結婚を機に「昼職」デビューした有名ホストが”絶望のどん底”…「隠していたタトゥー」が入社先でバレた「切なすぎる理由」

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毎晩のように若者たちが集まり、欲望が渦巻く新宿・歌舞伎町。そのピラミッドの頂点に君臨するのが、この街に約300店舗が密集しているホストクラブだ。

そんな日本一の繁華街を卒業し、転職活動を始めた男性がいる。天城光希さん(仮名・30代)。かつては月間3000万円を売り上げたこともある、歌舞伎町では言わずと知れたカリスマホストだ。

しかし夜の世界での功績が、転職市場で評価されるとは限らない。元ホストであることを理由に、不採用になった企業もあったという。「夜の帝王」のセカンドキャリアを追った。

前編記事『「月間売上3000万円」だった有名ホストの「転職活動」が地獄すぎた…お祈りメールに書かれていた「心をエグられる一言」』から続く。

元ホストが社会で活躍する「意外な理由」

転職活動の末、都内の施工管理会社の内定を勝ち取った天城さんは、数年ぶりにサラリーマン生活を送ることになる。最初の1カ月は社内研修で、同期入社のメンバーとともにオフィスで座学を受ける日々。彼らの前職も「警察官」や「バーテンダー」などさまざまで、すぐに打ち解けられたという。

「ホストを経て、明らかに初対面の人と喋るのが得意になっていたし、良い意味でも悪い意味でもホストはカジュアルな存在になっているからか、『俺も大学生のころバイトで(ホスト)やってたよ』と話してくれる人もいて、すんなり受け入れてくれました。

ただ、研修自体は味気なかったですね。ホスト時代は、目の前の女の子を笑顔にすることにやりがいを感じていました。そのため、オフィスで座学を受けていても『この仕事が誰の役に立っているのか』が見えない。そういう点では物足りなさを感じていました。

とはいえ、朝に通勤電車に揺られている最中など、ある種の優越感を感じていました。ホスト時代から社会の役に立ちたいという思いを持っていたので、『社会復帰の方向に俺は向かってるんだな』と思えて、なんとなく嬉しかったのを覚えています」

昼職へのジョブチェンジを果たした元ホストは、どのような道を辿るのか。夜職から昼職への転職を支援する「株式会社昼JOB」代表、坪嶋拓真氏は言う。

「弊社で持っているデータを見ても、元ホストの離職率は、他のナイトワーカーと比べても圧倒的に低いんです。その理由としては、ホストはゴリゴリの体育会系で、気合いと根性みたいな職場のノリであることが多い。だから彼らは『自分やります!』『頑張ります!』と仕事を選り好みしないのです」

同社の転職支援サービス「昼job」に掲載される求人の多くは、不動産業界をはじめとした”営業気質”の高い会社だ。前出の坪嶋氏は、これまで営業マンとして活躍する元ホストを多く見てきたという。

「ある人材会社の営業職に採用された子が、数カ月で売上トップになりました。その後、1年も経たずして、入社した会社の子会社の社長になって、『当時はお世話になったので、今度は自分が昼ジョブさんから採用したいです』と連絡をくれたことがあります。また大手の貴金属買取店の営業職に採用された子は、入社3カ月目で全国約100店舗のうちの売上トップになりました」

入社後に起きた「まさかのトラブル」

天城さんも例外なく、順調なセカンドキャリアを歩み出したが、夜の世界でのクセがそう簡単に抜けきることはない。特にしんどかったと語るのが、ふとした瞬間に訪れる”脅迫的な飲酒衝動”だったという。

「ホスト時代は、ラブホテルで起きて即飲酒するようなアルコール漬けの生活を送っていて、逆にシラフでいる時間の方が短かった。そのため、同期とランチを食べているときも『ちょっと抜け出して飲みてえな』という衝動に駆られることも多くて、そのたびにグッと堪えていました。そして退勤したら、ダッシュで会社近くのコンビニで缶チューハイを買って飲んでいました」

転職以降、経済状況も一変した。会社の月給は手取りで約20万円。ホスト時代の平均月収が約500万円だったことを考えると、まさに”雲泥の差”だ。天城さんはホスト引退を機に、山手線沿いの家賃20万円のマンションから、下町の家賃10万円のアパートで新婚生活をスタート。タクシーには乗らずに、バスや電車をできるだけ利用することにした。

また、天城さんの会社の従業員は、取引先の会社(主に建設会社)に出向することがほとんど。入社後も、出向先の会社に面接に行かなければならない。そこでも転職活動と同じく、元ホストだからこその辛さを味わったという。

「ある企業の担当者には、僕の元ホストとしての経歴を触れられ、『あなたと一緒に仕事するビジョンが見えない』ときっぱり言われました。それ以外にも、『君は本当にこの仕事をやりたいのか』とか『まず元ホストなのに(朝)起きれるのか』みたいなことも言われました。そういう意味だと、やはりホストに対する偏見は根強いのかなと思いました」

その後、数社の面接を受けて出向先が決まった天城さんだったが、ここで思いもよらぬトラブルに見舞われる。その日は突然訪れた。

「出向先が決まったタイミングで、上司に『免許証を出してくれる?』と言われました。施工管理は車を使って現場に行くことも多いため、免許証を会社に提出する必要があったのです。ただ自分自身、胸あたりに刺青を入れているんです。

免許証もホスト時代に更新したものなので、露出の多いTシャツを着ていて、ガッツリ刺青が写っている。入社時の契約書にも『タトゥー禁止』と明記されていたので、上司に『ごめんだけど、社内規定だから…』と言われて、クビになりました」

「ホストで働いていたことに後悔はありません」

この一件以降、天城さんは迷走の一途をたどる。転職活動を一旦ストップし、資格勉強にシフト。ヤマト運輸の荷受け作業でアルバイトをしつつ、税理士を目指して大手の資格・試験対策予備校「資格の大原」のコースを数十万円かけて受講する。

だが、国立大学を卒業したとはいえ、授業の難しさについていけず、途中でコースを解約。天城さんは当時を振り返り、「この状況でしたから、もし結婚していなかったら確実にホストに戻っていたと思います」と語る。

「それから再び転職エージェントに登録し、数十社にエントリー。最終的に4社の面接を受けた結果、貴金属買取の営業職に採用されました。ちょうど先月末から働き始めています。ただこの会社は、飛び込み営業がメイン。

一軒一軒、お宅を訪問して『いらない貴金属はありますか?』と聞いて回るのですが、十中八九断られるじゃないですか。今はまだ研修中ですが、今度は一人で営業するので、メンタル的に不安な部分はあります」

迷走の末、二度目の転職活動を終えた天城さんだが、最後に自らのキャリアについて尋ねると、「ホストで働いていたことに後悔はありません」ときっぱり言う。

「ホストをやらなかったら妻とも出会えていませんし、ホストとして結果を残したことは、自信にもつながりました。人生の中で、一番輝いていた時代はホストだったと思います。今後については、とりあえず次の会社で働こうかなって。まだ将来のビジョンは見えていませんが、まあ人の役には立っていたいです」

近い将来、ホスト業界への締め付けがより厳しくなることが予想される。天城さんのような事例は、今後もっと増えていくかもしれない。

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