欧州代表として侍ジャパンシリーズに出場したノア・ウィリアムソン【写真:小林靖】

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欧州代表として侍ジャパンと対戦したノア・ウィリアムソン

 プロ野球・NPB入りを目指し、日本の独立リーグに飛び込んだスイス人がいる。今月6日から2日間、京セラDで行われた「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」に欧州代表として出場したノア・ウィリアムソン外野手だ。さわかみ関西独立リーグの兵庫ブレイバーズに今季から加入。来日してまだ3か月ほどだが、キャリアの最後まで日本でプレーすることを望み、努力を重ねている。京セラDで「THE ANSWER」の取材に応じた23歳のインタビューを前後編でお届けする。前編は惚れ込んだ日本野球の魅力について。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

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 輝いた目で、憧れの舞台を見渡した。「夢のようだよ。この経験全てが、僕が今後数年間でどこに辿り着きたいのかを示してくれている」。京セラDのグラウンドに立ったウィリアムソンは、少年のような笑みを浮かべた。

 追加招集という形だったが、欧州代表にスイス人として初めて選出された。侍ジャパンとの第1試合は8回の守備から出場。9回には1死一、二塁のチャンスで広島の守護神・栗林良吏投手と対戦したが、空振り三振に倒れた。第2試合は出場なし。インパクトを残すことはできなかったが、貴重な経験を積んだ。

「ここでプレーできたことで、どういった感じなのかを理解できた。僕には目標がある。独立リーグからNPBに行くために、今僕がどんな努力をすべきなのかはっきり分かる。あとは実現させないとね」

 米サンタバーバラ市立大などを経て、21年MLBドラフト19巡目でマーリンズに入団。昨年9月のWBSC欧州野球選手権ではスイス代表に選ばれ、6試合で打率.308、2本塁打、OPS1.011の好成績を残した。直後の10月に兵庫と契約を締結し、12月に来日した。兵庫ではその強肩を評価され、本職の外野手に加え投手との“二刀流”にも挑戦する。

「ファンタスティックだよ。本当に日本が大好き。ここの文化は想像以上に馴染みやすかった」

日本の選手は「かなり情熱的。それが大好き」

 日本はおろかアジアも初めて。しかし、自動車が左側通行であること以外に大きな戸惑いは感じなかった。順応する上で役立っているのが、米国とスイスの2か国で暮らした経験。異文化を受け入れる柔軟な姿勢がすでに身についていた。

 来日して恋に落ちたものはたくさんあるが、何より惹かれているのが日本の野球だ。「日本人選手はかなり情熱的。人生が野球を中心に回っている。それが大好きなんだ」。目標に向かって懸命に努力するチームメートが大きな刺激になっている。

「全員がNPBに辿り着くために毎日全力を尽くしている。練習は長く、コンディショニングや打撃練習も集中していて、全てを非常に真剣に取り組んでいる。僕はそれが本当に好きなんだ。みんなが努力しているから、自分も頑張らないと。そうやってチーム全体で高め合っていけているんだ」

 米国やスイスではなかった7、8時間に及ぶ練習。ウォームアップやコンディショニングだけで1、2時間を費やすこともある。最初はヘトヘトになったが、徐々に効果を体感するようになった。「タフだと感じる人も多いけど、僕は素晴らしいと思う」。野球選手として成長できる――。そう実感しているからこそ、厳しい長時間練習もウェルカムだ。

 英仏2か国語を使いこなすウィリアムソンだが、漢字は「ベリーむずかしい」とまだまだ勉強中。学びの場にの一つになっているのはラーメン屋だという。一番好きだという意外な日本語、大阪で経験した日本人なら憂鬱になる出来事に対する意外な感想なども教えてくれた。

(後編へ続く)

■ノア・ウイリアムソン / Noah Williamson

 2000年8月生まれの23歳。米国人の父とスイス人の母を持つ。米カリフォルニア州サンタバーバラ市立大などを経て、21年MLBドラフト19巡目でマーリンズに入団。昨年9月のWBSC欧州野球選手権ではスイス代表として6試合に出場し、打率.308、2本塁打、OPS1.011の好成績を残した。直後の10月に兵庫と契約を締結した。同12月に来日。193センチ、104キロ。右投右打。米国で生まれ育ったが、毎年夏はスイスに3か月ほど滞在したことから英語に加えてフランス語も身につけた。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku)