから書かなくなるか、その差だと思うんです。前者は書き手として生き残る可能性はありますが、後者はノーチャンスです。