輝かしい未来を見据えて猛勉強。努力が実って難関大学に入学、卒業し“高学歴”という肩書を得たにもかかわらず低収入に陥っている人がいる。なぜエリート街道から外れてしまったのか。千葉大卒も、現在の年収0万円に転落した女性を取材。言うに言えぬ低収入の理由とその背景に迫る!

◆学歴のプライドが邪魔をして人間関係が悪化。無職へ……

 千葉大学教育学部卒業後、通信系の企業にトップの成績で入社した柳沢久美子さん(仮名・46歳)は、その年の8月に結婚し、10月には退職してしまったという。

「夫とは大学4年から交際を始めたんですが避妊に失敗。結局入社直後に妊娠が判明して自らの意思で中絶。以来、体調が悪いままで、退社せざるを得なかったんです」

 学生時代は、トレンディドラマで名を馳せた鈴木杏樹似でモテモテだったと語る彼女だが、「私は自分のことが好きじゃない。だから私のコピーを生むのはイヤ」と主張し、中絶同意書に署名させた。

「夫の返事は、『君の考えの通りでいいよ』だけ。もともと交際中から、私の発言力が強かったんです」

 結婚2年目、ようやく体調が戻った彼女。難関国立大出は医者受けが良く、総合病院の秘書の職を難なく得て働きだすと、夫婦間にはさらに深い溝が生まれた。

「避妊を失敗したあの日の記憶もあって、夜を拒んだんです。それ以来、お互い空気のように」

◆結婚8年目に離婚

 結婚8年目、夫が突然動く。幕張のタワマン最上階の部屋を夫婦の共同名義で購入しようと頭金400万円を入れ、明日は本契約という日に、離婚を切り出された。

「小さい頃からトラブルが苦手だし、何を言っても無駄だと本能的に感じて、離婚を受け入れ実家に帰りました。今から考えれば、もっと抵抗して慰謝料も取るべきでした。そうすればあのタワマンに今も住んでいたはずなのに……」

◆パワハラを受け病院を退職

 離婚をきっかけに夫と共通の交友関係を断絶。彼女は今、市営住宅でひとり暮らしをしている。

 勤め先の中堅医大卒のひとつ年下のドクターに対しては、学歴のプライドから、理論的に反論したのを契機にパワハラを受け病院を退職。その後は職を転々とし、ついには無職の身となっている。

「大学に入った時点で燃え尽き、ここまで転げ落ちました。最悪、生活保護でも受ければいいかな」

 もう、プライドよりも楽な生活を選択したいとつぶやいていた。

<取材・文/武馬怜子(清談社)> ―[高学歴貧困の末路]―