やっぱりMTは最高 BMW M2 ホンダ・シビック・タイプR マツダ・ロードスター スポーツカーの大切なパートナー 前編
運転の楽しさと直結しているMT
BMWは、新しいG87型のM2クーペを発売した。英国では唯一、マニュアル・トランスミッション(MT)を選択できるMモデルで、AUTOCARではこの登場を喜んでいる。
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そこで、英国で購入できる比較的手頃なMTの傑作スポーツカーとともに、比較試乗の機会を設けた。用意したのは、2023年のモデルイヤー・アップデートを受けたマツダMX-5(ロードスター)と、先代のホンダ・シビック・タイプRだ。

レッドのマツダMX-5(ロードスター) 2.0 エクスクルーシブラインと、ブラックのBMW M2 クーペ、イエローのホンダ・シビック・タイプR リミテッド・エディション
価格帯を越えて、最も好ましいシフトフィールを備えるモデルはどれだろう。ドライバー自らギアを選ぶ充足感が、1番豊かなモデルはどれだろう。現在では稀有な存在の3台を乗り比べて、ささやかな疑問に迫ってみたい。
さて、マニュアルというトランスミッションは、運転の楽しさと直結している。シフトレバーとクラッチペダルを動かした時の質感や、機械的な手応え、次のギアを選んだことで生じる推進力などの体感。すべてがダイレクトに結びついている。
完成度の高いMTは、サッカーチームでプレーの重要な役割を果たすミッドフィールダーのようなもの。全体を1つにまとめ、調和させ、可能性を最大限に引き出してくれる。
今回の3台は、それぞれ特徴が異なる。独自のスタイルで、豊かなドライビング体験を与えてくれる。
それでも、焦点を当てるのはMTを中心とした印象。トランスミッションがシャシーの強みとドライバーをどのように結び、どのような体験を生み出すのか。それ単体だけではなく、クルマ全体との関係性も重要になる。
スポーツカーにとって大切なパートナー
バッテリーEVへの転換が進む2023年にあっても、MTが非常に魅力的なコンポーネントであることは、AUTOCARの読者には説明不要だろう。内燃エンジンのスポーツカーにとっては、大切なパートナーになってきた。
その事実を、今回の3メーカーだけでなく、ポルシェやフォード、トヨタ、ヒョンデも、まだ認識している。数は減りつつあるが、うれしい事実だと思う。

ブラックのBMW M2 クーペと、イエローのホンダ・シビック・タイプR リミテッド・エディション
クルマを購入する際、MTかATの選択に迫られると、多くのユーザーは後者を選ぶ。一般的に変速は滑らかで、安楽で、最近はカタログ上の燃費でも有利なことが多い。
高性能モデルに積まれたデュアルクラッチATは、サーキットのラップタイムを短縮してくれる場合もある。電子制御される四輪駆動システムや、トルクベクタリング機能との連携も取りやすい。
それでも、ドライバーズカーは運転を楽しむべきもの。クルマとの一体感を求め、エンジンのパワーがタイヤへ伝達されるまでを正確に操るのに、MTほど理想的なドライブトレインはないだろう。
プロペラシャフトとつながるギアをどれにするか、いつ次のギアを選ぶか、エンジンの回転数と走行速度をどう一致させるのか。左足でクラッチを繋ぐことも含めて、すべてを操ることにこそ本当の面白さがある。
BMW M2は、まさにそれを叶えている。変速するギアに適した回転数へエンジンを自動的に調整する、レブマッチング機能は付いているが、必要なければオフにもできる。両手両足が慣れれば、優れた動的性能を直接的に引き出せる。
シフトダウンを必要に感じさせないトルク
軽快に直列6気筒エンジンは吹け上がり、とてもパワフル。広い回転域で豊かなトルクが生み出され、粘り強く扱いやすい。ボディサイズはコンパクトで、シャシーはバランスに長けた後輪駆動。ホイールベースも短い。
全長4580mmのスポーツクーペとして、車重は1700kgと軽くはない。特に2.0Lエンジンのマツダ・ロードスターの車重が1051kgしかないことを考えると、否定はできない。

レッドのマツダMX-5(ロードスター) 2.0 エクスクルーシブラインと、ブラックのBMW M2 クーペ、イエローのホンダ・シビック・タイプR リミテッド・エディション
2017年にリリースされた先代のF87型M2から、200kg以上も増えている。実際の身のこなしや乗り心地にも、その変化は現れている。
それでも、動力性能的にまったく不満はない。S58型の3.0L直列6気筒ツインターボエンジンは、2650rpmから5870rpmという広範囲に渡って、56.0kg-mもの最大トルクを生み出す。巨大な波へ押されるように。
アクセルペダルを傾けると、2基のターボチャージャーがブースト圧を上昇させるまで、極僅かなラグがある。しかし、その直後には怒涛の加速が待っている。シフトダウンを必要に感じさせないほどの勢いで。
先代のFK8型シビック・タイプRも、非常にパワフル。ギアを問わず最大トルクが傍らにあり、ロケットダッシュを繰り出す。今回は、最新のFL5型のタイプRを用意できなかったことが惜しいけれど。
反面、183psのロードスターでは異なる。意欲的に加速したい時は、速度域を問わずシフトダウンしたくなる。それもまた喜ばしい。
この続きは後編にて。
