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英語の略語がいろいろあってよくわからない、TV画面の仕様や方式ですが、最近耳にするのが「micro RGB」。2026年は、店頭のショールームにこぞって登場すると言われています。

でもmicro RGBってなに?

なぜ最近の大手TVメーカーはこの新しい画面方式をアピールしだしているのでしょうか。2026年、まずはCES 2026に向けていろんなところで見聞きするようになると思うので、ここで予習しておきましょう!

「micro RGB」とは

micro RGBの画面はmini LEDのローカルディミング技術に似ていますが、液晶ディスプレイの背面に白色または青色のLEDを置く代わりに、赤・緑・青の光をそれぞれ独立して発光できる、100μmの極小LEDを用いる点が異なります。

サムスンは、CES 2025で「超巨大なmicro RGB TVを出します」と予告していました。そして2025年な半ばには、このmicro RGBテクノロジーをメインにした「ぶっ飛んだ」製品として、115インチの約3万ドル(約446万円)を投入しています。

そして先日はLGも、「micro RGB evo TV」を発表しました。このモデルは、Adobe RGB、DCI-P3、BT.2020という各色域規格に対して、色の正確さ(カラ―精度)100%が特徴です。

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ただ、LGのmicro RGB evo TVは、75インチ、86インチ、100インチの3種類しかありません。つまり、一般消費者が、買いたいと思うような画面サイズではありません。その点、サムスンのほうが先を行っていて、55インチ、65インチ、75インチ、85インチ、100インチ、115インチと、フルラインアップのサイズでmicro RGBを投入する予定です。サムスンの発表によれば、これらのテレビは新しい「プレミアムカテゴリー」になるそうですが、「現実的」に見える55インチモデルでも、手頃な価格になることは期待しないほうがよさそうです。

というのも、この画面技術は比較的新しいため、生産能力にはまだ限りがあります。結果としてコストがかかり、必然的に販売価格に転嫁されてしまうのです。

そもそもmicro RGBの何がいいの?

micro RGB TVのポイントは、とにかくカラーコントロールをより細かく行い、正確な画質を実現するところにあります。ただし、micro RGBは、あくまでLCD(液晶)なので、これから今の画面業界の覇者のOLED(有機EL)ディスプレイと戦っていくことになります。

有機EL(OLED)は、自発光の素子を使うことで、非常に深い黒(黒レベル)と、高コントラストな色表現を実現します。最近のOLEDには、色精度を高めるために量子ドット層を追加したQD-OLEDや、明るさを強化するために発光層(ダイオード層)を2層にしたタンデムOLEDといった方式も登場しています。昔のOLEDは非常に高価で、さらに「焼き付き」(映像が画面に恒久的に刻まれてしまう現象)の懸念もありました。しかし有機ELは改良され続け、価格も下がり、長期的な安全性(焼き付きの起きにくさ)も向上しています。

TVメーカー界隈は、常に最先端の画面技術で攻めがちですが、一般消費者にとって重要なのはやはり価格です。そういった意味では、サムスンが一般人のリビングに置けるような普通のサイズも提供しようとしているのは良いですよね。micro RGBがこれまでの画面技術を超えていくのか、単に「液晶の亜種がまたひとつ増えただけ」で終了するのかは、まだ結果が出ていません。

ゲームにはどう?

micro RGBは、テレビ番組や映画、スポーツ視聴の分野では素晴らしい映像を楽しめるかもしれませんが、ゲーム用途はそうではないかもしれません。というか、まだ詳細がわからない部分が多く、別の方式のほうが向いている可能性があります。

一般的にOLEDは、応答速度が速く、画面の表示の切り替わりも良いとされています。これは、動きの速いゲームで、モーションの鮮明さや、入力遅延(インプットラグ)を無くすのに重要です。しかし、これから出てくるmicro RGB TVの具体的な応答速度やリフレッシュレートの仕様はまだ分かっていません(ちなみにサムスンの最初の115インチモデルは最大144Hzでしたが)。

そしてTVにもAI機能

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micro RGBとは別の観点でのTVの進化の方向性としては、やはりAIです。

LGのmicro RGB evo TVは、同社のハイエンドOLEDと同じ「α11 AI Processor Gen 3」を搭載し、AI機能が強化されるとのことです。ただしOSは同社のwebOSプラットフォームとのこと。

サムスンのTVは「マルチエージェント・プラットフォーム」を強調していて、TVの画面にチャットボットを押し込もうとしているようです。例えば「Bixbyと自然な会話がしたい」とか、AIを使ってコンテンツ検索をしたい、とかなければ、単純に画面上でライブ翻訳のような機能が使える、という感じになりそうです。TCLは今年、TVにGoogle Geminiを組み込みましたが、実際は、びっくりするくらいつまらなく、重要な機能とも思えませんでした……。テレビと組み合わせることによって新しいアイディアを生み出す技術であることは確かですが、サムスンの実装がより興味深いものになるとは思えないのが、現在の正直なところです。