“人類最強の兵士”リヴァイは何がすごいのか 『進撃の巨人』完結編が描いた“2つの顔”
TVアニメ『「進撃の巨人」The Final Season 完結編』の内容を再構築した「劇場版『進撃の巨人』完結編 THE LAST ATTACK」が11月8日に公開され、観客動員数No.1を記録するほどのヒットを記録している(※)。
参考:『「進撃の巨人」完結編』シリーズ最大のヒットが象徴する、2024年映画興行の現状
そこで今回は、物語の終盤に大きな存在感を放った“人類最強の兵士”リヴァイに注目。あらためてそのキャラクターとしての魅力と、劇中での役割について振り返ってみたい。
※本稿はアニメ『進撃の巨人』最終話までの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。
●『進撃の巨人』完結編が描いた“縁の下の力持ち”としての頼もしさ
リヴァイといえば「調査兵団」の兵士長であり、1人で一個旅団相当の戦力を有しているとされてきた。しかしジークの自爆によって致命傷を負ってからは身体の自由を大きく失い、満身創痍のまま最終決戦に臨んだ。
むしろ完結編では感情的に突撃しようとするミカサをなだめて冷静なアドバイスを送るなど、後方で仲間たちを支援するような立ち位置となっている印象だ。とはいえ幾多の死線を潜り抜けてきた経験は伊達ではなく、十分な存在感を発揮している。
逆にそうした立ち位置で戦闘に参加したことで、前線で無双する今までのリヴァイとは違った一面が浮き彫りになっているのも大きな見どころ。とくに空から対巨人ライフルでの狙撃を試みるガビのことを全身で支える姿には、陰で仲間を支える“縁の下の力持ち”としての頼もしさが体現されている。
そもそも作中の描写を振り返ると、リヴァイは共に戦う仲間のことを何よりも大切に考えている人物だった。シーズン1の第9話では、巨人の攻撃で瀕死になった兵士のもとに訪れると、「このまま何の役にも立てずに死ぬのでしょうか」という質問に対して、「お前は十分に活躍した」と返答。このとき、リヴァイは極度の潔癖症でありながら、血まみれになった兵士の手をためらうことなく握りしめていた。
●“兵士という役目”のあいだで引き裂かれるリヴァイ
ただし完結編では、そんな仲間想いな性格と“兵士という役目”のあいだで引き裂かれるリヴァイの姿も強調されている。具体的にいえば、第89話で描かれた戦友・ハンジとの別れのシーンだ。
地鳴らしの巨人たちが間近に迫ってくるなか、飛行艇が飛び立つまでの時間を稼ぐため、ハンジは自らの命を犠牲に時間稼ぎを行うことを決意。そこでリヴァイは「おい、クソメガネ」と、いつもながらのぶっきらぼうな態度でハンジを止めようとする。しかしその固く揺るぎない決意を目の当たりにすると、「心臓を捧げよ」と鼓舞して死地へと送り出すのだった。
リヴァイにとってハンジは「調査兵団」の古参メンバーとして、お互いに深く信頼し合っている仲で、最後まで残ったほぼ唯一の戦友でもあった。おそらく本当は命を救いたかったはずだが、リヴァイはそんな本心を押し殺し、ハンジの決意を尊重する。その後、ちらりと映された無言の後ろ姿も含めて、あまりに切ないシーンだ。
●リヴァイの人生を変えたエルヴィンの存在
リヴァイと仲間との絆といえば、言うまでもなくエルヴィンの存在を外すことはできない。元はといえば“王都のゴロツキ”だった彼の人生を変えたのは、他ならぬエルヴィンだった。リヴァイの兵士としての自我は、エルヴィンへの忠誠心と共にあったと言ってもいいだろう。
しかしウォール・マリア最終奪還作戦において、エルヴィンは「団長」という重荷から解放され、この世を去っていった。そしてリヴァイは「獣の巨人は俺が仕留める」というエルヴィンとの最後の誓いを実現するため、ジークを討とうとするのだが、幾度も失敗してしまう。
完結編では、「終尾の巨人」に襲撃をかけた際、モノローグでエルヴィンへの想いが吐露される場面が登場。脚を負傷している上、ジークを見つけられずにいるリヴァイは、「ヤツ(エルヴィン)の命令をしくじったことはなかった……なのに、ヤツの最後の命令だけがなぜ……!」と悔しさをにじませる。
さらにリヴァイは無力感に苛まれたのか、先に死んでいった「調査兵団」の仲間たちに想いを馳せ、「お前たちが捧げた命は他の命を踏みつぶすためにあったのか?」と自問自答。しかしすぐさまそれを否定し、「俺たちが夢見た巨人のいない世界は、呆れるほどおめでたい、理想の世界だったはずだ。そうでなければ、あいつらの命と見合わない」と断言し、エルヴィンや仲間たちのために歩みを止めず戦い続けることを決意する。
そしてリヴァイは最後まで強い責任感に貫かれ、その執念によって世界に平和をもたらすことに貢献。最後の戦いが終わった後、彼の目にはエルヴィンやハンジ、そして共に戦ってきた仲間たちの姿が現れ、ようやく重荷から解放されるのだった。
ちなみにその一方、リヴァイの仲間に対する情も最後まで変わらなかった。地鳴らしを発動して“世界の敵”となったエレンに対してすら、一方では非情な決断を下しつつ、「あのバカに言ってやりたいことはごまんとあったが……クソっ!」とやり場のない怒りを漏らしていたほどだ。
冷酷で容赦がない兵士としてのリヴァイと、どこまでも情を捨てきれない仲間想いなリヴァイ。『進撃の巨人』の完結編では、2つの相反する顔がそれぞれ表現されている。彼はたんなる無敵のヒーローではなく、大いに苦悩する人間だからこそ、世界中の人々から熱狂的に愛されているのではないだろうか。その勇姿を、ぜひ劇場まで足を運んで見届けてほしい。
参照※ https://x.com/anime_shingeki/status/1858797613249626200(文=キットゥン希美)
