「地下の薄暗い取調室に呼ばれて…」 大阪地検元トップから性被害の女性が明かす 「検察から“屈辱的な扱い”を受けた」
【全2回の前編】
大阪地検のトップ、検事正だった北川健太郎被告(66)が当時、部下の女性検事に起こした性的暴行事件。検察に辞表を提出した被害者のひかりさん(仮名)が、心境を明かした。
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【実際の写真】「事件の一部始終」が丸っこい字でビッシリ… 大阪地検元トップの直筆文書
「本当だったら辞めたくなかった」
「検事の仕事が大好きだったので、本当だったら辞めたくなかったという無念の気持ちでいっぱいです」
ひかりさんは悔しさを顔ににじませ、「週刊新潮」の取材にこう語った。
「最終的に辞職を決めた理由は、検察に第三者委員会の設置を求めたものの、断られてしまったからです。性暴力やパワハラをする北川のような幹部職員は、他にも山ほどいます。そうした組織内の問題を調査して、勤務環境を安全に整えてもらえるのであれば、職場に復帰することができたのに」(同)
「最後の最後まで屈辱的な扱い」
しかし、検察は彼女に配慮を示さず、むしろ、二次被害の発生を黙認し続けているという。

「私の実名をさらし、被害が“ウソだ”と触れ回り、誹謗中傷を繰り返していた女性副検事に関するハラスメント調査要求も拒否されました。以前、彼女を名誉毀損などの疑いで告訴したものの捜査もされず不起訴にされました。さらに、唯一の支援者だった先輩検事を大阪地検から異動させ、私を孤立させました。検察組織の違法不正を告発した私を、辞職に追い込んだのです」(ひかりさん)
法の番人であり被害者を守ることを使命とする検察が、ひかりさんを厄介払いしたようだ。彼女が先月30日、大阪地検庁舎に辞表を出しに行った際、上司もかつての仲間も誰一人として姿を現さず、慰労も見送りもなかったという。
「人事課の職員が淡々と対応しただけでした。庁舎の地下の窓がなく薄暗い取調室に呼ばれ、被疑者が座る場所で、辞表を提出させられました。最後の最後まで屈辱的な扱いを受け、惨めで絶望しました」(同)
“北川支援”のネットワーク
そもそも、北川被告は事件が発生した翌年の2019年、約1万字に及ぶ謝罪文を彼女に渡している。
この文面によれば、行為の事実を認め、それによって彼女がPTSDを発症したことについても〈全部私の責任です〉とわびている。家庭がありながら、複数の女性と関係を持った過去についても明かした。
もはや検察にとっては、彼を庇う意味などないと思われるが、
「昨年、私が大阪高検検事だった時、ある検察OBから“北川氏が逮捕されたので、カンパをしてもらえないか”と電話があり、断りました」
と、今は自身も検察OBとなり、ひかりさんの代理人を務める田中嘉寿子弁護士はあきれて言う。
一部のOBが、現役検事も含めた検察関係者にカンパを募るなどして“北川支援”のネットワークを広げているとみられる。
事情に詳しい検察関係者によれば、
「事件で傷ついた検察のブランド力を回復させたい思いのあまり、ズレた行動に出る者がいるのだと思います。一定の勢力をつくって“検事正まで務めた北川被告がそこまで悪いことをするはずがない”と言い続ければ、世論も多少はなびくでしょうから」
【後編】では、保身を図る北川被告を待ち受ける“最悪のシナリオ”について報じる。
「週刊新潮」2026年5月21日号 掲載
