今季、リーグ戦では初先発となった岩波。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1第25節]湘南 0−1 浦和/8月25日/レモンガススタジアム平塚「死ぬ気持ちで今日はゴールを守ります」 湘南ベルマーレとの試合前、岩波拓也はロッカールームで隣の西川周作に、そう決意を伝えていたという。「ここを逃せば、チャンスは当分ない」。背番号4は並々ならぬ想いでレモンガススタジアム平塚のピッチに立った--。 遡ること今年1月、海外クラブとの交渉のため、岩波は一度チームを離れた。最終的に移籍は実現せず、クラブが交渉中のリリースを出したあとに獲得したのがマリウス・ホイブラーテンだった。 J1開幕戦でアレクサンダー・ショルツとCBのコンビを組んだのは、その新助っ人だった。それから2人は、リーグ最少失点を誇る強固な壁として今もなお、君臨し続けている。 その裏で、なかなか試合に出場できない日々に、岩波は悔しさを滲ませていた。それでも、彼の胸にあったのは、西野努テクニカルダイレクターの言葉だった。「西野さんと『今は出番がなくて苦しいと思うけど、自分がプレーした時にどういうパフォーマンスを出せるのかが、選手としての価値なんじゃないか』という話をして、それが僕の中で響いた」 出番がなくても、「出場した1試合に懸ける想いや準備が大切」だと自らに言い聞かせて、トレーニングに励んだ。【PHOTO】浦和の出場16選手&監督の採点・寸評。後半にドリブルのキレが増した大久保。リーグ戦初先発の岩波も期待に応える


 湘南戦を前に、チャンスの前触れがあった。前節の名古屋グランパス戦でホイブラーテンに累積4枚目のイエローカードが提示され、次戦は出場停止となる。その瞬間、28歳は出場するんだという強い意識を持ち始めた。 8月22日のアジア・チャンピオンズリーグのプレーオフ・理文戦でも先発し、3−0と無失点で勝利。公式戦のスタメンは約1か月半ぶりだったが、来たるリーグ戦に向けて、この試合は「自分にとって良い機会になった」という。 迎えた25日、今季リーグ戦初先発となった湘南戦。岩波は強い覚悟を持ってピッチに立つと、4戦連発を狙うFW大橋祐紀と何度も対峙してゴールを許さず。最後は足をつりながらも、ロッカールームでの言葉通り、ゴールを死ぬ気で守り抜いた。「相手の狙いは2トップで、大橋選手のところは起点になるので、監督にはそこをとにかくやらせないようにしてくれと言われていた。1−0は一番痺れる展開。中2日で苦しい日程だったけど、ディフェンス陣にとっては、一番良い結果になった」 そして、「なんとか2人(ショルツとホイブラーテン)に食い込みたいという気持ちがあった。監督が少しでも悩ませるようなことができればいい」と、自らの気持ちを素直に明かしている。 自分の価値を示すために。岩波がしてきた準備は、この試合で色濃く表現された。 それは、近くで見ていたチームメイトがよく知っている。西川は言う。「出ていない時にどれだけ頑張っているかというのを、チームメイトとして見ていた。彼自身、腐らずにしっかりとトレーニングしている姿勢は素晴らしい。だからこそ、出た時に結果を残せるし、これが彼の成長でもある」 ルヴァンカップの決勝トーナメントや、ACLのグループステージが9月から始まり、チームはより過密日程となる。その連戦を前に“浦和のCBは2人だけじゃない”という想いを、岩波はピッチで体現した。彼の真価は、これからさらに発揮されるだろう。取材・文●藤井圭(サッカーダイジェストWeb編集部)