気象庁の観測船「啓風丸」=同庁提供

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 豪雨災害をもたらす「線状降水帯」の予測精度を向上させようと、気象庁気象研究所が今夏、発生源となる海上の水蒸気の量などをレーザー光で観測する研究に乗り出す。

 水蒸気を含む大気にレーザー光を照射し、反射したレーザー光を調べることで量や分布を精密に捉える。同庁の観測船で3年かけて試験観測し、現状10〜20%台にとどまる的中率の向上を目指す。

 線状降水帯は、次々に発生した雨雲が線上に連なり、同じ地域に大雨を降らせる。2018年の西日本豪雨では、災害関連死を含め300人以上が死亡するなど近年被害が深刻化している。今月も、台風6号の接近で和歌山県南部や神奈川県東部などで発生した。

 同庁は22年、発生を半日前から知らせる「半日前予測」を始めたが、昨年の的中率は14%(88回中12回)、今回の台風6号接近時は25%で、精度に課題がある。

 線状降水帯は、海から蒸発した大量の水蒸気が流れ込むことで発生する。予測には、湿った空気に含まれる水蒸気の量や分布する高度を把握する必要があり、人工衛星や気球、地上の湿度計などでデータを集めている。

 ただ、大量の水蒸気の発生源となる海上は、地上に比べて観測手段が少ない。衛星では、水蒸気の面的な広がりを把握できても、分布する高度は測れない。

 そこで気象研は、同庁の観測船「啓風丸」に、赤外線レーザーで水蒸気の量や高度を精密に観測できる装置を導入した。

 観測では、1秒間に1万回ものレーザー光を上空に照射する。レーザー光は大気中のちりに反射して戻ってくるが、一部は水蒸気に吸収されるため、反射した光の弱まりを調べることで水蒸気の量を観測できる。

 また、水蒸気に吸収されて弱くなったレーザー光が、ちりに反射して戻ってくる時間を測ることで、分布する高度も推定できる。

 気象研は、線状降水帯の発生が多い九州西部の東シナ海などに啓風丸を送り、7月にも試験観測を始める。3年間の観測で予測に使えるかどうか検証し、将来的な実用化を目指す。

 気象研の酒井哲室長は「レーザー光で海上の水蒸気を観測するのは初の試みだ。精度の高いデータを取得し、大雨による災害を少しでも減らしたい」と話す。