「さくらんぼ」がアメリカンチェリーより約4倍多い”栄養”は?注意点も管理栄養士が解説

さくらんぼの栄養は?メディカルドック監修管理栄養士が健康効果・食べる時の注意点・保存方法について解説します。

監修管理栄養士:
久家 知子(管理栄養士)

一時期は、栄養士から離れていた時期もありましたが、双子を出産後、一念発起し管理栄養士の資格を取得。現在は病院で勤務。食を通して健康について考える日々。

さくらんぼとは?

さくらんぼは、桜桃(バラ科サクラ属の果樹(主にセイヨウミザクラ))が実らせる赤い果実を表します。日本では別名「桜桃(おうとう)」とも呼ばれ、初夏の限られた時期(主に5月初旬から7月にかけて)にしか出回らないため、「初夏のルビー」や「果樹園の宝石」と称されるほどの高級感と特別感を持っています。その見た目から可愛らしいイメージや「幸福」「上品」「小さな恋人」といった花言葉があり、2つ並んで実る様子から恋愛の象徴ともされます。

さくらんぼに含まれる栄養素

さくらんぼには国産のさくらんぼと外国産のアメリカンチェリーがあげられます。含まれる栄養素量は、品種により差があります。一粒の可食量(食べられる部分)は少ないもののビタミンやミネラル、食物繊維などといった私たちの体に必要な多くの栄養素をバランスよく含んでいます。

鉄分

国産、アメリカンチェリーともに:100gあたり0.3mg
さくらんぼに含まれる鉄は「非ヘム鉄」で単体では吸収されにくい特性がありますが、同時に含まれるビタミンCの働きにより吸収率が良くなります。

カリウム

国産:100gあたり210mg、アメリカンチェリー:100gあたり260mg
カリウムは、人体に必要なミネラルの一種です。体内の水分バランス(浸透圧)の調整に関わるほか、余分なナトリウム(塩分)の排出を助ける働きがあります。また、神経や筋肉の正常な働きを保つためにも必要な栄養素です。

食物繊維

国産:100gあたり1.2g、アメリカンチェリー:100gあたり1.4g
食物繊維は小腸で消化されず、そのまま大腸まで届く食品成分のことです。さくらんぼに含まれる食物繊維は、便の体積を増やして腸の蠕動運動を促す「不溶性食物繊維」とペクチンを含む「水溶性食物繊維」のどちらも含まれています。水溶性食物繊維は善玉菌の餌になることで腸内環境を整えたり血糖値の急上昇を緩やかにする働きがあります。

葉酸

国産:100gあたり38μg、アメリカンチェリー:100gあたり42μg
人間の体内では十分に合成することができず、食事から摂取する必要があります。赤血球の生産(造血作用)を助けるほか、細胞分裂や成熟に深くかかわっています。特に妊娠初期の女性にとっては、胎児の健やかな発育のための重要な栄養素で適切な葉酸摂取が推奨されています。

ビタミン類

βカロテン国産:100gあたり98μg、アメリカンチェリー:100gあたり23μg
ビタミンC国産:100gあたり10mg、アメリカンチェリー:100gあたり9mg
油に溶ける性質があるβカロテンは必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を保ちます。またβカロテンとビタミンCは共に強い抗酸化作用を持っており細胞の老化や病気の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。水溶性で熱に弱いビタミンCはコラーゲンの生成と保持に必要な栄養素です。

さくらんぼの健康効果

鉄分補給のサポート

鉄のほかにも赤血球の生成に必要な葉酸や吸収率を上げてくれるビタミンCなどが含まれることから鉄分補給をサポートしてくれます。

塩分(ナトリウム)対策のサポート

さくらんぼに含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)の排出を助ける働きがある栄養素です。水分バランスの調整にも関わっており、塩分のとり過ぎが気になる方の食生活に取り入れやすい果物です。

腸内環境をサポート

さくらんぼには食物繊維が含まれており、腸内環境を整えるサポートが期待できます。不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸の動きを促し、水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなることで腸内環境をサポートします。また、さくらんぼに含まれる糖アルコールの一種であるソルビトールは、腸に水分を引き込む性質があるため、人によっては便がやわらかくなり、お通じを促すことがあります。

体内のミネラルバランスの調整

さくらんぼに含まれるカリウムなどのミネラルが、水分バランス(浸透圧)、体内の酸性・アルカリ性のバランスを正常に整えるサポートをしてくれます。神経伝達をスムーズにしたり筋肉の興奮を防いだりと体のコンディションを整えるサポートをしてくれます。

肌の健康のサポート

さくらんぼに含まれるアントシアニンやビタミン類の抗酸化作用により「活性酸素」の働きを抑えたり取り除いたりしてくれることで、健やかな肌作りをサポートしたり、健康維持に役立ちます。

さくらんぼを食べ過ぎて現れる症状

甘くておいしいさくらんぼ、つい手が伸びてしまいます。農林水産省「食事バランスガイド」では果物の摂取目安量を1日当たり200g(可食部)程度としています。

下痢

沢山食べすぎることで、整腸作用がある「食物繊維」や「ソルビトール」の過剰摂取となり、消化不良による下痢を引き起こす可能性があります。

膨満感

さくらんぼに多く含まれる果糖は、小腸での吸収スピードが遅いという特徴があります。大量に食べたことで吸収しきれなかった果糖が大腸まで届くと腸内細菌によって発酵しガスを発生させます。そのため、お腹が張る感じ(膨満感)につながることがあります。

食べ過ぎることでの糖質の取りすぎ

さくらんぼには糖質が含まれているため、一度にたくさん食べると糖質の摂取量が増えます。果物は健康的なイメージがありますが、食べ過ぎには注意が必要です。適量であれば問題ありませんが、ほかの間食や甘い飲み物などと重なると、糖質のとり過ぎにつながることもあります。バランスのよい食生活の中で、適量を楽しみましょう。

さくらんぼの栄養素を効率的に摂取する方法

生で皮ごと食べる

さくらんぼのビタミンCやカリウムは水に溶ける、熱に弱い性質があるので、加熱せず「生のまま」食べることで栄養素を効率よく摂取することができます。また、皮ごと食べることで皮に含まれるポリフェノール類を一緒に摂取することができます。

朝食や疲れた時の間食(食間)に食べる

1日の活動を始める朝食のタイミングや疲れた時の食間に食べることで、さくらんぼに含まれるブドウ糖や果糖は速やかに脳や体のエネルギーへと変換してくれます。朝の目覚めを良くしたり、疲労回復効果をスムーズにしてくれます。

ヨーグルトなど乳製品を一緒に食べる

さくらんぼをヨーグルトなどの乳製品にトッピングして食べるのもおすすめです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌と、さくらんぼに含まれる食物繊維をあわせて取り入れることができます。手軽に取り入れやすく、朝食や間食のアレンジとしても楽しみやすい組み合わせです。

さくらんぼの保存方法や期間

さくらんぼは温度変化に弱く、収穫後は追熟しないので青みが多く残っているものは避けたほうが望ましいです。アメリカンチェリーは国産のさくらんぼと比べると日持ちしますが、海上輸送が主なので国産のさくらんぼ同様購入後はすぐに食べることをお奨めします。

常温(冷暗所)・冷蔵庫

すぐに食べる場合は常温(冷暗所)でキッチンペーパーなどで優しく包み保存します。食べる直前に冷やして食べたり、冷水で洗うとおいしく食べることができます。
購入後2~3日のうちに食べることができない場合は冷蔵庫(野菜室)へ入れます。水気に弱いため食べる直前まで洗わないことをお奨めします。衝撃に弱いため、重ねず乾燥しないようキッチンペーパーなどで覆ってください。冷蔵庫での保存でもなるべく早く食べることをお奨めします。

冷凍保存

どうしても食べきれない場合は冷凍保存も可能です。茎(または軸)を取りボウルに張った水で優しく洗い、キッチンペーパーなどできれいに水気を拭き取ります。重ならないように容器や袋へ入れ密封し、冷凍庫で保管します。約1か月を目安に食べるようにしてください。

「さくらんぼの栄養」についてよくある質問

ここまでさくらんぼについて紹介しました。ここでは「さくらんぼの栄養」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。

さくらんぼには何の栄養が多く含まれていますか?

久家 知子(管理栄養士)

突出して多い成分はありませんが、果物の中ではカリウムや鉄分、葉酸を比較的多く含んでいます。
突出して「これだけが多い」という成分はありませんが、糖質、ビタミン類やミネラルがバランスよく含まれており、果物の中ではカリウムや鉄分、葉酸を比較的多く含んでいます。

毎日さくらんぼを食べたらどんな効果がありますか?

久家 知子(管理栄養士)

適量取り入れることで糖質やビタミン、ミネラル、食物繊維などを補うことができますが、食べ過ぎに注意しながらバランスよく取り入れることが大切です。
さくらんぼを適量取り入れることで、糖質やビタミン、ミネラル、食物繊維などを補うことができます。カリウムは体内の水分バランスの調整に関わり、食物繊維はお通じをサポートする働きがあります。ただし、特定の効果を得るために毎日食べる必要があるわけではありません。果物のひとつとして、食べ過ぎに注意しながらバランスよく取り入れることが大切です。

編集部まとめ

見た目が可愛く高級感もある、5月初旬から7月にかけて旬を感じられる果物。酸味と甘さがありつい手が伸びてしまいがちです。農林水産省「食事バランスガイド」では果物の摂取目安量を1日当たり200g(可食部)程度としています。食べ過ぎることで体調に不調をきたすこともありますので1日に食べる量には気をつけてください。

「さくらんぼ」と関連する病気

「さくらんぼ」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

高カリウム血症

心不全腎不全

婦人科系の病気

妊婦(胎児の神経管閉鎖障害)

「さくらんぼ」と関連する症状

「さくらんぼ」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

下痢

膨満感

腹痛

種や茎(または軸)の誤嚥

種の大量摂取による中毒

参考文献

食品成分データベース|文部科学省

厚生労働省 e-ヘルスネット

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書|厚生労働省