ポケモンカードが25億円で落札! 気になって「90年代のNBAカード」の価値を調べて見たら…“状態が良ければ2500ドル”の理由は、背景に“超有名な犯罪者兄弟”が映り込んでいたからだった
2026年2月、ポケモンカードこと「ポケモンイラストレーター」が、アメリカのオークションで約25億円という同カード史上最高値で落札された。この衝撃的なニュースを受けて「我が家に眠っているカードにも価値があるのでは!」と色めき立った方もいらっしゃるのではなかろうか。
何を隠そう、私もそのうちの一人である。というわけで、かつてコレクションし、クッキーの缶にずっと保存していた約450枚のNBAとMLBのトレーディングカードを取り出してみた。NBAは「HOOPS」というブランドのカードで、1990年、91年シーズンのもの。MLBは「TOPPS」で1990年のものである。【中川淳一郎・ネットニュース編集者】
【一攫千金なるか!?】筆者がヨックモックの箱に長らく保管してきた「90年代NBAカード」コレクション
衝撃の鑑定結果は…
なにせ、35〜36年の前のものだからプレミアがついているだろう、と、取らぬ狸の皮算用をしながら、ネットオークションサイト「130point.com」にこれらカードの情報を入力してみた。100ドル超のカードが何枚もあれば、それはかなりのお小遣いになるわ! と意気揚々と検索したのだが、結果は残念過ぎるものであった。基本的に1枚あたり99セント。ちょっと高くても1ドル49セント程度なのである。

1990年にMVPを獲得したマジック・ジョンソンですら1ドル49セント。ラリー・バードに至っては56セントである。しかも、これらは「Fixed Price」、つまりオークションにかけられておらず、「この金額で即売しますよ」というものである。まぁ、当時は一袋あたり15枚入っていて50セント(80円程度)だったため、現在1枚1ドル(160円)であれば2400円の価値があり、30倍となっている。そのため、450枚であれば、450ドルで7万2000円にはなる。我が家の家賃よりも高い。
とまぁ、36年置いておいたNBAとMLBのカードだが、さほどの価値はないが、そんな中で、若干、値がついたものもあった。紹介しよう。
これですら高値
まずはKevin McHale(ケビン・マクヘイル)である。1980年代のボストンセルティックスの黄金時代にラリー・バード、ロバート・パリッシュ、デニス・ジョンソンと強力なラインナップを構成した選手であり、「6thマンオブザイヤー」も獲得している。彼は1ドル69セントである。
続いては、1990年、ロサンゼルス・レイカーズのコーチとして「コーチ・オブザ・イヤー」を獲得したパット・ライリーだが1ドル60セントだ。コーチにしてはやけに高いな、という程度だ。次いでフェニックス・サンズのオールラウンダーかつマイケル・ジョーダンとも見事に渡り合ったダン・マーリーで1ドル75セントだ。正直金額はショボいのは分かっているが、130point.comではこれらですら高値扱いなのだ。
そして、「誰?」と言われる選手なのかもしれないが、ポートランド・トレイルブレイザーズの控えガードであるダニー・ヤングが1ドル99セントだ。出品数を見ると1枚しかなかったため、この値がついたのだろう。レアカードと言えるかもしれない。
ここから2枚の本命を紹介するが、一つはオーランド・マジックのサム・ビンセントである。シカゴ・ブルズでマイケル・ジョーダンの同僚だったガードの選手だが、新興チームであるマジックに1990シーズンにエキスパンションドラフトでトレードされた。初年度は平均得点11.2点、平均アシスト5.6点と1年目の弱小チームのポイントガードとしては及第点だったが、なぜカードの値段が高いのか。
高値のからくりは「一緒に写っている人物」
私が持っている品質であれば恐らく10ドル程度だろうが、最も高いのは550ドルである。なぜこのような高額がついたのかといえば、このカードには、レイアップシュートをする彼の姿が映っているが、その前に立つ選手がマイケル・ジョーダンなのである。
しかも、ジョーダンのキャリアで唯一となる「背番号12」をつけている。これは1990年2月14日のオーランドでのアウェイ戦だったのだが、ジョーダンは何者かに「23」のジャージを盗まれてしまった。チームはジョーダンのサイズに合う「12」を見つけ、それをジョーダンに渡した。ジョーダンはこの試合で49得点を取りったものの、試合はホームであるマジックの勝利となった。
状態が良ければ2500ドル
果たして、トレーディングカード会社・NBA HOOPSのスタッフがこれを意識したのかは分からないが、このカードは結果的に高値で取り引きされている現状がある。
そして、もう一枚が当時ニューヨーク・ニックスのマーク・ジャクソンである。パトリック・ユーイング率いるニックスの堅実な先発ポイントガードとして活躍した彼だが、カードを見ると、ただ単にパスを投げているようにしか見えない。また、ジャクソン自身は一流プレイヤーではあるものの、殿堂入りするような選手ではない。なぜそれなのにこのカードが高いのか。最も高いカードはなんと2500ドルである! 私の保管状況であれば30ドル程度であろう。
こちらが高値で取り引きされている理由は、観客席の左側に1989年に両親殺害事件を起こした「メネンデス兄弟」が映っているからである。この事件は2024年にNetflixで映画化されたのだが、マーク・ジャクソンのこのカードの後ろの観客席最前列に兄弟(ライルとエリック)が映っているのだ!
1996年に二人は逮捕されたが、映画は当時のNetflixで世界で最も視聴された映画として初週で2270万回視聴された。そんな背景があったからこそ、マーク・ジャクソンのカードの価格が高騰したのである。
と、マニアやプロ以外にはよく分からないトレーディングカードの世界だが、取りあえず購入したのであれば、邪魔にならない範囲で保管しておいても良いだろう。それにしても、今回の結果については、ポケモンカードのように一攫千金を狙う者としては、若干の寂しさがあったのは事実である。
ネットニュース編集者・中川淳一郎
デイリー新潮編集部
