By dakshkohli23

1997年12月16日に放送されたテレビアニメ「ポケットモンスター」の放送において演出として激しい点滅が多用され、視聴者の光過敏性発作を引き起こしました。この時のタイトルが「でんのうせんしポリゴン」だったため、この事件は「ポリゴンショック」とも呼ばれており、事件以降のアニメにポリゴンはほとんど登場していません。しかし、実際に一番発作を起こした可能性の高い点滅演出はポリゴンとは関係ないものだったことを、海外アニメメディアのAnime Feministが紹介しています。

Porygon Was Innocent: An epileptic perspective on Pokémon's “Electric Soldier Porygon” - Anime Feminist

https://www.animefeminist.com/porygon-was-innocent-an-epileptic-perspective-on-pokemons-electric-soldier-porygon/



「でんのうせんしポリゴン」はアニメ「ポケットモンスター」第38話のエピソードで、電脳世界に何者かが侵入したことでポケモン転送装置に不具合が発生したため、主人公のサトシたちが電脳世界に向かうという内容。終盤、電脳ポケモンのポリゴンに乗ったサトシたちは、ポケモン転送システムを修復するワクチンソフトから猛追されるのですが、ワクチンソフトが放つミサイルをピカチュウが10まんボルトで撃ち落とし、電脳世界からの脱出に成功します。

「でんのうせんしポリゴン」ではコンピューター内部の世界を表現するため、激しい点滅の演出が多用されており、1秒以上の点滅演出が行われた回数は25回にも達しました。こうした点滅演出が光過敏性発作を引き起こし、700人近い視聴者が病院へ搬送されています。

光過敏性発作はてんかんの一種と言われているものの、病院へ搬送された視聴者の76%はてんかんの病歴がなく、またWHOによると全人類の1割は人生で1度以上てんかん発作を経験するとのこと。このように、光過敏性発作はてんかんと診断されたことがない人でも発生する可能性があります。

もともと、光の点滅が光過敏性発作を引き起こすことは知られていましたが、ポリゴンショック後の調査ではさらに赤い光の影響が大きいことが判明。ポリゴンショック事件ではピカチュウが「10まんボルト」を放つシーンにおいて、電脳世界に居ることを表現するために赤と青で点滅させたことが主な原因だったと分析されています。



ポリゴンショック以降、日本のテレビ放送においては「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」が制定されています。また、アストン大学のグラハム・ハーディング教授が光感受性反応のテストを行い、光過敏性発作が1秒間に5〜25回の点滅でよく発生し、人によっては1秒間に3〜60回の点滅で発生することを発見しました。

そこでハーディング氏はアニメの放送前に1フレームずつ確認し、点滅の発生するスピードと画面に対する占有率をチェックすることを提案。この提案を元に、自動でチェックを行うコンピュータープログラムが開発され、全ての映像がチェックされるようになりました。



ハーディングチェックに引っかかったシーンでは画面全体の輝度を落としたり、前後のフレームを重ねたりして視覚刺激を減らす対策が行われますが、メリハリが薄く不自然に暗い画面になってしまうため、「オリジナルの構想に忠実な未編集バージョン」を求めるファンもいるとのこと。

Anime Feministは光過敏性発作が誰にでも発生しうることを強調し、ポリゴンショック事件は恐ろしいものだったと前置きしつつ、「世界中のより多くの人々が安全な形式でアニメを楽しめるようになったことは喜ばしいことだ」と直接影響を受けた人々よりもはるかに多くの人々の安全を守ったことを述べ、「ポリゴンをアニメに戻してあげてほしい」と訴えています。