行方不明者の捜索が続く事故現場(8日午前、川崎市川崎区で、読売ヘリから)=武藤要撮影

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 川崎市川崎区のJFEスチール東日本製鉄所京浜地区で7日、解体中の大型クレーンから重りが落下した事故で、転落して死傷するなどした作業員5人は全員重りの上で作業中だったとみられることが同社などへの取材でわかった。

 死者は計3人となり、1人は重傷、1人は行方不明が続いている。神奈川県警は業務上過失致死傷の疑いも視野に当時の状況を調べている。

 川崎臨港署の発表によると、死亡した3人はいずれも会社員で、千葉市稲毛区山王町の千葉ケン志朗さん(19)、同市緑区土気町の小池湧さん(29)、千葉県市原市姉崎の上山勝己さん(43)。3人ともJFEスチールから解体工事を請け負った東亜建設工業(東京)の下請け会社に勤務していた。

 JFEスチールと東亜建設工業などによると、現場では当時、船から鉄鉱石などを積み下ろす「アンローダークレーン」(高さ54メートル)に取り付けられた円柱状の500トンの重り(直径6メートル、長さ9メートル)を解体していた。5人は重りの上部で重機などを使って、重りに詰まっているコンクリートを掘削して軽量化する作業をしていたが、何らかの理由で重りが落下。5人とも35メートルほどの高さから転落したとみられる。

 重りはバース(係留施設)に敷かれていた鉄板を突き破って海中に落ちた。行方不明の1人は、穴から海中に投げ出された可能性があるといい、8日の捜索でも発見できなかった。

 現場は東京湾を埋め立てた人工島・扇島。JFEスチールの高炉が2023年に休止した後、次世代エネルギーの供給拠点などの整備に向け、設備の解体が進められていた。

 JFEスチールと東亜建設工業は「関係当局による調査に全面的に協力するとともに事故原因などの究明に努める」とするコメントを出した。

犠牲の19歳、高校野球・夏の県大会で満塁本塁打…監督「悔しい」

 事故で犠牲となった千葉ケン志朗さん(19)は東京学館高校(千葉県酒々井町)の野球部出身。同部の市川知明監督(38)は8日、取材に応じ、「信じられない。なぜケン志朗がという悔しい気持ちだ」と声を震わせた。

 千葉さんは1年生からベンチ入りし、3年生の時には夏の県大会で満塁本塁打を放つなど活躍。卒業後は働きながら、中学生の時に所属していた野球チームでコーチを務め、熱心に後輩を指導していた。市川監督は「明るいキャラクターで仲間から慕われていた」と話した。

 亡くなった小池湧さん(29)の親族で、千葉市緑区の住宅で同居する小池敏史さん(53)は「人なつっこくてかわいい子。毎朝5時には家を出て真面目に働いていた。いつも通り帰ってくると思っていたのに……」と悔やんだ。小池さんらは重りの上で作業をしていて巻き込まれたとみられ、「重量物を扱っている以上、安全対策を徹底すべきだ。こんな事故は二度とあってはいけない」と怒りをあらわにした。