「ガムテープ等で注意文を貼るのは、逆に被害者側が訴えられる」との声もあるが…(Caito / PIXTA)

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先日、Xで、自動車の窓ガラスにガムテープで警告文が貼られている様子の写真が投稿された。警告文は「ここはお前のところではない!何回目じゃ?お前はアホか」から始まり、「土下座ぐらいしに来い。許さんぞ。」という怒りの言葉で結ばれている。

画像の投稿主は「度重なる迷惑駐車でパン屋さんブチギレてる(怒)私有地だと無断駐車に警察が介入できないの、日本の法律の欠陥だと思う。」というコメントを添えていた。

この投稿が話題となり、「本当に法律の欠陥だと思う」「非常識な奴に対する罰則が甘すぎる」「キレていいよね」などの声が寄せられた。

気になるのは「ガムテープ等で注意文を貼るのは、逆に被害者側が訴えられることがある」「私有地にあるからって破壊すると、相手方に賠償させられる」というコメントもあったことだ。

店舗や住居などの敷地内に無断で駐車された場合に取るべき適切な対処を、民法に詳しい雨宮知希弁護士に聞いた。

「自力救済」は原則NG

そもそも、なぜ私有地の無断駐車には警察が介入できないのだろうか。

無断駐車においては、基本的には民法上の不法行為(民法709条)が問題になる。

無断駐車をされた土地の所有者・管理者は自身の権利(使用収益権)を侵害されることになるため、損害賠償を請求することは可能だ。

他方で、無断駐車をした側の刑事責任が問題になるケースは限定的だ。仮に、フェンスや門で明確に囲われており、他人の「敷地」であることが明白な場所に無断駐車した場合には住居侵入罪(刑法130条)に問われる可能性もあるが、そうでなければ、直ちに罪に問われるわけではない。

では、敷地内に無断駐車された場合、具体的にはどのように対処すればいいのだろうか。

「まずは穏当な方法での対応として、貼り紙や注意書きを掲示する、敷地の所有者や管理会社が警告を行う、ということが考えられます。

次に、警察への相談も考えられますが、民事不介入のため、積極的な排除には期待できません。ただし、注意喚起はしてもらえるかもしれません。

そして、民事上の請求として、駐車料金相当額(近隣相場ベース)を請求することも考えられますが、かかる手間と費用が実際の損害とは釣り合わない、という問題があるかと思います」(雨宮弁護士)

また、勝手に車を移動させる、チェーンなどで車を拘束する、ガムテープで警告文を貼る、(裁判所による許可もなしに)レッカーで移動するといった、強行的な手段を取るという「自力救済」は、民法・刑法に抵触し違法となるリスクがある。さらに、これらの行為の過程で車を傷付けてしまうと、損害賠償責任を負う可能性もある。

つまり、原則として自力救済をするべきではない。雨宮弁護士が述べている通り、警察が注意喚起をしてくれる可能性はあるため、まずは相談してみるのがいいだろう。

「無断駐車を発見したら〇〇万円請求します」は有効?

ところで、町中の駐車場などには「無断駐車を発見したら〇〇万円請求します」と書かれた看板などが掲示されていることがある。実際に、看板通りの金額を請求することはできるのだろうか。

雨宮弁護士によると、原則として、看板に書いてある金額がそのまま認められるわけではない。駐車場などの所有者が無断駐車をされたことで実際に発生した損害とかけ離れている場合には、公序良俗違反(民法90条)により無効となる可能性があるためだ。

「例外的に認められるのは『合理的な範囲』の金額である場合です。裁判実務では近隣の駐車料金相場、実際の損害などを基準に判断されます。

コインパーキング形式で明確な料金体系、利用条件の表示がある場合には、契約として有効になる余地があります」(雨宮弁護士)

結局のところ、無断駐車の被害を防ぐためには、されてから対応するのではなく事前に予防策を打つことのほうが有効だ。具体的には、「契約駐車場」「無断駐車禁止」などと明確に表示する、防犯カメラを設置する、駐車場をコインパーキングとする、などの対策を検討しよう。