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技術力を誇示する直列6気筒エンジン

BMW 328は、今も昔も素晴らしい。曲線美なボディへ無骨なバンパーは備わらず、フェンダーラインに無駄はなく、キドニーグリルも上品だ。スポーティなブランドイメージを構築した傑作といえ、ピーターパンの様に変わらぬ若々しさを醸し出す。

【画像】1936年生まれのスポーツカー BMW 328とジャガー SS100 同時期のクラシックたち 全148枚

リアヒンジのボンネットは、レザーストラップで優雅に止まる。1936年当時、滑らかにフェアリングされたヘッドライトは、息を呑むほど現代的に映ったはず。


シルバーのBMW 328と、アイボリーのジャガー SS100 2 1/2リッター    マックス・エドレストン(Max Edleston)

高度な技術力を誇示するのが、1971ccの直列6気筒エンジン。ブロック自体はサルーンのBMW 326と共有し、高度な設計が求められたオーバーヘッドカム化を見送りつつ、高効率な吸排気を実現していた。

同社の技術者、若きフリッツ・フィードラー氏が導いた解決策は、クロスしたプッシュロッド。カムシャフトはサイドマウントされ、90度折れた12本のロッカーアームが動かされた。半球状の燃焼室には、大きなバルブが備わった。

排気音にかき消される金属的なノイズ

最高出力は81ps。車重816kgの328を、充分活発に動かした。最高速度は149km/hが主張されたが、160km/hを超えたという報告もある。実際、当時のAUTOCARは英国のブルックランズ・サーキットで試乗。165km/hを記録している。

326由来のシャシーは保守的といえ、サスペンションは前がリーフスプリングを横向きに配置した独立懸架式で、後ろはリジッドアクスル。他方、強固なチューブラーフレームと、先進的なラック&ピニオンのステアリング、油圧ブレーキが軽快な走りを叶えた。


BMW 328(1936〜1940年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ボディは小柄で、着座位置は低い。今回の車両はシルバーの塗装と相まって、メタルのスーツを着る感じ。リアヒンジの小さなドアを開き、しっかりしたサイズのレザーシートへ腰を下ろす。左肘は、自然とドアの外側。正面にVDO社製のメーターが並ぶ。

既にエンジンは暖気済み。滑らかにアイドリングし、バルブトレインは金属的なノイズを止めないが、ドライな排気音にかき消される。4速MTはハース社製。シフトレバーは、ダッシュボード奥の足元付近から突き出ている。

徹底レストアが引き立てる現代的な運転体験

勇ましいサウンドへ包まれながら、ダブルクラッチを挟んで2速へ。滑らかに次のギアを選べるが、長いレバーは丁寧に動かさざるを得ない。3連ソレックス・キャブレターのアクセルレスポンスは、歯切れが抜群。ギアを問わず、颯爽とスピードを乗せていく。

印象は従順で、自然と安心感が湧いてくる。反応が正確で、程なく自信が築かれる。ヒストリックラリーや裕福なカーマニアから、圧倒的な支持を集めることへ納得する。


BMW 328(1936〜1940年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

532 YUFのナンバーで登録された328は、1938年にポルトガルへ納車され、イタリアの公道レース、ミッレ・ミリアへ参戦。前オーナーは、クラシックカー・イベントへ挑むべく、2009年から2年間かけてレストアを施した。予算の糸目を付けずに。

その成果が、現代的で一体感のある運転体験を引き立てている。ステアリングホイールは適度な重みを伴うが、腕がパンパンになるほど力が必要なわけではない。乗り心地も良い。強固なフレームのおかげで、しなやかな足回りを可能としている。

サイドカーを提供していた往年のジャガー

ジャガー SS100とBMW 328を同列に扱うことに、ためらいがないわけではない。でも筆者は、以前から比べてきた2台。共通点もゼロではない。どちらも1930年代半ばに生まれた、全長3.9mほどの美麗な2シーター・ロードスターだ。

エンジンは、SS100も直列6気筒。BMWより車重は重く、技術的にはベーシック&トラッドといえるが、英国車らしい趣がある。生産数は、1936年からの4年間に314台と多くない。328は、同じ期間に459台がラインオフした。


シルバーのBMW 328と、アイボリーのジャガー SS100 2 1/2リッター    マックス・エドレストン(Max Edleston)

それ以前、ウィリアム・ライオンズ氏率いるスワロー社は、バイク用のサイドカーを提供していた。だが、オースチンのシャシーを想定したスポーティなボディを開発。その後SSカーズが誕生し、スポーツカー・メーカーとして急速に成長していった。

当初、モデル・ラインナップの1つだった「ジャガー」という名称は、後にブランド名へ。貧素なベントレーの様だという受け止められ方の、刷新が図られた。

レーシングカー級の加速力を誇ったSS100

SS100の発表は1935年9月。395ポンドで売られ、本格的なスポーツカー・メーカーとして、注目を集めるきっかけを生み出した。1936年の国際アルペン・トライアルではBMWを破り、第二次大戦前のRACラリーでも2度優勝している。

スタンダード社製の直6エンジンは、技術者のビル・ヘインズ氏がオーバーヘッドバルブへ改良。ハリー・ウェスレイク氏の知見により、インテークマニホールドを省いて2基のSUキャブレターがマウントされ、2663ccから103psが引き出された。


ジャガー SS100 2 1/2リッター(1936〜1940年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

18インチのダンロップ社製ワイヤーホイールを履き、プロポーションは低い。10.9秒の0-97km/h加速と、152km/hの最高速度は、周囲を驚かせるのに充分だった。当時の自動車雑誌、ザ・モーター誌は「レーシングカーの加速力」だと表現している。

この続きは、1936年生まれの2台(2)にて。