「コンディションがよければ64分台」

2区での目標タイムをこう答えるのは東京国際大学のリチャード・エティーリ(3年)だ。箱根駅伝初出走となった前回は、2区で65分31秒のタイムをたたき出し区間賞を獲得。同大学の先輩であるイェゴン・ヴィンセントの区間記録を塗り替える快走だった。

それも、万全ではない状態で、だ。中村勇太監督代行が「やりきった練習はなかった」というように、しっかり練習が積めていたわけではなかった。それでも驚異的なタイムをたたき出したわけだが、特に最後の3kmは何度も後ろを振り返る姿が見られたように、失速を自らも感じていた。

3年生になったエティーリに関し、中村監督代行はこう話す。

「“根でもっといい成績を残したい”という欲を感じています。なので、そういうメニューを組んで練習させてきました。1km2分48秒のペースでいけば64分台は出ます。リチャードには『これが箱根駅伝のペースだ』と2分48秒のペースで練習をさせてきたので、刷り込まれていると思います。とんでもないタイムが出ると思います。期待してください」

エティーリ本人も箱根駅伝に関しては、こう語った。

「Very special. ロードでのリレーは他の国では見たことがないし、たくさんの大学が競い合うのも観たことがなかった。さらにあの応援の人の数。So cool!! 駅伝ケニアにはないし、たぶん日本だけだと思うよ。襷もcool」

特別な大会の前だが、すべてが万全なわけではない。出力の高い練習を繰り返すと、脚の痛みを訴えることも多い。リチャード本人も目標に関しては「コンデションがよければ」と添えたうえで繰り返す。脚の状態、天候、さまざまなコンディションがタイムに影響することを考慮するのは、彼がいかに冷静で、スマートなランナーでるかの証左でもある。

最後に、ライバルはいるかと問うと、こう返ってきた。

「No rivals. なぜなら自分は他の人と比べるとかではなく、チームのために走っているから。根では自分が先頭に立って、チームでシード権を獲る、それだけ。自分の走りに集中するだけ」

驚異的な走りがまた見られるかもしれない。もう誰も届かないと思うようなタイムが出るかもしれない。中継前夜からわくわくが止まらない。