なぜ宇宙からのツイートが届くの?宇宙と地上を繋ぐインターネットの仕組み

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ニュース番組で流れる宇宙からのテレビ中継に加え、最近では国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士が、宇宙からリアルタイムでツイートもよく見られるようになっている。話題になった、宇宙から見た台風の写真や宇宙から見た日の出の写真など覚えている方も多いのでは? 先日、無事に地球に帰還した若田光一さんも地球の写真やISS内の活動についてTwitterで発信していた。

ここでちょっとした疑問が…。そもそも宇宙でインターネットって使えるの? 
いやいや、GPS衛星や携帯電話サービス用の衛星、BSやCSなどの衛星放送と、身の回りに衛星の享受はあふれている。それならインターネットだって当然でしょ、と。でも、どういうふうに使えるようになっているか、そこまで知っている人は少ない。そこはぜひ知りたいということで、調べてみた。

◎ISSから初めての「生Twitter書き込み」は2010年
宇宙となると、とてつもなく広大になってしまうので、本稿ではひとまず「ISS」ということとしたい。ISSから、NASA(米航空宇宙局)の宇宙飛行士TJ・クリーマー氏によるTwitterが「生」で投稿されたのは、2010年1月22日のこと。

Hello Twitterverse! We r now LIVE tweeting from the International Space Station
-- the 1st live tweet from Space! :) More soon, send your ?s
(https://twitter.com/Astro_TJ/status/8062317551)


それまでは、メールで送信され、それをNASAの地上スタッフが代理で投稿する形だった。そのため、クリーマー氏は、このツイートで「ライブ(生)で初めて!」と強調しているのだ。

ISSの通信では、まず何より、各種システムや機器の状態を地上に連続送信するテレメトリー通信や飛行士と管制官の音声での交信が重視され、こちらは速度は遅くても確実につながる衛星回線で行われる。
一方、高速回線の必要性も高まり(テレビ中継などにもより高い画質の映像を使いたいという要望もあり)、静止衛星を経由する高速通信回線「Kuバンド」につなぐ準備が進められた。
このKuバンド回線につなぐためのアンテナの取り付けは、なんとディスカバリー号(2000年10月に打ち上げ)に搭乗した若田宇宙飛行士のミッションの1つだったのだ。当時、若田宇宙飛行士のロボットアームでの操作が連日ニュースになっていたものだ。もっともその頃は、Kuバンドアンテナが何に利用されるものかよくわからなかったが。

◎Crew Support LANでISSクルー個人が使えるようになった
こうしてKuバンド用システムの運用が始まるのだが、当初その使用は限定的なものとされ、メールやIP電話、ビデオ会議、NASAの内部サイトの閲覧などに限られていた。地上の私たちのように、自由にインターネットが使用できるわけではなかった。
それが一新されたのが2010年1月22日。Crew Support LANと呼ばれるシステムにアップデートされ、ISSクルー個人がISSとつながった地上のコンピュータを介してインターネットに接続することができるようになったのだ。これにより、直接、地上とコミュニケーションできるようになった。私たちが今、宇宙からの写真や書き込みをネット上で直接目にすることができるのは、Crew Support LANのおかげというわけだ。

その後、冗長用のKuバンドアンテナが、2010年5月のアトランティス号のミッションにより設置されている。



Kuバンドアンテナの設置 (c) NASA


さて、これでいつ宇宙にいくことになっても安心。やはりネットがつながっていないとね。とはいえ、ISSは「常時」インターネットにつながるわけではない。ISSと地上がKuバンド回路で結ばれている間のみで、地上との間のリンクが切れる時間帯は使用できない。また、その使用の範疇は米国政府職員のインターネット使用規定に準ずるそうである。

Reid Wiseman Twitter
Koichi Wakata Twitter


大内孝子