そのため、会社として打たれ弱くもなってしまった。当然ですが、大きな問題を起こしたため、社会から厳しく批判されましたからね。また、誰かに依存してしまう体質だったため、自分たちで考えて、自分たちで結論を出すという視点が疎かになっていました。

 
 紅麹問題をどう教訓にするか?

 ─ 現特別顧問の小林一雅さんは他にない商品づくりで小林製薬を大きく成長させました。

 大田 そうです。その結果、ずっと右肩上がりの業績が続いていましたからね。一方でそのために緊張感も薄れてしまった。ただ、ここで落ち込んでいる場合ではありません。これからは経営幹部などを含めた社員全員が自分たちで考えて、自分たちで判断し、責任もとっていく。それが大事なことになります。

 ただ、「『あったらいいな』をカタチにする」というブランドスローガンは素晴らしい。これは稲盛さんが言っていた「善きことを思うのがすべての始まり」の「善きこと」に当てはまります。善きことをしようという文化は根付いているんです。

 ─ 社員に向けた第一声はどのような内容でしたか。

 大田 京セラでもそうですし、JALやMTGでもそうですが、どんな会社であっても、いつまでも順風満帆なことはなく、必ずいつか大きな壁にぶつかることがある。そのときに落ち込んで低迷してしまう会社もあれば、それをバネにして更に成長する会社もある、と伝えました。

 京セラも創業25周年のときに、薬事法の問題を起こして行政処分を受けたことがありました。そのときに稲盛さんは京都府八幡市にある達磨堂圓福寺のご老師に相談に行きました。

 そこでご老師からは「人生は因果応報。善因善果・悪因悪果である」という人生の決まり事を教えていただいた。それから稲盛さんは「更に善きことに努め始めた」と言っていました。

 ですから我々も今回の件を真摯に反省しつつ、善きことに努め、経営を更に進化させていかなければなりません。そういったメッセージを流しました。もともと素晴らしい社員ばかりです。

 面談してみるとダイヤモンドの原石のような人たちばかりです。ですから「皆さんは磨けばもっと輝きます。共に頑張りましょう」と伝えました。

 ─ とかく人間は失敗を他人や外部の責任にしたがります。

 大田 私もそう思います。だからこそ、天命を感じ、それに従うことが大事なのです。稲盛さんも、不条理と思えるような困難に直面することがあっても、それで天を恨んだり、人を憎んだりしてはダメだ。