プルデンシャル生命保険、約31億円不正受領問題で3回目の会見 自粛期間を180日間延長
外資系生命保険大手のプルデンシャル生命保険は22日、社員らが顧客503人から計約31億4000万円を不正受領していた問題をめぐり、新規契約の販売活動の自粛期間を180日間延長すると発表した。当初は今年2月9日から90日間を予定していたが、営業報酬制度や管理体制などの抜本改革にさらなる時間を要すると判断し、11月5日まで延長するとした。
また、顧客から約700件の被害の申告や相談があったと公表。同社の得丸博充社長兼最高経営責任者(CEO)は記者会見で「補償額が増加する可能性がある」と述べ、被害件数・総額が拡大するとの認識を示した。社員・元社員100人以上による金銭詐取問題。この不正は30年以上前から、1991年~2025年にかけて行われていたとみられる。
同社は専門家による補償委員会を設置。2月時点で顧客からの被害申告や相談が300件寄せられたが、約2カ月でその件数は約700件へと倍増したという。いずれも1月に公表した事案には含まれていないとし、このうち約70件はグループ会社のジブラルタ生命保険に関するものだった。補償委が今後、寄せられた約700件について、不正の真偽について事実確認を進めるが、調査結果次第では被害件数や総額が上積みされる可能性があるようだ。
得丸氏は冒頭、「信頼の根幹を揺るがす事態を招いた」として謝罪。組織構造や報酬制度の抜本的な見直しを表明し、再発防止に向け新規契約実績に偏っていた評価を改め、基本保証給の導入や保全・アフターサービスへの評価を軸とした新報酬制度の骨子を策定している。
また、持株会社のプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンから新たに副社長2名と常務1名を迎え、ガバナンス体制の強化を図るとした。同社がこの問題で会見を開くのは3回目で、得丸氏は「ご心配とご迷惑をおかけしていることを改めて深くおわびを申し上げる」と陳謝した。会見は得丸氏のほか、親会社のプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン(HD)の役員らも出席し、2時間15分以上に及んだ。
SNS「組織的に悪用した構造的な問題だ」など批判殺到
会見を受け、SNSでは「この問題は『一部の不心得者』による犯行では説明がつかない。プロへの信頼を組織的に悪用した構造的な問題だ」「背景にある業績偏重の文化とゆがんだエリート意識を根本から変えない限り、信頼回復は難しいだろう」「会社は顧客との接点に関与して来なかったことが不祥事が発生した第一の要因」「早期に把握できず、内部で止められなかったガバナンスの機能不全にある。会見で問われるべきは謝罪の言葉ではなく、誰がどの段階で異常を認識し、なぜ是正できなかったのかという具体的な責任の所在だ」といった手厳しいコメントが大半を占めている。
同社の金銭詐取問題をめぐり、全容解明の行方が混沌としてきた。その一方で同日、ソニー生命保険で金銭詐取が発生している疑いがあることが判明。金融庁は金銭詐取の被害が広がっていることを重く受け止め、内部管理体制の不備などのガバナンス(企業統治)を点検する。
「銀行に預けているより…」と、社員の言葉を信じて財産を託した顧客は、数十年後に失いかけている事実を知り、不安でたまらぬ日々を送っているに違いない。一刻も早く、被害に遭われた方が安心できるよう、同社には最善を尽くしてもらいたいものだ。
