昨今、小学生の英検受験者数が増加するなど、英語教育の早期化が進んでいる。しかし、子供が日本語を十分に覚えていない状態で英語教育を始めると、思わぬ副作用があるという。ニュース番組『わたしとニュース』では、東京大学-IncluDE准教授の中野円佳氏が出演し、「ダブル・リミテッド」という現象について考えた。

【映像】ダブル・リミテッド現象を描いた漫画

 「ダブル・リミテッド」とは、幼少期に英語学習を過度にしてしまった時に起きる深刻な現象。それは、母語の日本語と取り組んでいる英語のどちらも中途半端な状態で発達してしまうことだ。

 漫画『知らないと合格できない 令和の受験のフツウ』(KADOKAWA)では、具体的な例が紹介されている。

「お母さん、Pick upってどういう意味?」
「拾うって意味の英熟語だよ」
「拾う?」

 「拾う」という日本語の意味をその子は知らなかったのだ。

 こうした「ダブル・リミテッド」現象について、海外駐在経験のある中野氏は自身の経験を踏まえて次のように語った。

「海外に行く時にいろいろな本を読んで、ダブル・リミテッドになるのはすごく怖いと思った。特に言語を習得する2歳くらいに(日本語・英語の)どちらになるかというのもある。また、高学年になった時に、抽象的な言葉をどちらの言語でも理解していない、ぼやっとした感じになってしまうと、どちらの言語でも物を考えられなくなってしまうというのを本で読んだことがあったので、気をつけないといけないと思っていた。でも、家庭で母語の日本語を喋っていて、学校に行っている間、違う言語に触れているぐらいであれば、そんなに心配する必要はないと経験上は思う」

 さらに、中野氏は相手や文脈、感情に合わせて日本語と英語を使い分ける「スイッチング」についても触れて「帰国子女の友人がいるが、言葉を混ぜたり、文章が英語になったり、日本語になったり。でもそれもどちらかの言葉で言えていればいいと思う。ダブル・リミテッドのように、どちらもよくわからないし、考えられないのがネガティブなだけで、使い分けるとか、こっちでしか言えない表現があるというのを知っているのは、むしろ豊かな感じもする」との見方を示した。

(『わたしとニュース』より)