(写真・有泉伸一郎)

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司会者やキャスター、俳優などさまざまな分野で活躍する、お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」の上田晋也さん。今回は、上田さんが40代の10年を振り返った初の書き下ろしエッセイ『経験 この10年くらいのこと』から一部を抜粋し、上田さんが赤裸々に綴った知られざるエピソードをお届けします。

【写真】上田晋也さん「超意外な答えを聞いて私は…」

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事件〜娘のお小遣い〜

ある日、家内が小学校4年生の娘を叱っていた。いつもはヘラヘラしている娘が、その時はシクシクと涙を流しながら神妙な顔をしているので、何事かと問うた。

じつは2日前、私は娘に、習い事に行きたいけれどパスモの残高がないと言われ、2000円を渡していた。ところが、娘はそのお金をパスモにチャージせずにお菓子と漫画の本を買っていた、とのことだった。まさか娘がそんなことをする子だとは夢にも思っておらず、ショックと怒りで、私も強目に「なんでそんなことをした?」と詰問した。

すると娘は泣き叫ぶように、

「悪い心が出た!」

と言い放った。(いや、悪い心が出た、って―─)と、超意外な答えに私は思わず吹き出しそうになった。いや、少々吹き出したと思う。

幸い、娘は反省しきりで下を向いていたためバレなかったが、しかし、ここは真剣に怒って、ちゃんとわからせなければいけない場面である。私は噛みちぎらんばかりに思いっきり舌を噛んで笑いをこらえ、険しい表情を作り、

「二度とそんなことをするんじゃないぞ! 後はお母さんから─―」と言い残し、別の部屋に移動して独りでひとしきり笑った。

その後

数十分後、家内が私のところに来たので、その後どうだったか問うと、これまた驚きの答えが返ってきた。

なんと娘が生まれてから10年間、我々夫婦は一度もお小遣いをあげていなかったことが判明した。


『経験 この10年くらいのこと』(著:上田晋也/ポプラ社)

もちろん、必要な服や文房具などは買ってあげていたし、お菓子や本なども一緒に買いにいったりはしていたのだが、月々のお小遣いというものを一度もあげていなかったのである。娘からの要求もなかったため、私も家内も、子どもにお小遣いをあげるという概念がすっぽりと抜け落ちていたのである。

「そりゃ俺たちが悪いわ。お菓子も買いたくなるわな」と言い、次の月から毎月お小遣いをあげることにした。

一連の話に、森泉は……

後日。テレビ番組『おしゃれイズム』の収録後、スタッフや出演者一同で食事会を開いた際、私の隣に座っていた森泉ちゃんに、この一連の話をした。すると泉ちゃんが、

「そうなんだー、それは娘さんいけないことをしたね。じゃあ今度、私が言って聞かせてあげるよ」と、森泉にしては意外な答えが返ってきた。

「いやいや、もう大丈夫だよ。俺と奥さんで言って聞かせたから。お気遣いありがとね」

とお礼を言うと、またまた想定外のフレーズが返ってきた。

「そうじゃないよ! お父さんにもらったお金を一度パスモにチャージして、お菓子と漫画をそのパスモで精算すればバレなかったんだよ、ってことを私は教えたいの!」

「お前はアホかー! 余計なことを教えなくていいーーー!」

やはり森泉は破格のスケールでお送りしている。今からでも、泉ちゃんの親御さんに育児休暇を取ってもらって、森泉をイチから育て直して欲しいと思う。

※本稿は、『経験 この10年くらいのこと』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。