「食料品消費税ゼロ」は暗礁に…高市早苗首相「物価高に打つ手ナシ」虚空を見つめる″孤独な女帝″
見出せない打開策
虚(うつ)ろな表情でぼんやりと虚空を見つめて--。4月24日、衆議院厚生労働委員会に出席した高市早苗首相(65)には疲労感が漂っていた。高市内閣発足から4月21日で半年を迎えたが、課題は山積みだ。
「最大の懸案事項である物価高に歯止めがかからない。石破政権下で進められてきたガソリンの暫定税率廃止や電気・ガス補助金が実施されたおかげで一時、鈍化しつつあったが、3月の消費者物価指数は再び上昇に転じた。3月に7000円ほどあった電気・ガスの補助が終わり、中東情勢も出口が見えない。光熱費はさらに上がるでしょう。喫緊(きっきん)の対策が求められています」(全国紙政治部記者)
しかし、高市氏が具体策を示せているとは言い難い。自身が「悲願」と公言している「今年度中の食料品の消費税ゼロ」も、国民会議を立ち上げて検討を進めているが、合意への道筋は見えていない。ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「本気度が伝わらない」と断ずる。
「国民会議の議事録を見ると、議論の8割は給付付き税額控除にまつわるもので、減税がメインになっていない。そもそも合意形成を目指すだけの国民会議なんて経由せず、国会で直接議論すればいい。圧倒的な数の力を手にした今なら本気になれば押し切れるはずなのに、そこには踏み切らない。高市氏の姿勢に、″必ず成し遂げる″という気概は見えません」
かねてから、高市氏は消費減税実現の一番の障壁として「レジの仕様変更に時間がかかる」ことを挙げていた。システム変更が容易で数ヵ月ほどで実施可能な「消費税1%」への引き下げも検討され始めたが、こちらも実現は不透明だ。政治学を専門にする社会構想大学院大学の北島純教授が言う。
「高市政権は高い支持率をキープしており、’28年夏の参院選まで国政選挙はないわけですから、無理して減税に踏み込む必要はない。支持率が低下した際の切り札にすることも可能です。レジシステムの問題が突破できても『外食産業を守るため』など別の″できない理由″が出てくるでしょう。
問題は物価高。顕著になるのは夏です。プラスチック原料で生活必需品の多くに影響するナフサの国内在庫の逼迫 (ひっぱく)が待ったなしで、あらゆるものの価格が上がる。それまでに国民生活へ希望を示すことができるか。正念場だと言えます」
ベテラン議員にも容赦なし
2月の衆院選で歴史的大勝を収めた高市氏だが、物価高への無策ぶりの影響か、神通力に陰りが見えつつある。3月の石川県知事選と東京都清瀬市長選で自民党推薦候補が落選。
4月に入っても、福岡県や愛知県などで行われた八つの市区長選で自民党推薦候補は敗れた。なかでも4月12日に投開票が行われた練馬区長選は、片山さつき財務大臣(66)が応援に入りながらも惨敗に終わった。
選挙で勝てなくなった高市氏に党内から冷たい視線が注がれる中、ベテラン議員への処遇が、党員との溝をさらに深めている。「議員定数削減」について、自身のSNSで「論外」と断じていた衆議院選挙制度協議会座長の逢沢一郎氏(71)と、「議会運営で野党への配慮が多く高市氏が不満を持っていた」(前出・記者)とされる衆院議院運営委員長の浜田靖一氏(70)が相次いで役職を外されたのだ。
「高市さんが半年で行った党幹部との会食は、麻生副総裁(太郎・85)とのランチなど数えるほど。対面の会議や勉強会も激減し、本人は執務室にこもりっぱなしです。高市さんの意に添わなければベテランでも容赦なく切られる。猜疑心の強い独裁者のようだ」(自民党中堅議員)
党内で孤独を深める高市氏。このままでは「消費税ゼロ」の実現どころか、空中分解の可能性もある。
「排他的な姿勢と強権的な人事で、党所属議員の不満は溜まっています。今は高い支持率で封じ込めていますが、ひとたび支持率が下がり始めれば、不満は一気に爆発することになる」(鈴木氏)
難局を乗り切るには、国民の期待に応え、高支持率をキープする以外にない。
『FRIDAY』2026年5月15・22日合併号より
