天然温泉に浸れば日頃の疲れが吹き飛び、ご飯を頬張れば細胞一つひとつに養分が染み入る。さらに景観や熱唱ステージに心を癒される。そんな銭湯の枠を超えた1日楽しめる都内のスーパー銭湯を徹底取材!

遠出をせずとも満足度大!穴場のスーパー銭湯『東京天然温泉古代の湯』@葛飾

日がな一日、湯に飯に酒極楽浄土

朝10時のオープンから夜のクローズまで、丸一日じっくり&ゆったり過ごせまくるにもほどがある。それが『古代の湯』だ。施設のことを書く前に、まずそのアクセスが抜群。3路線4つの駅から、路線バス並の頻度で無料送迎バスが出てるんすから。

そして!舐めると塩分を感じる温泉の泉質のよさは言わずもがな。ハードな高温、心地よい中温、さらにはマイルドなスチームと3種取り揃えたサウナのレパートリーは、初心者から弩級マニアまで満足必至。

『東京天然温泉古代の湯』男性露天風呂。温度の違う三層の岩風呂は野趣満点

しかし、そんな温浴部門のすご味だけで終わらないのが、『古代の湯』のとんでもないところだ。 味にうるさい『おと週』が注目せざるをえないのが『中華レストラン宝』。かけ値なしにとんでもない本格中華です。四川料理など、麻のシビレも辣の辛さもガチです。もちろん辛くない料理も、炒めものなども、火の通し方が本場そのものの絶妙さ。

もうひとつの飲食施設。巨大な『お食事処華の間』での超マッタリしつつ食事ができるムードも素晴らしい。さらに『華の間』では、土・日・祝日は、1日2回の歌謡ショーも開催中。温泉あがりにプロの歌を聞きつつ「プハ〜ッ」とビールでもいく……まじで生きててよかった。

『お食事処華の間』ライターさとうがプライベートで行った時に撮った歌謡ショーの写真。本当に感動しました

温泉サウナ〜ショーで一杯&飯〜仮眠〜温泉サウナ〜中華…一日では、とても足りんなァ。

『東京天然温泉古代の湯』未読のマンガを全巻読みたい、コミックコーナー。他に仮眠もできる照明を落とした男女別のリラックスルームも

[泉質]塩化物強塩温泉
[効能]きりきず・末梢循環障害・冷え性

『中華レストラン宝』

旨辛牛肉の四川風煮込み(水煮牛肉)1580円、蒸し大餃子660円、ドラゴンハイボール550円

『中華レストラン宝』(手前)旨辛牛肉の四川風煮込み(水煮牛肉) 1580円、(奥)蒸し大餃子 660円、(ドリンク)ドラゴンハイボール 550円 四川料理の名作『水煮牛肉』は追加料金で辛さ+1〜+3まで可能。ただデフォルトでもリアルに本場の味わいです。人気の『蒸し大餃子』以外の点心も豊富。紹興酒をソーダで割った『ドランゴンハイボール』。中国酒も各種ありますが、温浴施設で中国の白酒があるのはここくらいじゃないか

[営業時間]11時半〜22時半(料理LO)21時半(飲み物LO)21時50分
[休日]無休

『お食事処華の間』

まぐろ三昧1030円、もつ煮込み485円、瓶ビール(中瓶)740円

『お食事処華の間』まぐろ三昧 1030円、もつ煮込み 485円、瓶ビール(中瓶) 740円 座敷でリラックスしながら、『まぐろ三昧』の大トロをつまむ……いうことなし。『もつ煮込み』はなんと、大腸、小腸、ハツ、ガツと4つの部位入り!

[営業時間]11時半〜22時(LO21時半)
[休日]無休

『東京天然温泉古代の湯』

『東京天然温泉古代の湯』

[住所]東京都葛飾区奥戸4-2-1
[電話]03-5654-2611
[営業時間]10時〜23時(最終入館21時半)
[休日]無休
[交通]総武本線新小岩駅、常磐線亀有駅、金町駅、京成線青砥駅から無料送迎バスあり

湧き出る黒湯、天然の恵みに身を浸す『深大寺天然温泉湯守の里』@深大寺

海水化石の湯!?う〜心にまで沁みていくぜ

人はなぜ温泉に来るのだろう?露天の風呂からコンコンと湧き出してくる琥珀色の湯に目をやりながら、のんびり浸かっていて、ふとそんなことを思う。う〜、沁みる〜。手足が自然に伸びて、心もほぐれていくぜ。

『深大寺天然温泉湯守の里』露天風呂(男湯)の中央からは絶えず源泉が湧き出ている。洞窟のような電気風呂、ほかにひとりで入れる五右衛門風呂、滝見風呂なども

『湯守の里』では温泉を天然の恵みと考えていて、それを最大限生かすことをテーマにしている。だからそれを邪魔する余計なものは何もない。そうした“恵み”を丸ごと体感できる醍醐味、それが最初の問いへのオレの答えかな。

湯は地下1500mから湧く100%天然の化石海水の湯。地殻変動で地中に閉じ込められた海の地層で、海藻類などが微生物によって分解された有機物「フミン酸」が多量に含まれる。このフミン酸が疲れをとるのに適しているのだとか。なるほど

『深大寺天然温泉湯守の里』温泉が湧く地層もかつては海。古代の化石、アンモナイト(実物)が置かれていた

周りも自生した自然木に囲まれ、都心からほど近くも、鄙びた温泉宿に来たような風情だ。滝見の風呂では、流れ落ちる水音、天然素材で造られた浴槽の感触。昭和の旅籠をイメージしたという館内も、合板などは使わず、使い込まれた木造りの感触がなんだかとても落ち着くわけで。

『深大寺天然温泉湯守の里』館内は使い込まれた木の風合いが温泉宿のようだ

湯で身も心もしっかり温まったあとは「体にいいものを」というお食事処で、食事や一杯やるのを楽しむのもよき。

深大寺と言えば蕎麦を手繰るのも気分だが、実は脂ののったサバがなんとも旨かったり。春はせり鍋、これからは猪鍋など、野趣を感じさせる小鍋が用意されていたり。しみじみ整う。楽しみは尽きんぜよ。

『お食事処』せり鍋(1人前)1826円

『お食事処』せり鍋(1人前) 1826円 春の大人気メニュー「せり鍋」は1人前の小鍋仕立て。せりが終わったあとは「猪鍋」に。野趣を感じる料理が雰囲気にぴったりだ

[泉質]塩化物温泉
[効能]神経痛・五十肩・疲労回復等

『お食事処』

ほたて肉厚天ぷら630円、焼魚(サバ)968円、日本酒飲み比べセット888円

『お食事処』(手前)ほたて肉厚天ぷら 630円、(奥)焼魚(サバ) 968円、(ドリンク)日本酒飲み比べセット 888円 湯上がりにクイッとやるためのつまみ(一品料理)、おすすめの地酒なども揃っている。焼き立てのサバは大きく、身も締まって脂がのり、密かな人気メニュー。山菜など季節のものが使われる天ぷらも人気。ふんわり揚がったホタテは肉厚でプリッと甘い

※平日は食事のみの利用も可(入館料不要)
[営業時間]11時〜15時(14時半LO)、17時〜21時半(21時LO)、土・日・祝・繁忙期:11時〜21時半(21時LO)
[休日]無休

『深大寺天然温泉湯守の里』

『深大寺天然温泉湯守の里』

[住所]東京都調布市深大寺元町2-12-2
[電話]042-499-7777
[営業時間]10時〜22時
[休日]無休(メンテナンスで臨時休業あり)
[交通]京王線調布駅広場口より京王バス三鷹駅南口行で中央道深大寺バス停下下車徒歩6分、調布駅北口ロータリー・武蔵境駅南口よりシャトルバス有り

都心で浸かる根・湯河原の名湯『東京豊洲万葉倶楽部』@豊洲

名湯に浸かり海鮮に舌鼓、プチ贅沢な一日

海を眺めながらの温泉!そりゃあ最高です。けれど、疲れて温泉に浸かりたいときほど、旅に出る時間もない……。そんな時の「豊洲」、いいかもしれない。

『東京豊洲万葉倶楽部』は都心で浸かれる、正真正銘の天然温泉だ。神奈川の根、湯河原の源泉から運んでいるそうで、湯は柔らかく、するっとなめらかな肌触り。大浴場で温まって露天風呂へと出れば、思わず「おーっ」と声が出る。

『東京豊洲万葉倶楽部』いつまでも見飽きない、露天風呂からの絶景。日が沈むと、東京湾を挟み見事な夜景が広がる

夕暮れ時、東京湾に沈む太陽とレインボーブリッジが見事だ。さらに日が暮れて暗くなると、海越しにベイエリアの夜景が広がる。温泉にゆったり浸かりながら眺める絶景――贅沢です。

サウナは、男性はドライと塩サウナの2種類、女性はナノミストサウナも加わって3種類。実は私、高温サウナが苦手なので、温度低めのミストサウナが大変うれしい。温泉でしっとりとした肌がさらに潤う、空前絶後の気持ちよさだ。

『東京豊洲万葉倶楽部』サウナはドライと塩サウナ。女性にはナノミストサウナもあり、サウナ派も満足

さて、湯上りに待っているのは、大人気という噂のビュッフェ。さすが豊洲市場のお隣、マグロ、イカ、甘えびと刺身類がどーんと並ぶ。酢飯にのせた「マイ海鮮丼」は、ネタの鮮度も酢飯の味付けもよく、大満足。

『憩い処』和食、中華、イタリアンなど、旬の食材を使った多彩で満足感あるビュッフェ。九州料理、ドイツ&イタリアンなど、時期によってテーマが変わるライブキッチンも要チェック

鴨ロースやパスタもしっかりいただき、食後は屋上へ。幻想的なブルーが美しい足湯に浸かりながら、仕上げの夜景を堪能する。

『東京豊洲万葉倶楽部』屋上足湯庭園からは、360度のパノラマが広がる。ライトアップされブルーに輝く足湯と夜景とのコントラストが見事

くつろぎ、まったりしながらも、そこには都会の光景がある。月並みですが「明日からがんばろう」ってつぶやいてました。また疲れたら、都内贅沢温泉旅、しよう。

[効能]血行促進・保湿・美肌・五十肩・腰痛・疲労回復・冷え性

豊洲直送!刺身たっぷりマイ海鮮丼『憩い処』

ビュッフェ(大人)2900円〜

『憩い処』ビュッフェ 大人 2900円〜 豊洲市場隣接という立地だから、新鮮な魚介類もたっぷり!酢飯に載せて自分好みの海鮮丼を。鍋メニューもうれしい
『憩い処』ベイエリアを眺めながらの食事は格別

※料理内容は時期、仕入れ状況により異なる
[営業時間]11時半〜15時(14時半LO)、17時〜22時半(22時LO)、土・日・祝:11時半〜15時45分(15時15分)、16時半〜22時半(22時LO)※利用時間平日90分、土・日・祝70分
[休日]無休

『東京豊洲万葉倶楽部』

『東京豊洲万葉倶楽部』

[住所]東京都江東区豊洲6-5-1
[電話]03-3532-4126
[営業時間]24時間営業
[休日]無休(臨時休館日あり)
[交通]ゆりかもめ市場前駅から徒歩4分、JR・東京メトロ新橋駅、東京メトロ門前仲町駅からシャトルバスあり

撮影/鵜澤昭彦(古代の湯)、浅沼ノア(湯守の里、万葉倶楽部)、取材/カーツさとう(古代の湯)、池田一郎(湯守の里)、本郷明美(万葉倶楽部)

『おとなの週末』2025年4月号

■おとなの週末2025年5月号は「谷根千さんぽ」

2025年5月号
『おとなの週末』2025年5月号はこちらから

※2025年5月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

…つづく「東日本〜馬喰町エリアでオススメ“湯上がりの一杯” 銭湯&ビールを愛するがライターが連日はしご酒」では、熱めの湯に浸かった後にぽかぽかのうちにくいっと一杯、湯上りホッピングをレポートしています。