この記事をまとめると

■近年、クルマに装着されているSOSコールボタン

■実際にどんな使われ方をしているのか、実例を挙げて紹介

■位置情報を共有してくれるのがヘルプネットの最大の利点

SOSコールを使用したことがある人は少ない

 現行モデルの多くに装備されているSOSコール。正式名称はヘルプネットと呼ばれるサービスですが、実際にこのサービスを使用したことがあるという人は少ないはず。ヘルプネットとはどんなものなのかをおさらいするとともに、実例や間違えて押してしまった時の対処法などを紹介。

そもそもヘルプネットとは?

 世間的にはSOSコールで知られているヘルプネットは、株式会社日本緊急通報サービスが提供しているサービス。緊急時に携帯電話通信網を使用し、位置情報や車両情報、センサー情報をデータとしてオペレーションセンターに送信すると同時に通報を受け付けるというシステムになっている。ヘルプネット搭載車はSOSコールのイメージのようにボタンを押して通報することも可能だが、事故発生時に衝撃やエアバックの作動などを検知して自動で通報してくれるのもヘルプネットサービスの特徴と言える。

実例

 もしものことが起こらない限り使用しないヘルプネット。そのため、実際に役に立っているのか具体的なイメージが湧かないかもしれないが、役立った事例もしっかりとある。

 たとえば現在話題となっている煽り運転を受けた場合。ボタンを押してヘルプネットに通報すると共に、警察に繋げてもらい警察と待ち合わせることで難を逃れた例などがある。ほかにも路地から飛び出してきた車両と事故を起こしてしまった時に、ヘルプネットに連絡して警察に通報。場所が分からなくてもヘルプネットに通報するタイミングで自動的に位置情報も送られるので、オペレーターが場所を把握しており、初めての土地でのアクシデントでも安心できたそうだ。

位置情報を共有してくれるのがヘルプネットの最大の利点

 この位置情報を共有してくれるというのがヘルプネットの最大の利点と言えるだろう。そしてこれが更に活用されているのが自動通報の例だ。大きな衝撃を感知し意識を失っていたり、痛みからしっかりと言葉が出ないなど、場所の説明が出来なかった場合でも、事故現場に救急隊を呼ぶことが出来た事例は多くある。また意識を失っている時に、ヘルプネットのオペレーターの声で意識が戻った事例もある。事実、自動通報後のヒアリング調査では、まったく応答のないケースの約7割が救急車で病院搬送されているそうだ。SOSボタンを押してヘルプネットを使うというよりも、SOSボタンが押せない時のほうが、より役立っているという見方もできるだろう。

もしも押してしまったら?

 いたずら心でSOSボタンを押してはいけないのは当然。それで本当に必要な人に繋がりにくくなってしまったら本末転倒だ。しかし、もしも間違えて押してしまった場合はどうすればいいのだろうか? その時は落ち着いて、繋がったオペレーターに間違えてしまったことを伝えればそれで問題ない。

 しかし、間違えを伝えて、ヘルプネットとの通信が終わった後に気を付けなければいけないポイントがある。一定時間はヘルプネットへの通報を優先した通信モードとなっているため、通常のコネクテッドサービスなどが使えない場合があるのだ。この点は頭に入れておくといいだろう。

本当に必要な人のために

 自分が上手く通報できない場面でも、ヘルプネットが位置情報などを通報してくれるというのはもしもの時の安心感が違うと言えるだろう。自動車を使う者ならば、もしもの時に遭遇してしまうかもしれないが、ヘルプネットは最悪の事態を防ぎやすくしてくれるアイテムと言える。すぐにオペレーターに繋がるのも安心できるポイントだ。交通「死亡」事故を少なくするのに一役買っているのは間違いない。本当に必要な人のためにも、間違えてSOSボタンを押さないようにしよう。