世田谷区にはグルメなお客と美味しい店が集まっている。中でもとりわけ、世田谷線沿いにはお散歩しながら足を運びたくなる美味しいお店がたくさん。

気軽に入れるハンバーガーやカレー、デザートまでが名店ぞろい。普段着で行ける日常の幸せがここにある。三軒茶屋から下高井戸駅までの、ノスタルジックな路面電車の風情漂う世田谷線沿いを、グルメ散歩しよう!



「ナスとナッツのパテ バジル風味」、「トリッパと牛小腸のトマト煮込み」など。ワインは丁寧に造られた飲み疲れしないものが揃う
イタリアの自然派ワインとタパス『ブリッカ』

三軒茶屋


三軒茶屋には一人でもふらりと入れるような、居心地良くこじんまりしたバル&ビストロが多い。

2010年に店を構えた『ブリッカ』もそのひとつ。三軒茶屋の栄通り商店街の先にある、自然派ワインにこだわったイタリアンバルだ。

ワイン1杯、料理1皿からOKと使い勝手は抜群な上、空豆とそのペーストを練りこんだ爽やかな冷製ニョッキにも、凝縮感のある香りと酒を呼ぶ塩気が絶妙な熟成ヒコイワシのマリネにも、料理人の技と創意がしっかり発揮されている。

リストランテ仕込みの味をカジュアルに楽しませるこんな店が、散歩した後の食事にぴったりだ。




肉料理をはじめ、魚、野菜そしてワインと、手の込んだ旬の季節ものを楽しむことが出来る。落ち着く隠れ家のような印象
深夜まで美味しい隠れ家ビストロ『ヌガチン』

三軒茶屋


三茶という街には、ほっと一息ついてリラックスさせてくれる、人には教えたくない隠れ家ビストロがある。

こちらの『ヌガチン』では、パリのビストロのまかないでいただけるような気取らないメニューが楽しめる。

マヨネーズやコンフィチュールは自家製。疲れた身体を癒すよう、ほのかにビネガーを効かせるのが大塚氏流の思いやりだ。

シェフが仏時代に通ったマルシェでは、スパイスの魅力にも開眼。例えばアニスを効かせたハチノスやギアラの煮込みも美味。

ここにくれば、きっとみんなが笑顔になれる店だ。




赤身肉のみで作り上げたパテと揚げたてのマッシュルームにベーコン、チーズ、グレービーソースを絡めた具材が舌を楽しませる
正統派アメリカンダイナーならここ『ベーカーバウンス 三軒茶屋本店』

西太子堂


三茶から西太子堂に歩いて行くと、有名ハンバーガー屋が多いことに驚く。

2002年オープンのハンバーガー好きにはたまらない有名店がこちら。アンティークなライトが灯り、’50〜’60年代のポスターが飾られた空間はアメリカンダイナーさながら。

看板メニューは常時10種類以上が揃うハンバーガー。パテは、ひき肉ではなく、裁断した牛肉を練り合わせるスタイル。それを炭火で焼き上げることで、インパクトのある食感と、噛みしめる度に溢れ出す旨みを生み出しているのだ。

さらに、具材となるのは、鉄板の上でグリルされる野菜や自家製のベーコン、ラタトゥイユ、マッシュルームのグレービーソース仕立て……。それぞれの具材が、1品料理としての完成度を持ち、口の中で調和する。

ハンバーガーをファストフードから手間ひまかけたグルメバーガーに昇華させた元祖の店だ。ハンバーガーのひとつの理想のカタチが、ここにある。




「鬼おろしそバーガー」。放牧牛のパテにのった水気を絞った鬼おろしと紫蘇が爽やかな和風ハンバーガー。完全天日干しの土佐の塩丸が絶妙の味わい
和を取り入れた大人の味わいのバーガー『ハラカラ。』

西太子堂


こんなハンバーガー食べたことない!そんな驚きがあるのが『ハラカラ。』の鬼おろしそバーガーだ。ややハードなバンズに挟むのは、タスマニアビーフにオニオンソテーを入れたパテ。

調味料は天日塩と黒胡椒のみ。50度洗いを徹底した野菜と、たっぷり入った鬼おろし、熟成プレミアムビーフのコンビネーションは洗練の極みだ。

凝縮された旨みとボリューム感がありながら、完食しても胃袋は軽やか。「肉もイイけど野菜もネ♥」な気分に応えてくれるバーガー。一度食べればヤミツキになるはず!

ハンバーガーをほおばって、また世田谷線沿いの散歩を続けよう。


次は、若林〜松陰神社前。地元に愛されるカレーや絶品うどんなど♪



辛さが選べる「ポークカレー」と「チキンカレー」が絶品。また、「野菜カレー」は水・木曜限定で提供している
世田谷の王道カレーならここへ『チャナ』

若林


世田谷には、カレーの名店も多い。

『チャナ』のカレーは、ラードで炒めた玉ねぎの甘みと、シャープに立ち上がるスパイスの香りが特徴だ。

新鮮さが自慢のスパイスは辛みが鋭角で、鼻から香りが抜けた途端、額に汗がジワリ…。これがまたじつに心地いい。ルウにコクを加えるのは、大山鶏のもも肉。人気の食材をさり気なく使うのも粋である。

散歩でひと汗かいてビールとカレー、最高じゃないか。




メインの肉料理が絶品。「豚バラ肉のリヨン」
フランスの家庭的な味を直球で伝えるビストロ『ビストロ アルボワ』

松陰神社前


この数年、松陰神社前駅が、世田谷グルメ民にはアツい街になっているのはご存じだろうか?こじんまりした小規模経営のグルメな名店がどんどん増えてきているのだ。

こちらの『ビストロ アルボワ』もそのひとつ。シェフはフランスのさまざまな地域で修業を積んだ実力派。グランメゾンも経験したが、2011年にこの街に開いた自身の店では、“日常的に通ってもらえるように”と家庭的なビストロ料理を提供している。

アットホームながら、料理は王道の味わいを見せつける。居心地は普段着、味は超一流。家の近くにあってほしいと感じさせる店だ。




コシのあるうどんとサクサクのかき揚げが絶品。「かきあげせいろ」
国産小麦にこだわった唯一無二の手打ちうどん『麦 kamiuma ASAHIYA』

松陰神社前


もとは蕎麦店だったが、2010年に手打ちうどん店へ転身。店主は高校教員との二足のわらじゆえ、土日祝のみ営業という個性的な人気店だ。

国産小麦や地粉のみを使用し、打ち方にもこだわって、孤高のうどんを生み出す。

11時半の開店でほどなく一杯になるほどの人気店ゆえ、行列は必至だが、近隣住民に交じって並ぶ価値は大いにあり。




じんわりと低温で火入れをされた「頬肉の赤ワイン煮込み」
常連客と食通で賑わう王道ビストロ『ビストロ トロワキャール』

松陰神社前


「昔からあるものを、丁寧に」が木下シェフのモットー。 実は?ビストロ料理の定番”と言えるものを1品1品丹念に作るには、とても手間暇がかかり、他店では本来の料理法からは簡略化してしまっていることも多いのが現状だ。

しかし、木下シェフはそこを妥協しない。提供される料理はどれも、細部に至るまで丁寧に仕上げられることで生み出される奥深い味わいを持つ。

しっとりとした食感に仕上げられたコンフィ、自家製のパン…… 気負わない雰囲気ながら「どれを食べても美味しい」。 その信頼感が多くのリピーターを生んでいる。




パクチーをふんだんに使った料理を香りと共に楽しみたい。ウォッカのソーダ割りなどお酒との相性もGood
マンネリ気味な日常にピリリとした“刺激”を与えてくれる『キッチン ナモ』

松陰神社前


このところ、良店のオープンが相次ぎ注目を集めている松陰神社のなかでも、コンセプトのユニークさが際立っているのが、2015年3月にオープンした『Kitchen namo』だ。

スパイスや果実酒がカウンター上にずらりと並べられた“ラボ”のような雰囲気は、デート使いにもぴったり。

店主自ら作る香辛料やハーブを効かせた“スパイ酒”に合わせたいのが、パクチーを使った料理の数々。国内産をメインに約40種取り扱うクラフトビールとの相性もよい。

ここで過ごすひとときは、ピリッとしたスパイスのように、日常に刺激を与えてくれる。


次は、山下〜終点の下高井戸。絶品の焼き鳥やデザートまで。



手前から、つくね、せせりおろしポン酢、すなぎも(メニューは一例)。週末は予約必須の人気っぷり!
本当は教えたくない地元の秘宝『ソラナカ』

山下


ここはほんとは教えたくない地元民の秘宝のような店。焼き鳥はどれも小ぶりながら、ジューシーな焼き具合、部位に合わせた味付けなど、丁寧な仕事ぶりが一口で分かる。サイズ感も手伝い、次、また次と手が伸びる。

こだわりの塩は、土佐の海水を太陽光で結晶化させた希少な天日塩「あまみ」。ミネラル分が豊富に含まれ、ほのかな甘みが舌に残るほど柔らかい。肉の旨みをきっちりとサポートし、食べ飽きさせない魔法を生む。

店の最寄駅は山下・豪徳寺。こぢんまりした街の親しみやすさを宿しつつも、赤ちょうちん的居酒屋の騒がしさは微塵もない。そりゃ、女性のひとり客もちらほらと見かけるわけだ。女性がジバラで飲む店は旨いに決まっている。くつろいだ空気に魅せられ、今日もまた足が向くのだ。




約40種類ものバリエーションが季節によって入れ替わる「プティガトー」
宝石箱のようなのプティガトーが並ぶ『パティスリー・ノリエット』

下高井戸


終点の下高井戸まで来たなら、この店で自宅へご褒美デザートを買って帰ろう。

この街で外せないのが、伝統的なフランス菓子にこだわり、世田谷で20年以上愛される『パティスリー・ノリエット』。

永井紀之シェフは同じ世田谷の名店『オー・ボン・ヴュー・タン』出身のパティシエ界の重鎮。その丁寧なお菓子作りへのこだわりが存分に味わえるのが、プチケーキの詰め合わせの「プティガトー」だ。

上質なチョコの味わいが豊かな「オペラ」、カシスのバタークリームが層をなす「デリス」などがまるで宝石箱のように美しく並んでいる。一つ一つ丁寧な仕事が施されたプチケーキ、今夜はいくつ食べようか。帰ってからも楽しみになるケーキだ。