日本を襲う、まさに命に関わる「異常気象」…じつは、共通する「犯人」が世界中に隠れている?

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猛暑、豪雨、大型台風……。昨今、こうした異常気象が毎年のように報道されています。異常気象は過去と比較して、本当に増加しているのでしょうか。また、増加しているとすれば、その原因は一体何で、日本列島の気候はこの先どうなっていくのでしょうか。

ところで、近年急速な進歩を遂げたシミュレーション手法「イベント・アトリビューション」をご存知でしょうか。これは、人間活動による温室効果ガスの排出などが、異常気象の発生確率や強度にどの程度影響しているのかを科学的に分析する手法です。

このイベント・アトリビューションや、異常気象のメカニズムと将来予測を、気鋭の研究者が解説するのが『異常気象の科学 猛暑・豪雨・大雪のしくみと将来予測』(講談社・ブルーバックス)です。

本記事シリーズでは、この注目の新刊から興味深いトピックの数々をご紹介していきます。

まずは、本書のはじまりとなる巻頭の一節をご紹介しましょう。

*本記事は、『異常気象の科学 猛暑・豪雨・大雪のしくみと将来予測』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。

日本で起きている現実…命に関わるような異常気象

夏の記録的な猛暑、頻発する突然の豪雨、勢力を増す台風。ここ数年、こうした現象を指して、「異常気象」という言葉を毎年のように耳にします。命に関わるような異常気象は、もはや遠い国の話ではなく、私たちが暮らす日本で起きている現実です。

本来、「異常」という言葉は、「通常」の状態から大きく異なることを意味します。気象学の分野では、この「通常」の定義には、現在からさかのぼって過去30年間の平均値が用いられます。これに対して、異常気象という言葉は、本来は30年に1度程度しか起こらない非常に稀な現象に対して使う言葉です。

しかし、異常だったはずの現象が昨今は毎年のように身近に発生し、珍しいことではなくなってきています。異常な現象があたりまえのように起こるというこの矛盾は、いったいなぜ生じているのでしょうか。気候変動と関係があるのでしょうか? またこの先、日本の気候はどうなっていくのでしょうか。このたび上梓することとなった『異常気象の科学 猛暑・豪雨・大雪のしくみと将来予測』は最新の研究成果をもとに、こうした疑問を解き明かしていきます。

理由はともあれ、現代は異常気象と共存する時代です。これからの社会を生きる私たちにとって、異常気象を正しく「考える力」が重要になります。ここでは、「理解する」でも「学ぶ」でもなく、あえて「考える」という言葉を使いました。

人間がたどってきた歴史の中で、これほど短い時間スケールで、地球全体の気候が劇的に変化を遂げるような時代はこれまでに存在しませんでした。この劇的な変化の中では、過去の知識に頼り、信じるだけではもはや十分とは言えません。先人の知見を頭に蓄えた上で、今後起こることを「考える」ことが求められます。

そこで、『異常気象の科学』では、日本で起こる異常気象を皆さんが正しく「考える」ために必要となる材料を一通りえました。

考えるためには、場合によっては専門的な内容まで踏み込む必要があるでしょう。執筆に際しては、専門的な内容をなるべく平易に一般的な用語で説明することを心がけました。難しい数式も登場しません。しかし、内容に妥協はしていないつもりです。

異常気象には、共通する要因が隠れている

異常気象を考えるためには、異常気象が発生する仕組みを分解していく必要があります。

たくさんの複雑なプロセスが相互に影響し合うことで、想像もつかない振る舞いをするのが気象です。その中で、特に極端なプロセスが偶然重なり合った際に発生するのが異常気象である、という考え方が一般的です。したがって、個々の異常気象は個性が強すぎて全く異なる“顔”を持っています。

しかし、その複雑なプロセスを丁寧に分解しながら見ていくと、個性的な“表情”の裏には、ベースとなる共通した“顔”の土台や動きが隠れていることがわかります。

異常気象の原因となる偶発的な大気の振る舞いの土台には、毎年繰り返す季節の変化があり、数年から数十年をかけてゆっくりと進む海の変動があり、さらに社会問題となっている地球温暖化があります。このように、偶然ではなく必然的に決まるプロセスが、異常気象の振る舞いを「考える」際の手がかりとなります。

『異常気象の科学』では、日本で発生する代表的な異常気象の発生要因を分解し、そのメカニズムを基礎の基礎から丁寧に見ていきます。さらに、時間スケールの長い気候変動の存在下で、異常気象がどう振る舞うのか、将来どうなっていくのか、にも触れていきます。

ざっとその内容をご紹介すると、まず第1章では、近年頻発する世界中の異常気象の実態を俯瞰します。世界各地で起きている異常気象の苛烈さと、その被害の大きさに、異常気象の脅威の深刻さがおわかりいただけるかと思います。

次に、第2章からは日本で発生する異常気象の詳しいメカニズムを解説します。第2章では猛暑、第3章では大雨と台風、第4章では冬の異常気象について取り上げます。つづく第5章では、こうした実際に発生した異常気象に、過去から現在までの気候変化がどのような影響を与えているのかを見ていきます。

そして第6章では、このまま地球温暖化が進んだとき、日本の将来の気候がどうなるのか、最新の研究成果に基づいた予測を紹介します。遠くない将来、夏には40℃を超える暑さがあたりまえとなり、45℃を超える酷暑も起こり得るとの予測には、驚かれる方も多いのではないでしょうか。

この『異常気象の科学』が、皆さん一人ひとりの「異常気象を考える力」を形づくる一助となれば幸いです。

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