渋谷にリアルすぎる“工事現場”が現れた理由は? 建設業界に変革を起こした「充電式鉄筋結束機」の軌跡

2023年12月18日、渋谷駅構内の通路に突然現れた“工事現場”の広告。インパクトがあるビジュアルに、思わず足を止めてしまった人もいるのでは?



この広告を渋谷駅に掲載したのは、1942年創立の機械メーカー、マックス株式会社。建設業界に変革をもたらした「充電式鉄筋結束機」(以下、鉄筋結束機)という製品を開発・生産・販売する企業です。今回、鉄筋結束機が発売30周年を迎えたことを記念し、渋谷駅への広告掲出に至りました。



しかし「鉄筋結束機」という言葉、建設業界以外ではなかなか馴染みがありませんよね。実は、私たちの生活と密接に関わりのある機械なのです。では、この機械でどういったことができるのでしょうか。また、広告を通して伝えたいメッセージとは? マックスの社員の方3名と、建築の専門家である蟹澤宏剛教授にお話を伺いました。



「鉄筋結束機のスゴさ」を知ると、明日から街の景色が変わって見えるかもしれません。

<プロフィール> 
伊藤伊作さん(マックス株式会社 機工品営業部 マーケティンググループ) 
原 雅人さん(同社 機工品営業部 マーケティンググループ) 
橋本愛美さん(同社 IR広報・ESG推進室)
蟹澤宏剛(かにさわ・ひろたけ)教授
芝浦工業大学建築学部教授。専門分野は建築生産・建築構法。建設現場の労働実態などにも詳しい。


写真左から:橋本さん、蟹澤教授、伊藤さん、原さん


「鉄筋の恩恵を受けていない人」は日本に存在しない!?

びっしりと組まれた鉄の棒が幾重にも重なり、空間を埋め尽くす――。渋谷駅構内に突如現れたポスターに写る景色は、まさに「圧巻」の一言です。

「日本で鉄筋の恩恵を受けていない、なんて人は存在しないと思います」と話すのは、芝浦工業大学建築学部で建築生産・建築構法について研究する蟹澤さん。

「地震の被害が少ない欧米圏などの建築物は、石やレンガを積んだものも多い。しかし、日本の場合は地震や台風などが発生するため、鉄筋を用いて建築物の強度を高める必要があります。

現在はタワーマンションなど、日本の集合住宅のほとんどが鉄筋コンクリートで建てられています。鉄筋は木造住宅も、基礎の部分に用いられているし、高速道路や橋にも使われています。街を見渡せば、あらゆるところで鉄筋が使われているんです」(蟹澤教授)


蟹澤宏剛教授


マックスが開発する鉄筋結束機は、鉄筋を組むときに活躍するのだとか。
「鉄筋を組むとき、位置を定めるために鉄筋同士をワイヤで縛る“結束”という作業を行ってから、コンクリートを流すんです。結束は従来、ベテランの職人さんの仕事でした。そこで我々は、その結束作業をベテランでない方でもきれいにできることを目指し、開発を行いました」(伊藤さん)


機工品営業部の伊藤伊作さん


「鉄筋結束機が発売されたのは1993年。今年で30周年を迎えました。弊社の主力事業である鉄筋結束機が建設業界、そして社会に与える影響について広く知っていただきたく、今回多くの人が目にしやすい渋谷駅で広告を掲出するに至りました」(橋本さん)


IR広報・ESG推進室の橋本愛美さん


機械化することで変わった建設現場の風景


1993年に世界初(※)の充電式鉄筋結束機が発売される以前は、鉄筋を専門とする職人さんたちの手作業で結束が行われていたといいます。実はこの「結束」という作業、文字通り建設の「根幹」を司る重要な作業なのです。
(※マックス株式会社調べ)


「少しでも結束が緩いと、コンクリートを流したときに鉄筋がズレてしまうんです。鉄筋の位置が変わってしまうと、建物の耐久性にも大きく影響が出てしまいます。また、結束の強度が鉄筋ごとに違うのもNG。均等な力で、それぞれしっかりと鉄筋同士を結束することは、熟練の職人さんだからこそ為せる技でした」(原さん)


機工品営業部の原 雅人さん


では、鉄筋結束機が登場したことにより、建設の現場にはどういった変化が?
「結束作業を機械化することで、均等な仕上がりで結束できるようになりました。ベテランの職人さんと同じクオリティで作業できるようになり、作業効率も上がったんです。

加えて、職人さんたちの体への負担が軽減したことは大きいと思います。鉄筋は建物の床にも張り巡らされているため、しゃがんで作業する人が多かったんですよ。でも鉄筋結束機は立ったままでも使えるので、腰への負荷を減らせる。力を入れずに結束できるので、職人さんたちが怪我をするリスクも減ったと思います」(蟹澤さん)


確かに、実際に鉄筋結束機を使ってみると「え、これで終わり?」と拍子抜けてしまうほど、あっという間に結束作業が完了します。大きな振動を体に受けることもないため、長時間の作業も楽にできそうです。
初めて使った人でもスイッチトリガを引くと約0.5秒で結束ができる!


しかし、これだけ便利な工具が登場した一方で、職人さんたちもプライドを持って仕事に臨んでいたからこそ「浸透までには時間がかかった」と伊藤さん。
「1993年の発売当初は『手作業でやったほうが早い』なんて言われていました。確かに、ベテランの職人さんたちは1回の結束に1秒も時間をかけないんですよ。我々も本当に尊敬しています。今でも結束や鉄筋の仕事に対する誇りを持っていらっしゃる姿を見て、背筋が伸びるんです」(伊藤さん)


何世代かのバージョンアップを経て、徐々にマックスの鉄筋結束機も認められるように。転機となったのは2017年に「ツインタイア」というモデルを発売したことでした。



「職人さんたちに、ツインタイア前身の、1本のワイヤを送って結束するリバータイアというモデルの使い勝手をヒアリングしたんです。その結果、『結束に使うワイヤの量を減らしてコストダウンする』ことで市場のニーズに応えられるのでは、という結論に至りました。

ワイヤの使用量を減らそうという発想から、2本のワイヤを同時に送って結束する機構を導入し、より速く、より結束力を高めることを実現しました。現場の声を聞いて生まれたツインタイアを発売したことで、徐々に建設の現場でも受け入れられるように。

ベテランの職人さんたちも、各々のスタイルでツインタイアを作業工程で活用してくださるようになって。『鉄筋結束機を使うことが当たり前』の世界になることを目標にしていたので、その第一関門をクリアできたな、と手応えを感じましたね」(伊藤さん)


左がツインタイア、右が旧モデルのリバータイアで結束。結束後のワイヤの高さを抑えたことで使用できる現場が拡大した


また、蟹澤教授は鉄筋結束機が普及することで、「建設業界を取り巻く課題の解決にもつながる」ことにも期待します。

「建設業に従事する技能労働者の数は、20〜30年すれば現在の半分になると予想されています。担い手不足が進むなか、今まで通りのペースで仕事を進めるためには、働く人の負担を軽減させる『機械化』が必須だと思います。

また、建設の現場は過酷だからこそ、仕事を覚えて面白くなる前に辞めてしまう人が多いんです。鉄筋結束機のように簡単に作業ができる機械が浸透することで現場の負担が減り、離職も食い止めることができるはず。

特に職人さんたちは、勤務時間あたりの作業量で1日の評価が決まります。仕事の効率を上げる機械を導入して、稼ぎが増えれば、働きやすい環境も整っていく。鉄筋結束機は、建設業界の景色を大きく変えた発明ともいえるでしょう」(蟹澤教授)


若い世代がカッコいいと思えるような工具を


マックスはホッチキスなどの文房具も開発・生産・販売しており、こちらのほうが、一般の方にとって、馴染みがあるかもしれません。もともと金属加工の会社だったマックスが鉄筋結束機を開発するようになった背景について、橋本さんは次のように説明します。

「実は鉄筋結束機以外にもさまざまな工具を開発しているんです。たとえば釘打ちという手作業の工程を軽減するために、圧縮した空気を利用して釘を打つ『高圧コイルネイラ』という製品を販売したり。ホッチキスも、元々は紙を紐でとじていたのを、作業者の負担を軽減するため、小型のホッチキスを開発しました。

我々のものづくりの根底には『世界中の暮らしや仕事をもっと楽に、楽しくする』というメッセージを込めているんです。人々の心にゆとりをもたらすことは、我々の使命だと捉えています」(橋本さん)





そして、ユーザーのニーズに応え、さらにはユーザーに驚きを与えるためにも「ユーザーが作業する様子を見学したり、直接ヒアリングをしたりして、そこで、発見した問題点を新製品開発に取り入れる」ことがマックス流のモノづくりである、と伊藤さん。ときには営業担当者だけではなく、設計者自身も現場に足を運ぶのだとか。

「作ったものがお客様の元へ届き、働き方がどう変化したかを直接聞く。大きな変化をもたらせたときはやっぱり嬉しいですし、やりがいを感じています。

また、愛される製品を作るためにも、デザインは重視します。お客様が使いやすく、かつ『ほしい』と思えるような見た目であること。それこそ若い世代がカッコいいと思えるような工具を提案したいです。30周年のロゴも、まさに胸を張って製品の歴史を示せるようなデザインを意識しました。


「0」の中心に機械シルエットを配置し、鉄筋結束作業の中心にこれからもあり続けたい想いを込めた


31年目に突入する鉄筋結束機。その市場を創り上げたのはマックスなんだ、という意識は常に持っています。これからもお客様の期待を上回るような発想で、さらなるニーズに応えられるよう、製品をアップデートしていきます」(伊藤さん)


なんと「鉄筋結束機」柄のネクタイ! 遊び心も忘れない


見えざる「鉄筋」にも思いを馳せながら……


あらゆるエリアで都市開発が進む渋谷。建設中の工事現場はもちろん、高層ビルや高速道路の見えないところにも、鉄筋が組まれています。

鉄筋を組み、丈夫な建造物を完成させる職人さんたち、そして職人さんを支える工具を開発するマックスのような企業のおかげで、私たちは安全に暮らせるといっても過言ではありません。街を歩くとき、目に見えない鉄筋の数々に、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

※TWINTIER、リバータイア、コイルネイラはマックス株式会社の登録商標です。

・結束の未来を、約束しよう。/マックス鉄筋結束機「ツインタイア」


PR企画: マックス × ライブドアニュース]