箱買いミカンは「逆さま」に?潰れる“悲劇”を防ぐ、プロ直伝『ミカン保管術』
ミカンの保管方法の「正解」に迫る
冬になるとスーパーでついつい大袋のミカンを買ってしまったり、親戚や知人から「ミカンの箱」が届いたりする人も多いのではないでしょうか。
箱一杯のミカン、嬉しいんです。間違いなく嬉しいのですが、箱を受け取ったときに抱く一抹の不安。
(最後の1個まで美味しく食べられるだろうか…)
筆者の「もったいない精神」と、ミカンの水分でタプタプになっていく胃袋の持久戦。どうにかなってしまうその前に、今年はプロに聞いて、ミカンの保管方法の「正解」を教えてもらいました。
すぐ逆さまに?
全国有数のミカンの生産地、熊本。
ミカンの販売を担当しているJA熊本果実連の國瀧慎太郎さんに、ミカンを長持ちさせるコツを聞きました。
JA熊本果実連 販売部 國瀧慎太郎さん「まず、箱を逆さまにすると腐りにくいです。底のミカンは運送中に重さがかかっているので、それが破損や腐りの原因になります。逆さまにして、底にあったミカンにかかる重さを分散すると腐りにくくなります」
最初のアドバイスから驚きですが、実は逆さまにするメリットはもう1つあります。逆さにして底から開けることで、重みで傷んでいる可能性があるミカンをすぐに見つけ出すことができます。
國瀧さん「検品が終わったら、箱のフタが自然と開かないように、(重石として)物を置いてフタを閉じて保管してください」
これなら中身を全部ひっくり返して並べる手間なく、効率的に検品が完了します。また、ミカンは乾燥しすぎると味が落ちるため、検品後はフタを閉じるのも重要です。
あとは保管するだけですが、悩むのが「置き場所」です。
できれば、こたつからすぐ手の届く場所に置いておきたいところですが…保管に最適な場所はあるのでしょうか。
置き場所は「暖房の部屋」より「廊下」
國瀧さん「できるだけ温度変化の少ないところ、凍らない程度で、今の季節だと10℃前後が理想です。暖房の効いた室内よりも廊下が好ましいですね」
正解は廊下。取りに行くときに、ちょっと寒いのは美味しいミカンを食べるための我慢です。
袋買いなどで冷蔵庫に入れる場合は、乾燥や湿気を防ぐため、袋から取り出し新聞紙で包んで野菜室に入れるのがベストだそうです。
実はこの「新聞紙」、箱で保管する場合にも有効です。
食品衛生に詳しい尚絅大学の前渕元宏准教授によると、ミカンを新聞紙で一つずつ包む方法は、新聞紙が湿気を吸い取り、カビが生えた場合の胞子の拡散を防ぐ効果もあるため、有効な対策の一つだそう。 少し手間はかかりますが、長く楽しむためには有効な一手です。
ちなみに食べる際は、皮がブカブカと浮いておらず、実とピタッとくっついているものを選ぶのが、プロ直伝の「甘くて美味しいミカン」を見極めるコツです。
もし「カビ」を発見したら、隣のミカンは救える?
美味しい個体を選んで丁寧に保管していても、ある日、突然現れるのがカビです。もし発見してしまったら、どうすればいいのでしょうか。
國瀧さん「傷みが移っていく場合があるので該当するミカンは除去してください。段ボールにカビがついたら段ボールは使い続けずに捨てましょう」
新しい容器に移し替えた後、悩ましいのが、傷んだミカンの隣にあった「無事に見える」ミカンです。そのまま箱に戻してもいいのでしょうか
目に見えない菌のリスクはどうなのか、前渕准教授はこう話します。
尚絅大学 生活科学部 前渕元宏准教授「カビてしまったミカンは、カビの胞子(カビの種)を空気中に飛ばしています。隣にあったミカンにも、目に見えなくても胞子が付着している可能性が高いです。洗ったり、アルコール(濃度70~80%程度のキッチン用)を含ませた布で拭いたりすれば、表面の胞子は除去できます」
【カビ発見時の3ステップ】
前渕准教授によると、アルコールで拭くことで表面のリスクは下げられるとのこと。 ただし、「目に見えないレベルで菌糸を伸ばし始めている可能性もゼロではないため、洗って様子をみるのも手ですが、できるだけ早く食べるのが鉄則」だそうです。
【カビ発見時の3ステップ】
1.カビた個体は、そっと取り出し廃棄
2.段ボールにカビがついていたら、箱ごと交換
3.隣にあったミカンは洗うかアルコールで拭き、優先的にすぐ食べる
ミカンの保管とトラブル対処をマスターすれば、カビの悲劇を最小限に防ぐことができます。この冬こそ理想の“こたつdeミカンライフ”を満喫して、最後の1つまでミカンを堪能できそうです。
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