レガネス戦で見事なゴラッソを叩き込んだ久保。(C) Getty Images

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 ローテーションの真っ只中でも、タケ・クボ(久保建英)は王様だ。イマノル・アルグアシル監督が例年以上に積極採用しているのはこれまでのマッチレポートでも指摘してきた通りだが、すべては主力選手に今夜のレアル・マドリー戦のような大一番に少しでも万全の状態で臨んでもらうようにするためで、その1人がタケであることに異論を挟む者は誰もいないだろう。

 ただもちろん指揮官はバカではない。その中でも、最小限にとどめるよう試行錯誤を繰り返してきた。

 そのマドリーをホームに迎えるコパ・デル・レイ準決勝第1レグを3日後に控え、ラ・リーガのレガネス戦で、タケを先発で起用したのも、何が何でも白星が欲しかった試合だったからだ。そしてタケは、期待に応えるゴラッソで勝利に貢献。勝ち点3を積み重ねたソシエダは、8位に順位を上げた。

 ラウンド16まで勝ち上がっているヨーロッパリーグも含めたこの快進撃は、過密スケジュールを強いられる中、選手の状態を見極めながら、先発メンバーを編成し、チームの活性化に努めてきたアルグアシル監督の手腕の賜物だ。
 
 ソシエダのここ数年の課題の一つが、疲労困憊でシーズンの山場を迎えることだった。アルグアシル監督のローテーション重視の采配はその対策に他ならず、お陰で、現在のチーム状態は、例年にも増して良好だ。それは後半戦失速した昨シーズンとは打って変わって年明けから好調を維持しているタケを見ても明らかだ。

 レガネス戦では今シーズン、7ゴール目を記録。そのうちチームは7戦全勝で、タケが点を決めれば負けない不敗神話は健在だ。さらにエスパニョール戦、セビージャ戦、ビジャレアル戦、ミッティラン戦などゴラッソが多いことが今シーズンの特徴で、レガネス戦でそのコレクションに新たな一つを加えた。

 48分、レガネスの守備対応は明らかに甘かった。マークについているのはFWのフアン・クルス1人だけという状況を把握し、チャンスの匂いを嗅ぎ取ったタケが又抜きで置き去りにしてエリア内に入ると、立ちふさがったアドリア・アルティミラをステップでかわし左足を一閃。ボールは逆サイドネットに突き刺さった。
【動画】キレキレのドリブルから左足一閃!久保建英の鮮烈ゴラッソ!
 前半も、15分にオーリ・オスカルソンにスルーパスを通して決定機を生み出し、22分には縦の突破からファウルを獲得。36分にもシュートを放ちと見せ場を作った。
 
 アクシデントがあったのは、レナト・タピアに敵ペナルティエリア内で倒された61分。タピアが突然、ダイビングだとしてタケを非難し、人種差別的な暴言を浴びせた。

 タケは怒りを露わにし、アリツ・エルストンドが制止に動いたが、主審はタケとタピアの両選手にイエローカードを提示した。これで累積5枚目の警告となり、次戦・バルセロナ戦は出場停止となった。
 
 これがビッグクラブであれば、訴えてイエローカードが取り消されるなんてことはよくあることだが、残念ながら誰からも敬意を払われないソシエダの影響力を考えれば、タケがその恩恵に授かることはないだろう。

 不公平極まれりだが、そんな中でもあえてプラス面を探せば、全ての悔しさを今夜のマドリー戦にぶつければいい。怒りモードのタケに期待だ。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸