◇「一番話題が長持ちするのは絶賛一色ではない」


土屋:最近よく見るのは「テレビで誰がどんな発言をした」って記事。その下のYahoo!コメントなんかを見てると「サボってる」とか「もっと取材しろ」とか、あれは最新な感じなんですか。

山本:もともとオルタナティブとしてネットとの間でツッコミをしたりされたりすることもテレビが生き残る道なんで、単純にテレビがインターネット化していくためのひとつの作法だと思っていただければ。

中川:俺たちも、ブログやTwitterを元に記事をつくるというせこい手法を作ったんですけど。それはなぜかというと、芸能人の記者会見に行くでしょ、でもそこではつまらないことしか言わないんですよ。記者が「七夕は大事な人と過ごすのですか?」みたいな色恋沙汰を何とか取ろうとしても、「はい。お母さんと一緒です」みたいな展開になってズッこける。それだったら、ブログでおもしろいこと言ってるやつのコメントを出したほうがいいじゃん、って。

でも昔ながらの記者って現場に行くのが記者の仕事だと思ってるけど、行けばいいってわけじゃない。実際におもしろいのはブログだったりする。だから、テレビも見てる人の思うことがおもしろいかもしれない、そこを使って何が悪いって発想なんです。テレビも社会で起こった事件の1つであるという考えのもとに、テレビやラジオ発のニュースがたくさんあるという。最近なんて張本勲氏が『サンデーモーニング』(TBS系)で「喝!」を入れるだけでニュースになる。あとは『サンデー・ジャポン』と『ワイドナショー』での過激発言も大抵ニュースになっている。

土屋:ああいうところのコメントって、PTA的な批判もたくさんあるじゃないですか。そういうのを見てどうですか。

山本:あれは肥やしなんです。

土屋:肥やし?批判がですか?

山本:一番話題が長持ちするのは絶賛一色じゃないんです。賛否両論なんです。みんな誰もがケチのつけようのない立派なお話というのは、面白くありません。視聴者、読者全員が「そうですね」「わかりました」「禿同」で終わってしまうと話題はそこで終わりです。

一方、元の記事に対して賛否両論であってくれれば、みんなが話題を引っ張ってくれて、あーだこーだ議論になり、その記事がしばらく話題になり続ける。その元の記事に対してアクセスが集まる。これが70時間超えてくれると、その炎上は成功ってことなんです。ネット上での炎上は、2日半をひとつの基準にしてるんですけど。

中川:それを越えると、他のおもしろい対象が出てきちゃうんですよね。逆に、3日間放っておけばみんな忘れちゃう。炎上しても3日間耐えれば興味は他に行くから安心しなさい、っていう炎上耐性を身につけることも大切ですね。

土屋:炎上させるのはいけない事と思っていたんですが、お二人の話を聞いていたら、炎上させなくちゃいけないのかなと思えてきました。

山本:いやいや、そんなことはないんですけど(笑)。