日産「“老舗”コンパクトカー」復活に期待大! 欧州「マイクラ」日本導入はどうなる!? 40年続いた“国民的ブランド”「マーチ」はなぜ消滅してしまったのか
40年間貫かれた「誰もが気軽に楽しめる」という価値
日産「マーチ」とは、「誰もが気軽に楽しめる」という価値を40年間貫いた一台でした。
最終モデルとなった4代目(K13型)は2010年に登場しましたが、2022年には国内向けの生産を終え、絶版モデルとなっています。そんな国民的な老舗ブランドが復活することはないのでしょうか。

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マーチは世界160カ国以上での販売を視野に入れたグローバル戦略車として長年親しまれてきました。
なかでも4代目は、タイ生産の輸入車となった点が最大の特徴でした。
4代目デビュー当時の新車価格は最廉価グレードで99万円からと、100万円を切る戦略的な価格設定で、極めて高いコストパフォーマンスを実現しています。
デザインは、マーチの伝統であるアーチ状のサイドウィンドウや丸いヘッドライトを継承しつつ、3代目(K12型)で広く支持されたかわいらしさはグッと抑えられ、より普遍的なスタイリングが与えられています。
最終型のボディサイズは全長3825mm×全幅1665mm×全高1515mmです。
内装もK12型よりも、機能性とコスト効率を優先した実用的な空間となっていました。
パワートレインは、新開発の1.2リッター直列3気筒エンジン「HR12DE」と副変速機付きCVTの組み合わせ。エンジンは最高出力79PS、最大トルク10.8kgfmを発生しました。
サスペンションはフロントにストラット式、リアにトーションビーム式というシンプルな構成で、扱いやすい乗り味を実現していました。
マーチの歴史は1982年の初代(K10型)に始まり、4世代にわたって進化を続けていましたが、2022年8月に国内向けの生産を終了し、40年の歴史に幕を下ろしました。
マーチの生産終了について、日産から明確な公式発表はありませんでした。
個性的だった先代のK12型に比べると、K13型はマーチ独自のキャラクターも薄まり、没個性で廉価なコンパクトカーというポジションからユーザー離れを引き起こし、販売が低迷していたことは否めません。
加えて、日産が進める「選択と集中」という経営戦略も大きく影響していたと考えられます。
最大の要因は、同じ日産の「ノート」と「軽自動車」による“挟撃”でした。
とくに日産自身がノートに独自の電動パワートレイン「e-POWER」を搭載して大ヒットさせたことで、マーチとの内部競合が深刻化しました。
先進的で収益性の高いノートに経営資源を集中させ、廉価な小型車ニーズは当時市場拡大が著しかった軽自動車に任せることは、企業として当然の判断だったといえます。
したがってこのままでは、マーチが従来のガソリン車として国内で復活する可能性は低いでしょう。
国民的な大衆車ブランドがこのまま消えゆくのはしのびない……
一方で、欧州で後継車として登場する新型EV「マイクラ」が日本に導入されるのでは、という期待の声もあります。
マイクラは、欧州向けマーチに初代からつけられており、こちらも歴史ある名称です。
2025年10月29日に開幕した「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」では、初日のプレスデー(報道発表日)にのみ、このマイクラが展示され注目を集めていました。

しかし新型マイクラは、アライアンス先のルノーなどと共同で欧州にて開発されたEV専用プラットフォームをベースに製造されています。
一般来場者に公開されたあとのJMS2025会場でもせっかく披露されたマイクラの展示車は撤去され、わざわざ国内向けの市販モデルに変えられていました。
そもそもマイクラはe-POWERなどハイブリッド車の設定がないこと、欧州での想定価格は日本円で約480万円にも達していることなど、マーチが築き上げてきた「手頃な国民車」というイメージとはかけ離れています。
日本市場への導入ハードルは極めて高く、マーチとしての復活も現実的ではないと考えられます。
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マーチが40年間愛されたのは、時代のニーズに合わせて「誰もが気軽に楽しめる」という価値を提供し続けたからです。
その価値は、手軽な移動手段という枠を超え、多くの人々の生活に寄り添ってきた、日本のモータリゼーションの歴史そのものといえるでしょう。
とはいえ、長きにわたり親しまれた国民的な大衆車ブランドだけに、このまま消えゆくのは惜しい限り。その名が次世代の軽自動車やコンパクトカーに継承されるわずかな可能性を密かに期待したいところです。
